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Six Distance  作者: 神名 信
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第8話

 翌日の日曜日、虎は午前中から清掃のバイトだった。4月から毎週日曜日は1日バイトを入れていた。バイトの先輩がポリッシャーという機械のブラシでカーペットを洗浄し、虎は残りの泡を強力な掃除機で吸い取っていた。1日働くと汗びっしょりだが、終わった後のコーラの美味しさはこれまで味わったことがなく、続けられそうだと思っていた。

 休憩時間にスマホをちらりと見たがこれといった着信もないので、30分ほど仮眠をして午後のバイトのために休養した。


 礼は何もない土日は稼業の肉屋を手伝っていた。今日は礼が出る代わりに母親が休んでいた。父は優しいのだが兄はうるさい。ことあるごとに礼をしかりつけては、おまえがしっかりやらないと母ちゃんが休めないと言ってくる。もう小学校から手伝っているのにミスもしないよと思いながら「分かりました主任」と答える。夜までは長いなと思いながらレジを打っていた。


 真人は日曜日、予備校が休みなので近くの図書館で勉強していた。学校のない土日は最低でも10時間、調子が良ければ15時間は勉強すると決めていた。今のところ模擬試験の結果も悪くなく順調だ。友達が休みにバイトを入れているから、自分もやろうかと思ったが、母親から勉強がアルバイトだと思ってやりなさい。私がその分の報酬として毎月の小遣いはきちんと出しますと言われ、バイトはしないでおいた。

 

 さくらは夕方からバイトなので昼までゆっくり寝ていようかと思っていた。しかし、朝から弟、妹たちがうるさく、母にもおつかいを頼まれたので仕方なく起きる。さくらの髪がボサボサなのを見て、妹がブラシをかけてくれる。小学生ながらそういうことが自分の仕事と思っているようだ。

 荷物持ちのため中3の弟を1匹捕まえておつかいのお供をさせる。4人きょうだいの中では姉の命令は絶対であった。おつかいが終わるともう昼になっていた。母親はパチンコに出かけていていない。

 さくらが買ってきた材料の中から適当に見繕ってみんなにオムライスを作ってあげた。弟や妹たちは本当に喜んで食べてくれる。こいつらかわいいなと思いながらさくら自身はダイエットの為ヨーグルトだけを食べた。家にはwi-fiが置いてあるのでギガ数を気にせず動画が観られる。ドラマや動画を観ながらまったりしていると、そろそろバイトに行く準備をしなければならない。鏡の前で化粧をし始めると妹がじーっとこちらを見ている。憧れてでもいるのだろうか。準備が終わり家を出ようとすると母親が紙袋にたくさんのお菓子を持って帰ってくるところだった。おそらく、今日のパチンコは勝ったのだろう。


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