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Six Distance  作者: 神名 信
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第6話

 虎が通話を切ると、姉がじとっとした目で虎を見ていた。「あんた、だらしない顔しているわよ」とのこと。「うるせー」と言い返しつつスマホのカレンダーを見ていた。

 虎の家は王子駅からさらにバスで少し行ったところにある公団住宅だ。間取りは2DK、父は転勤族で今は大阪で働いており、母も一緒に大阪にいる。そこで、6歳年上の姉と虎は2人暮らしだった。

 姉は専門学校を出て働いており、今日もどこかで飲んできたらしく酒臭い。母親代わりのつもりなのか、虎のことについてはいちいちうるさく言ってくる、

 勉強会の予定については個別LINEでなく、6人のグループLINEに送ってみた。来週の土曜日、池袋の紗矢の家で朝10時から勉強会を開く予定だけど時間合せられますか?途中参加もOKです。と打った。


 23時15分にLINEが着て、真人も確認した。

 真人の家も虎や礼の家の近くで、少し大きめのマンションである。母親は弁護士をやっており、かなり評判が良いらしく、稼ぎがいい。父のことは聞いたことがなく、真人もそれについては聞かないことにしている。

 刑事弁護が母の専門らしく、平日だけでなく、土日でも夜でも依頼人から連絡があればすぐに家を飛び出していく。

 母からは、幼いころから東大法学部に行くように言われ、その後ロースクールも行きなさいとも言われている。子どもの頃から勉強するのは苦でなかったし、目は悪くなって眼鏡はするようになったが、母のことも尊敬していた。来週の土曜日は丁度予備校もなかったので、母に聞いてみると難色を示したが、勉強会と言うと許してくれた。

 学校のこと、友人関係、勉強のこと、ほとんど全てのことは母親に相談してから決めている。もしかしてというか、きっと俺はマザコンなのだと思っていた。

 LINEには参加OKと打ち込んだ。


 お、真人がOKなんだ。礼はそう思った。

 礼も真人と同じ地区であり、商店街の一角にある肉屋を営んでいる両親と兄と4人家族である。兄は20歳だが、高校卒業と同時に店を手伝い始めている。今の時代肉屋は経営も難しそうだが、店はそれなりの規模と品ぞろえがあり、それを好んで少し遠方からも客が来てくれてそれなりに流行っている。182センチ、83キロの礼の巨体も毎日の新鮮な肉食のたまものと言える。

 昨日から寝ていないので、ふらふらしていたが、参加OKとだけ打ち込んで眠りについた。



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