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第28話 出立

 踏み潰された火鳥は原型をとどめていなかった。

 芝生が焦げ、まかれた水が泥だまりを作っている。

 ギルバートとラナは、ランバート王に呼ばれて王宮の一角に向かっていた。

 二人の子供たちは、ジェイドに頼んで、馬車のクロルとマリアンのところに連れて行ってもらっている。

 子供の父親が彼らと同じように呼び出されているらしい。

 園遊会はまだ続いている。

 音楽と人のざわめきが聞こえる。

 火鳥のことはなかったかのようだ。

 ロシュに案内された部屋は大きな窓の並ぶ応接間だった。

 彼は二人を中に入れるとそっと下がっていった。

 先客は中背で瘦せ型の貧相な印象の男。

 壁を背に立っている。

 ギルバートやジェイドほどの高級な服ではなく、だが仕立てのいい貴族の格好だ。

 年のころは四十過ぎにも見える中年。

 二人を見ると慌てて部屋の隅に下がり、頭を下げた。

 灰色の短い髪の上が薄くなっている。

 背中が見えるほど身体を折っていた。

「貴方も陛下に呼ばれたのか。」

 ギルバートが男に声をかけた。

 男がもっと深く身体を折って返事の代わりとした。

「かしこまらなくてよい。

 楽にしなさい。」

 穏やかなギルバートの言葉に男が顔を上げた。

 灰色の髪に瞳で先が小さく丸い鼻がついている。

 唇は小さくてちょっと薄い。

 肌は白く、頬にはシミがある。

「初めまして。」

 ラナが男に声をかけた。会釈をする。

「私は、ラナ=クレアと申します。

 こちらは、ジョージズ公爵様。」

 ラナが自分を紹介したので、ギルバートが少し、驚く。

 男がまた頭を下げた。

「この度、ケネス伯を賜りました、カイデル・ケネスと申します。

『公爵』様におかれましては、」

「ケネス伯!

 アレクスとエラのお父様だわ!」

「誰だって?」

「さっきの迷子の子供たち!のお父様よ。」

「ああ、」

 言葉をさえぎられたカイデルが困っている。

「堅苦しいご挨拶は、ご遠慮くださいね。」

「…。」カイデルが驚いている。

「『公爵』様はご寛容でいらっしゃいますから。

 それでなくても陛下がいらっしゃるのですもの、すごく、緊張しますものね。

 私たちは、もう少し楽にいたしましょう。」

 カイデルがほっとした表情を見せ、ギルバートは困惑する。

 ラナが微笑みを見せた。淑女の笑みだ。

(どこで、そんな芸当を覚えた?)

 ギルバートがラナを凝視する。

 再び扉が開かれ、ランバート王が宰相を従えて入ってきた。

 二人の後ろには、『左翼』のバハールと『王立』のダモンが続いていた。

「時間があまりないのでな、

 ローラン、命令書を。」

(命令書? そんなもの今まで…)

 ギルバートがランバート王を見た。

 その視線に気づいたのか、ランバート王が冷ややかな微笑みを返す。

「ケネス、前に来い!」

 ランバート王が強い口調で命じた。

 カイデル・ケネスは、怯えたふうで王の近くに進んだ。

 立ち止まった位置は、ギルバートやラナよりも後ろだ。

 宰相から渡された「命令書」を押し頂くように受け取った。

「リュート大平原のそばに、前バルタル侯に組した一門が流刑になっていることは知っているだろう。」

 ラナの水色の瞳が大きくなる。

(そんなこと、知らない…)

 そんな態度に気付いたのかギルバートが小声で言う。

「後で、説明する。」

 ラナが頷いた。

 カイデルが俯いている。

「先の謀反、バルタル一門で投降したのは、ローンデール伯爵家とローレンス伯爵家だったな。

 最近、バルタル侯爵家の再興の陳情が出てきた。

 家門は残してあるが、後継者の擁立は認めていない。

 だが、流人の士気を高めるのに、家門再興の希望が欲しいという。

 他国と結託して謀反をおこしたのに、勝手なことを言う!」

 ランバート王の口調が怒っている。

(こんなに激高している王様は初めて見る。怖い…。)

「あんな連中、野垂れ死にしても構わん!」

「陛下、」宰相がたしなめる。

「悪い、…冷静に、だな。

 だから、元の領地をくれてやったというのに、文句ばかりだ。」

 ランバート王が深呼吸した。

「あそこの開墾が困難なことぐらい私もわかっている。

 それゆえ、人を遣わす。」

 ランバート王が前髪をかきあげた。

「ケネス、そちにリュート大平原の開墾を命じる。

 現地の流人を使って構わん。農地にし、自給自足しろ。」

 ケネス伯が頭を深く下げた。

「人手がいるな。

 当座は『左翼』と『王立』を授ける。」

「バハール、警備用に一小隊出せ。

 ダモン、学者がいる。

『王立』学問所から出してやれ。」

「承知いたしました、陛下。」

 バハールとダモンが頭を下げる。

「ラナ!」

 ひと際大きな声でランバート王が呼んだ。

「はいっ!」

 ラナも思わず大きな声で返事をしてしまった。

「水脈を探せ!

