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Six Distance  作者: 神名 信
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第1話

 「とら、早く行かないと焼きそばパンなくなるぞ!」

 「れい、俺の分も買っておいてくれよ」

 「知らねーよ、先行くからな」

 東京都立文央高等学校、JR大塚駅近くにある中堅進学校である。黒木 虎も足立 礼も文央高校の1年A組の生徒であった。

 「芽衣めい紗矢さや、一緒に買いに行こうぜ」

 「残念!私たちは今日お弁当だから」高坂こうさか 芽衣が仲間なかま 紗矢の方を見ながら言った。

 「ハイハイ、一人寂しく行ってきます」虎はちらりと十文字じゅうもんじ 真人まさとの方を見るが、黙々と勉強しているので声をかけずに売店の方へ歩いて行った。

 そんな、クラスメート達のやり取りを廊下側の席で一人ポツンとコッペパンを食べながら神無月かんなづき さくらは聞いていた。

 さくらはシングルマザーの家庭で育ち、弟二人。妹は一人いる。年収250万円程度しかない母親はパチンコが趣味で少ない収入がどんどん吸い取られていく。

 高校一年生となった4月からは夕食が出るということで居酒屋で働いてはいるが、月のバイト代は7万円くらいにしかならず、母親に5万円差し出した残りの2万円を弟・妹と一緒に分けていた。

 「さくらちゃん、一緒に食べよ!」声の方を見ると、芽衣と紗矢だった。とっさに食べていたコッペパンを隠してしまった。とても恥ずかしい気になった。断ろうかと迷っているうちに売店から戻ってきた虎と礼、それに真人まで加わって結局6人で食べることになってしまった。

 それぞれスマートフォンを取り出して、食事をしながらサイトやアプリを開いてお互いに見せ合ったりしている中、さくらはスマートフォンを取り出すのも嫌だった。皆は最新機種を持っているが、さくらのものは1万円の中古スマートフォンだったからである。

 しばらくすると、スマホの着信があったので、さくらが取り出して見てみると、グループLINEのお誘いだった。今いる6人のグループLINEらしい。特に断る理由もなかったので承諾して仲間に入った。そもそも登録していたのは紗矢だけだったが、グループLINEの人全員から個別LINEの申し込みも着て、それも一つずつ承諾していった。

 そこまでで、昼休みも終わり、午後の退屈な授業が始まった。

 4月から始まった授業中、スマホを隠れていじるチャレンジャーもいたが、大半は見つかって没収一か月となり、今は授業中に使う者はいなくなった。


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