過去脱出
贋札といいます!
カクヨムでもやってます!
1話 追放
「お前を王国、いや大陸から追放する、
これは国王としての正式な命令だ」
私が国王にそう告げられたのは極秘任務から帰ってきて、
すぐのことだった。
ここは広い謁見の場所だが人は
私たち2人しかいない。
「何故私が追放されるのでしょうか?
任務は完璧にこなしましたが?」
私の今回の任務は極秘任務、
特級の災害生命体、つまり魔獣と呼ばれる
存在の討伐だった。
「…お前はこれまでに9の特級魔獣と4の1級魔獣を討伐してきている」
事実だ、だからこそ追放の理由がわからない。それに大陸から?
「?私の行動に何か問題がありましたか?」
率直な疑問をぶつける。
すると国王は困ったように頭を振り。
「…お前の討伐した魔獣は死体が残らん、
そしてお前の存在自体が国家にとって極秘事項だ
今回の討伐で特級は残り3、1級は残り4、となった」
へぇ、そうだったのか。しかしわからない残りの魔獣を討伐しろ、
ならわかるが国外追放とは……
「ここから先は王国騎士団や他の国の騎士団、冒険者たちに
任せることが、国内外の会議で決まった、
そうなってくると、お前の存在は色々と都合が悪い
魔獣を討伐したことの証明には死骸が不可欠なのは
お前も知っていよう?
しかし、お前の場合死骸は残らず…」
そう言って国王は私の装備、杖、外套、などを見る。
…なるほど、そういうことか。
「つまりは、一部の人たちから反感があった、と。
おおかた、本当に討伐しているのか?といういつものやつですね?
私の能力、というか力のことは国王のみが知る情報ですからね
それで今までの私の功績に違和感を唱えた貴族や
他国から圧力がかかり、私の情報をリークしてしまったと?」
全くリークしたらどういう反応があるか分からない
わけでもないだろうに
「…“漆黒の魔法士”の噂自体は元々あったからな。
今回の任務で確信に近づいたのだろう。
やはり、その能力は危険すぎるのだ。
1級以上の魔獣を魔法具に作り変える能力は」
まぁ、そうだろうとは感じてたけどね。
「それで私を危険視した者たちが排除に動いたと?
別に私は構いませんが、普通に一流だとか特別な存在
では1級はともかく特級は討伐できませんよ?」
そう特級の魔獣には、特急たり得る秘密がある。
その秘密を知っているのは私だけだ。
「…曰く、君でも倒せるのだから自分でも倒せると、
思い込んでいる者たちが多いようでな…」
なるほど宰相や貴族の子息のボンボンとか
頭の硬い冒険者連中といったところか。
まったく、だがこれ以上大恩ある陛下には迷惑はかけられない。かけたくない。
「では私は出て行きます、今までありがとうございました」
頭を下げて国王の元を去る。
「すまない、我がミリオン王国への貢献心より感謝する」
最後にそんな国王の言葉を聞いて
王城を出た。さてどこへ行こうか?
ん?待てよさっき大陸からも追放とか言われなかったか?
…詰んでるな、これは。
しかしこれでも“漆黒の魔法士”と呼ばれた?身だ。
前々から開発していた魔法を試してみよう。
「魔法陣展開、試作禁忌魔法、時空超越」
これは自分を未来に飛ばす魔法だ。
人生で1回しか使えないのが難点だけど効果は抜群、なはず。
と言うのも試製したのは先週、誰にも発表していない魔法だからだ。
っと、忘れてた、その前にと
「魔法起動、眷属召喚」
私の家臣?みたいな仲間に事情説明と
協力要請、謝罪をしないと。
でもクビってカッコ悪いなぁ……
そうしていると
魔法陣が起動して中から
蒼の外套を纏った長身の青年と
紅の外套を纏った低身の少女が現れる
「やぁ、シャルル、アカツキ、久しぶりだね」
とは言っても3週間ぶりくらいなのだが
「シロ、何用で何故、我らを呼んだ?」
?怒ってらっしゃる?