 不毛の地を水で満たしてやれ。

 かつては、ダーナ河の支流があったところだ。」

「!」

「水脈がなければ、お前の身体で水場を作れ!」

 他の者が驚き、ラナが固まってしまった。

「陛下、」ギルバートが非難を込めて呼びかけた。

「イゼーロで大きな水がめを作ったじゃないか。」

「それは、」ギルバートが口ごもる。

「同じことをすればいい!」

 ラナがうな垂れてしまった。

「ケネス!」

 カイデルがビクッとした。

「お前はローレンス伯爵家の血筋だったな。

 成功すれば、バルタル侯爵にしてやる!」

 ランバート王がギルバートを見た。

「ギルバート、全部失敗したら、流人ともども焼きはらえ!」

 そう言い捨てると一人、部屋を出て行ってしまった。

 ヴェズレイ宰相が大きくため息をついた。

「先程の火鳥がいたく気に障ったようです。」

「すまない。

 私がいたのに。」

「いえ、閣下のせいではございません。

 侵入を許してしまった『近衛』と衛士の失態です。」

「ダーナクレア辺境伯ご令嬢にもご迷惑を。」

 ラナは俯いたままだった。

 宰相は二人にも命令書の書簡筒を渡した。

 ギルバートがラナの分も手にする。

「…ケネスへの出立はいつです?」

 ギルバートが尋ねた。

「五日後を予定しています。

 集合場所は『命令書』に。

 ケネス伯、準備はよいか。」

「はい、宰相閣下のお申しつけの通り準備しております。」

 カイデルが頭を下げて言った。

「私たちは?」ギルバートが問う。

「あれは、腹を立てると子供のようになるな。」

 バハールが苦笑を浮かべて間に入った。

「『左翼』といえども、大手を振って、流刑地に隊を出すわけにはいかん。

 心当たりのある連中を行かせる。

 それで勘弁願おう、宰相。

 現地集合で構わんだろう?」

 ヴェズレイが頷いた。

「ラナはどうするのです?」

 ギルバートの口から自分の名前が出て、ラナが顔を上げた。

「『王立』の学者に紛れ込ませればいいのではないか?」

 バハールが言う。

「学者の助手とか小間使いならおかしくないし、自由に動ける。」

「そんな、『公爵』様のお嬢様を!」

 カイデルが青ざめる。

「そなたと同じ、伯爵家のご令嬢だよ。」

 バハールが続ける。

「ラナ嬢もその方が、気が楽だろう。」

 バハールに笑いかけられてラナにも少し笑顔が戻ってきた。

「『王立』の学者は、地学と気象に明るい者と、農学者だな。

 騎士ではないが誰か出せるだろう。」

 ダモンの言葉は穏やかだ。

「だが、警務の者も頼む。」

 宰相が口を挟んだ。

「流刑者の中だ。」

「そうだな。」

 ダモンが頷いた。

「ヴェズレイ宰相、私は?」

 ギルバートがヴェズレイに訊ねる。

 宰相が困った顔をした。

「お前の居場所は無かろう?」

 宰相の代わりに答えたのはバハールだった。

「バハ様!」ギルバートが声を荒げた。

「いつものように、外側にいろ。

 折角、おだやかになっている土地だ。

 踏み込んで、お前が寝た子を起こすことはない。」

 バハールが諭すようにいう。

 ギルバートが肩を落とした。

 こんなに動揺しているギルバートを見るのは珍しい。

 ラナがギルバートの横顔を見上げていた。

 その視線に気づいたのか、ギルバートがちらりとラナを見て目を伏せた。

「ケネス伯、もう行きなさい。

 陛下も奥に戻られた。

 今日はここまでだ。」

 宰相が会釈して部屋を出て行く。

 カイデル・ケネスも皆に深く頭を下げるとそのままの姿で部屋を出て行った。

「…あれが、ケネス伯か。」

 バハールが苦笑を浮かべた。

「貧相だな。」

「バハ、失礼だよ。」

 ダモン侯爵がバハールをたしなめる。

「この前、ローンデールに会った。公爵も一緒だったな。」

「ローンデールか。バルタル家門の中では嫌われ者の一家だ。」

 ダモンが顎に手を当てた。

「そういえば、息子が『騎士見習』に来ることになったな。」

「にぎやかしい子でな。

『騎士とは』と尋ねたら、『権力』と答えよった。」

 バハールが笑って、そして笑みを消した。

「…微かに、覚えておるのだろうよ、公爵。」

「…。」

「最初の役目だったな。」

 バハールの言葉にギルバートの表情が暗くなる。

 見上げるラナには何もできない。

(辛そうに見えるのは気のせいじゃないわよね。)

