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懐古録

作者: 右京

「少し、眠るわ」


そう呟き静かに瞼を閉じた妻は、2度と目覚めなかった


その最期は、毎晩眠りに就くそれと何ら変わりなく私は、ただ


無言だった


妻の告別式、葬儀を終えた我が家で真新しい仏壇に飾られた妻の


遺影を見つめた。その笑みは、出会った中学3年の頃の面影を残し


私を遠い過去の自分に引き合わた


「ねぇ、消しゴム貸してくれない?」


君からのその1言から全てが始まったんだよな


結婚までの長い道のり、何度も笑い合ったり喧嘩したり


時には君の平手を頬に受けた事も未だ昨日の出来事の様に覚えている


結婚までの道のり、結婚してからの道のり。君があっての自分だったと


今更に痛感してるよ


失ったものは、2度と戻らない。これからの余生君との思い出を紐解きながら


静かに暮らすよ。たまに帰ってくる子供達や孫達


アルバムの中に遺る家族の記憶、増えてく新しい家族の記憶


この思い出は褪せる事の無い見えない宝物の様


宝物を胸に逝った君は、幸せな者だ


いずれ私もそこへ行くよ


その時は、また声を掛けてくれないか


出会ったあの時の様に。








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