「そうよ普通、任務以外であたしたちを呼ばないのに」
そうだったか?
「あぁ、実はーーーーーーーー」
「ーーーというわけなんだ、
悪いけど2人には、今の表の仕事を本職に切り替えてほしい」
彼らは連れて行けないからな
「…事情は把握した、してお前はどうする?」
シャルルが問いかけてくる、当然だ自分たちを勝手に呼び出してる
相手に突然言われてもね、
「早期理解に感謝するよ…私は時空超越で1000年後へ行く、2人には…
魔法起動、禁忌魔法、不老不死、永続進化、肉体再生、精神強化
…これで1000年間待機していてほしい、可能か?」
これだけ魔法をかければ足りるかな?
前もって私の作った魔法具も渡してあるし
「無論可能だ…了解した、我らは1000年間お前の帰還を待とう」
「他には何か指示はないのー?ぶっちゃけ1000年は暇!」
2人とも理解が早くて本当に助かる、そこに頼りがいもあるとくれば最高の
一言に尽きる
だが私にはもう時間があまりない。アカツキ……それは自分でなんとかして……
連絡は手早く
「1つだけ、今の2人なら1級は討伐できるだろう、
だがそれだけだ無事に帰還できはしないだろう。
…特級は…絶対に手を出すな、他の者にも
出させるな。アレは特別という枠には到底収まりきらないモノだ。
…とにかくいいか絶対に、だ」
少し強めに念を押す
しばし2人は沈黙したが
ついには
「了解」
「わかった」
よし、なんとか納得してくれたみたいだ
「じゃあ、1000年後にまた会おう
魔法起動、時空超越、」
次の瞬間、私の体が光に包まれ魔法陣が高速で回転する、
光ったのも束の間の一瞬すぐに魔法陣は消えてしまった
ーーーーこうして世界には食物連鎖の王座に王者がいない期間が
1000年できたのであった、無論そんなこと本人は知りもしないし
知ろうともしないだろうが、何であれ、その手に掛からなかった
3つの災害と4体の化け物は安心して暮らす期間ができた。
中には力を蓄えるもの、ひたすら隠れることに徹したもの
さまざまなモノがいたが全員が共通して認識はしていたものもある。
それは意識して深層意識の隅へと追いやったが、誰もが感じていた
“この暮らしは束の間の出来事、仮初めの日々でありアレはいつの日かこの世界に
帰ってくる、その時が自分たちの最後だ”と、
しかし、時とは必ず去るものであり、来るものである。
時は、流れる。そして、“その時”はやってきた。
ーーーーーーーー1000年後
突然、男はその反応を捉える、しかし突然というよりは、
そのことが起こることを知っていて、今補足したという方が適切な
表現だろう。
「!この反応、奴が、来るー」
ーーーこの世界の王が、
そして、女もまた同じ反応を捉えていた。
「おお!遂に帰ってきたんだねー、待ち侘びたよー!」
だが、その反応を捉えたのは2人だけではない。あるものは
深い深い海の深淵から、あるものは高い高い空の上層から、
またあるものは遠い遠い次元の彼方から、その存在、危険すぎる
天敵、己を凌駕せし者を認識する。
ーーーー“帰ってきたのだ”と、この世界の何者をも従え、屈服させる王者が、
絶対的な力と圧倒的な知略を持ちて
ーーーある山脈の上空2000メートル巨大な魔法陣が描かれ、ソレが姿を表す、
再びこの世界に王者が返り咲く、その瞬間であった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…魔法起動、探知魔法を全周囲に設定…展開、
収束、探知完了、探知結果魔暦1870年リベリア大陸北西ミリオン王国東ピロッテ山脈中腹…」
私は探知魔法を閉じて顔を上げる。
「ちょうど1000年、本当に1000年後に来たのか…
まずは街に出よう、それから仕事を探さないとな
さぁ、私の新しい人生の出発だ」
ありがとうございました!
なろうとカクヨムを完全に分けてます。
PNは同じですが(苦笑)