「すべてを負えるほど、お前は大きな男ではない。」

 バハールがギルバートの肩に手を置いた。

「ラナ嬢を見守ることが今のお前の役目じゃないのか?」

 ギルバートが眉間に皺を寄せた。

「そんなに眉間に皺を寄せていると、早く老けるぞ。」

 バハールの言葉に笑い声をあげたのはダモンだった。

「いつまでも赤い土地にしてはおけんということだ。

 水に恵まれれば、生きる土地になる。

 希望は持て、ギルバート。」

 ダモンも励ますようにそう言った。

「さて、我らも退散するか。

 ピーちゃん、飲みに付き合え。」

「ピーちゃん?」

 思わずラナが吹きだした。

 ダモンがバツの悪そうな顔をする。

「ピュティアスだよ、バハ。」

「ピーちゃん、のほうが可愛く聞こえるだろ?」

 バハールがラナに笑いかけた。

 ラナも笑みで答える。

 バハールはダモンを引きずるように部屋を出て行った。

「騎士団長様が『ピーちゃん』って。

 仲がよろしいのですね。」

「『騎士見習』の同期だそうだ。」

 ギルバートが歩き出した。

 ラナが後を追う。

 彼は、足元の怪しいラナのためにゆっくり歩いてくれている。

 王宮の長い廊下はとても静かだ。

「陛下の言ったことは気にするな。」

「…。」

「水脈は探さねばならないだろうが、君の身体で水場を作る必要はない。」

「だけど、見つからなかったら!」

「探す前から、心配するな。」

「はい。」

 ラナのヒールの音がする。

「リュート大平原は、元は緑の作物が実る農業地帯だった。」

 ギルバートがゆっくりと話し始めた。

 ラナがその横顔を見る。少し苦しそうだ。

「豊かな土地で、そこを領地にしていたバルタル侯爵一門も裕福な貴族だった。

 家門も古く、私の家の次ぐらいに由緒ある一族だった。」

「…。」

「先王陛下とランバート様の仲たがいの隙を狙って、王家簒奪の謀反を起こした。」

「王家簒奪って、王族は『勇者の末裔』じゃないとだめではないのですか?」

「バルタル家の直系にも王家の血筋が認められている。

 バルタル侯爵家は王家の傍系男子が降下して作られた。

 私の公爵家より少しばかり離れているが、他の侯爵家よりは王家に近い。」

「…。」

「王家が不仲で、公爵家も当主が変わったばかりで不安定。

 その隙を狙われた。」

 ギルバートの横顔が少し下を向く。

「リュート大平原のむこうはフィアールント王国になる。」

「フィアールント?」

「アンバー・エイリークを覚えているか。」

「…。」

「奴の国だ。

 火の竜をいただく。

 その実体はよくわからない。

 ずっと、鎖国のところだった。」

「…。」

「その国がバルタル侯爵をそそのかし、王家へ挙兵させた。」

「…。」

「先王もランバートも王国の総力を挙げて、バルタルを鎮圧した。」

「公爵様は?」

「私は『銀翼』騎士団を相続したばかりだった。

 フィアールントの魔物を叩くのが役目だった。

 その戦場がリュート大平原だ。」

「公爵様が焼いたって…」

「ちょうど、荒んでいた時期で、すべてのものを破壊していた。」

「えっと?」

「フィアールントの火竜を倒すのに、『冥主』の力を欲した。

 その力をこの身に取り込んで、火竜に挑んだ。」

 ギルバートが左手首の腕輪を見せた。

「火竜は?」

「倒せなかった。」

「どうなったの!」

「向こうも力を使い果たしたのか、フィアールントの地に逃げた。」

「!」

「気が付いたら、リュートの大地は焼け爛れて人の血で赤くなった。」

 ラナが立ち止まった。

 水色の瞳を大きく見開いている。

「それからの私は、この通り、『()()()()()』だ。」

 ラナを待つように立ち止まったギルバートがそう言った。


 ◇◇◇


「ラナ様!」

「旦那様!」

 馬車の側で、マリアンが水筒を抱きしめていた。

「あ、水筒!」ラナが叫ぶ。

「『熔水剣(ようすいけん)』、あったのね!

