第20話
虎が帰りのバスに乗っていると珍しい人からLINEが着た。真人からで、母親とけんかしたというものだった。どうやら、家も飛び出したらしい。とりあえず、話は聞くから、俺の家に来てと連絡した。
30分バスに揺られながら今日の出来事を色々と考える虎。
「紗矢、お風呂かな?」LINEを打つ。
返信はない、おそらく、なにかしているのだろう。
芽衣にLINEしようか悩んでいると、今度はさくらからLINEが着た。私のことで真人君がお母さんと大喧嘩しちゃったみたいで、今虎君の家に真人君が向かっていて、私も自転車で向かっているとのこと。
さくらには、もう遅いから引き返すように伝えたが、どうにも返信がない、そのまま来てしまっているらしい。
なんだか、今日は盛りだくさんの日だな。と虎は思った。
姉にLINEしてみると、もう帰宅しているようだ、最悪2人泊まらせることになるかもしれないとLINEを送ると、きちんと親御さんに了解もらってねとのこと、もらえないでしょ!と突っ込みを入れながら。そこらへんは大丈夫と曖昧に返事をしておく。
バス停に着くとすでに、真人とさくらが虎を待っていた。「よお、お二人さん」と声をかける。もう、夜の8時45分になる。とにかく、話を聞くよ、と家に帰りながら2人の話を聞く。
どうやら、真人が例によってお母さんに相談をしたらしいが、それが珍しく恋愛相談だったため、お母さんに「今はそういう時期ではないでしょ?」と即座に却下され、今までは逆らったことのない母親に人生初めてと言っていいような反抗を見せたらしい。
そのまま、親子喧嘩になり、家を飛び出したとのこと。話が終わった頃に、虎の家についた。
「まあ、上がってよ」と2人を促す。
「お邪魔します」と2人の声が重なる。
「あら、いらっしゃい、真人君と?」
「初めまして、神無月 さくらといいます」
「さくらちゃんか、よろしくね、虎の姉です」
「姉貴、なにか飲み物でも出してやってくれる?」
「はいはい、じゃあ、みんな、まずは手を洗ってね、それから、とりあえず、お茶ね、私はもう飲んじゃっているから、引き続き飲ませてもらうからね」
「ありがとうございます」またハモっていた。
「なんだか、2人似ているわね、感じが、もしかして付き合っているの?」
「姉貴、あまり冷やかすなよ」
「あはは、ごめん、ごめん、酔っぱらいだから多めに見てね」




