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神降文明 救世の賢者の記録  作者: はとかぜ
第1章 幼き日の記録
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1章3節 ジオランデ街道①

村は直接大街道に繋がっているわけではなかった。


これからかなり長い旅程になるが、最初で最後の一番の山場は、村から出てすぐの細い道だ。


いや、もはや道というのは語弊があったかもしれない。全く整備されていないただの地面が延々と続くのみだ。


ときには河原を、ときには薄暗い森の中を、崖っぷちを往くことにもなった。この頃の私は、魔法をほとんど使えなかったので、自分の身を守る手段というものがほとんどなかった。


村を出てすぐは、川沿いを歩き続けた。穏やかに流れている川は、底まで綺麗に透き通り、川魚が流れに従って、私を追い抜いて泳いでいった。


人に会うこともほとんど無くて、川のせせらぎが、ただ耳に入る時間が続いた。


この時私が歩いていたのは、王国の存在する大陸の山間部だ。木々が鬱蒼と生い茂ったまだ見ぬ魔物が潜んでいるとも言われる場所だ。


この『伏魔の森』は、大陸の超広範囲まで広がっており、ただ歩けば抜けられるなんて思わないほうが身のためだ。一応村は存在するし、きれいな水を手に入れることはできる。生活には困らないが、目測をつけずに突き進んだが最後、一生を終えるまで出ることは出来ないだろう。


今のところは、とりあえず行く方向がわかっているので、特に問題はない。最初の目的地は、旧サルマン城付近であった。そこまで行くのに相当な時間がかかるが、そのために備えて、移動を徹底的に効率化する魔法を覚えてきたりもしたのだ。


というわけで、この頃から私は、体力の限界値が伸びまくったので一昼夜歩き続けても疲れることはなくなった。この頃はこの程度の魔法しか覚えておらず、世界を舐めきっていた私は、護身用の魔法を覚えてきたりもしたが、覚え方は非常に雑だった。


その怠慢が、この後に取り返しのつかない事態を引き起こすのだが、それはまだ先の話だ。


◇◇◇


出発前に、食べられる果物などを調べて頭に入れておいたので、見つけたらそれをもぎ取って食べるといったことを何度も繰り返しながら、私は森の中をずっと進み続けた。


その頃は、ずっと肉が食べたいと思いながらずっと進んでいて、夜見る夢は豪華なごちそうに囲まれて、それをずっと食べているという夢ばかり見た。


あとどのくらい進めば辿り着くのだろうと何度も考えた。方向は間違っていなかったはずなので、歩けば辿り着くはずだと思っていたが、私の想像以上に、この森は広かったらしい。いや、そもそも方向があっているという前提すら、自分の中では脆く崩れ去ろうとしていた。


なにかの魔法を受けている線を考えたほうがいいだろうか?

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