 もう! 呼べばよかった!」

 ラナが水筒を抱きしめた。

「旦那様、」

「こちらは大丈夫だったか、クロル。」

「はい、ラナ様の水筒が音を立てたので、心配だったんですが。

 すぐに静かになったので。」

「ジェイドが子供たちを連れてきたと思ったが。」

「はい、先程、ご両親がみえて帰られました。

 どちらのお方ですか?」

「ケネス伯だ。新しく伯爵に叙爵された。」

「え、そうは見えない…」

「クロル、」マリアンにたしなめられる。

「あの、旦那様もラナ様もどうなさいますか?」

「屋敷に帰る。」ギルバートが答えた。

「いいんですか?」

「実は、これなの。」

 ラナがマリアンにドレスの後ろ裾を見せた。

 点々と焼け焦げのあと。

「確かに、園遊会には戻れませんね。」

「そうね。」

「それよりも、」マリアンが不安げな顔をした。

「なに?」

「エバンズ夫人が怖いです。」

 マリアンの言葉に四人が固まった。


 ◇◇◇


 ラナのケネスへの出立の前日になっていた。

 その日は、珍しく霧が出ていた。

 まだ皆が寝ているだろう早朝、フィイは小さな包みを抱えて、屋敷の門に向かっていた。

 一昨日、『騎士見習』の合格発表があった。

 フィイは、首席合格で学費総免除になっていた。

 皆がお祝いをして喜んでくれたが、旦那様だけが寂しそうな感じだった。

 学費を出してくださるつもりだったそうだ。

 フィイは門で立ち止まった。

 振り返って館を見上げる。

「フィイ、」

 呼ばれて振り返った。

 いつもの黒の騎士服でギルバートが立っていた。

「旦那様!」

「お前のことだから、見送りされるのを嫌がって朝一番に行くのだろうと思っていた。」

「…旦那様、」

「私は、お前にしてやらなければならないことがある。」

 ギルバートの声は優しかった。

 彼はフィイに近づきその背中に回った。

「旦那様?」

 ギルバートは、フィイの栗色の髪の留め紐をほどいた。

「あ、」

 少し長くなった髪に小さなナイフを当てた。

 二筋ほどの髪を削ぎ切る。

「大人になる旅立ちの日、父親がすることだそうだ。」

「旦那様、」

「フィイには少し早いが、子供の時間は終わり、これからは独り立ちだ。

『おめでとう』と言っていいかはわからないが。

 きっと、フィイはもう私のところには戻らないだろう。」

「旦那様、」

 ギルバートがフィイの髪を片手で束にし、それを新しい髪紐で結んだ。

「旦那様?」

「ラナに、新しい髪紐をフィイに結んでやって欲しいと頼まれた。」

「ラナ様…」

「『みかわ糸』の組紐だ。彼女が作った。」

 フィイがギルバートに振り向いた。

「大切にしなさい。」

「はい。」

 フィイが嬉しそうに笑った。

 ギルバートは、フィイの髪をそいだナイフを鞘におさめると手に握らせた。

 そのナイフを見て、フィイが驚く。

「これは!」

「ただ一つの形見だろう。

 そう言った。」

「こ、これで私は旦那様を刺しました!

 なのに!」

「だから、だ。

 これを持っている限り、フィイはもう間違いを起こさない。」

 フィイがナイフを抱きしめて頷いた。

「行っておいで。」

 フィイが顔を上げた。

「行ってまいります、ギルバート様!」

 フィイは涙目だったが、元気よくそう言うと駆けだしていった。

 ギルバートがその姿を見送る。

 消え始めた薄霧に、彼がまた屋敷の方に振り向いた。

「一緒に見送ってもよかったんだぞ。」

 ラナがそっと姿を見せた。

「フィイは、ギルバート様に『行っておいで』って言われたかったんですよ。」

「そうか。」

「じゃ、私も行きます。」

「え?」

 ラナの姿は、緑の少年服姿だった。

 斜め掛けの雑のうに背中には『熔水剣』の水筒。

 いつもの髪は背中で固く三つ編みにされている。

『みかわ糸』の服だが青色ではないので、違和感がある。

「明日じゃないのか?」

「先に『王立』へ合流します。」

「そうか。」

 心なしかギルバートの声が沈んでいる。

「気を付けるように。

 それと、君は大事なことを忘れがちだ。」

「はい?」

「危険な場所に行く。

 身を守る必要もあるだろう。」

「…?」

「『情けで手を止めるな』。

 イゼーロでは忘れていたな。」

「公爵様だって!」

 ラナが微笑んだ。

 ギルバートもバツの悪そうな表情を浮かべた。

「あの、」

「ん?」

「これをお返しいたします。」

 ラナが上着のポケットから、赤い石のついたブレスレットを取り出した。

 園遊会でつけていたものだ。

 ギルバートの前にぶら下げて見せた。

 それを受けるように出された彼の手にそっと置いた。

「私のでは、ありませんから。」

「え?」

「私は、かわりにはなりません。」

 そういうとラナは姿勢を正した。

「行ってきます。」

 ギルバートが頷いた。

 踵を返して歩き出したラナの先は霧が晴れていた。


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