第3話
集合場所には、一番に礼が着き、次に虎、芽衣と紗矢は1時ちょうどに2人で現れた。
「2人ともかわいいじゃん!」虎が軽口を叩く。
「なんか、おっさんに言われているみたいだよ」そう言いつつ芽衣もあまり悪い気分ではないようだ。
4人は予定していたカラオケ店に入っていった。受付を済まし、ドリンクを持っていくと、思ったより広いボックスに案内された。
4人は無難に流行の曲を歌っていくが、礼はアニソンを、紗矢はアイドルの曲をちょくちょくはさんでくる。虎と芽衣は曲のセンスが合っているのか、2人でデンモクを見ては何か言い合っている。
芽衣が歌っている時、虎が紗矢の方に来た。
「今日は眼鏡じゃなくて、カラコンなんだ、似合っていると思うよ」
紗矢は内心めちゃくちゃ嬉しかったが、顔を赤くしてうなずくことしかできなかった。
そんな、周囲のことには目も行かず、182センチの足立 礼はひたすらデンモクをいじって次に自分が歌う曲を探していた。
カラオケが夕方6時に終わって、もう少し遊べるということで、東急ハンズへ文房具を買いに行くことになった。
ハンズに行く途中も、虎の隣には当然のように芽衣がいて、その後ろに礼と紗矢、身長差40センチ近い2人が並んで歩いていた。
・・・カラコンのこと気づいてくれたんだ。私のことみていてくれているのかな?でも、いつも芽衣と一緒のような気がする。付き合っているのかな?あー分かんない。今度さくらちゃんに聞いてみよ。紗矢がうだうだ考えているうちに東急ハンズに着いた。
文房具コーナーに行くと、日本のあらゆる文房具が置かれているような品揃えだった。紗矢が高い所にある品物を見ようと背伸びをしていると、虎や礼が取って見せてくれた。芽衣が言うには、それは背の低い女子特有の攻撃方法だとのこと。
買い物も終わり解散となるが、それぞれ帰宅方向を聞くと、虎と礼はJR王子駅方面へバスで帰るとのこと、また芽衣は高校のある大塚方面へ山手線で1駅とのことだった。皆が驚いたのは紗矢が池袋駅直近のタワーマンションに住んでいることだった。
皆からお嬢様―!と言われ返事に困ったが、そろそろ中間テストの時期だし良かったら真人やさくらも入れて6人でタワーマンションまで来る?ということになって、勉強会の日程を考えながら解散となった。