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夏のホラー2019

H大学オカルトサークル活動日誌

作者: 索☆創

八月六日

 夏休みのオカルトサークルの活動は廃病院巡りに決まった。

 特に指示がなければ夜十一時集合。

 住所が大学近くで帰省しない俺、部長、O谷、I美、U子が参加予定。


八月七日

 H廃病院。大学から一番近い、というか敷地内。

 大学の警備員に見つかりそうになったのが一番怖かった。


八月九日

 A記念廃病院。大学から徒歩十分。

 O谷がカルテを持ってきやがった。

 部長と一緒に怒って返してこさせた。

 特に催促の電話等の現象は起こらなかった。


八月十日

 I廃病院。大学から徒歩十五分。

 再利用の予定があるのか中が片付けられていて綺麗だった。

 工事の迷惑になりそうなので部長判断で途中で引き返した。


八月十一日

 聖B記念廃病院。大学から徒歩三十分。

 昨日とは違って中が荒らされていた。

 途中I美が生首と騒いだが、不法投棄かイタズラのカット練習用の頭マネキンだった。


八月十二日

 Y廃病院。大学から徒歩二十分。

 二階で光が見えて思わず叫んだら叫び返された。

 高校生の胆試しグループだった。

 女いるのイイッスね、と羨ましがられた。


八月十三日

 O市立廃病院。徒歩五十分。

 特に何なかったが女子部員からこれ以上遠くなるなら車を出せと怒られた。


八月一四日

 U廃診療所。徒歩十二分。

 昨日の反省をいかして近場。

 住宅兼診療所でお婆さんが住んでいた。

 お爺さんが医者でお婆さんが看護師だったそうだ。

 お爺さんのおもいで話に夜明けまで付き合わされたのがきつかった。


八月十五日

 今日は終戦記念日なので活動なし。


八月十六日

 I記念廃病院。徒歩二十五分

 一階は落書きだらけだったが二階から先は全く汚されていなかった。

 U子が二階に上がってから寒気がするといって部長にしがみついていたが何も起きなかった。

 ちょっと部長が羨ましい。


八月十七日

 聖N記念廃病院。徒歩四十分。

 電気がきていたのか非常口の緑色の灯りが不気味だった。


八月十八日

 O廃医院。徒歩四十八分。

 ヒタリ、ヒタリと近づいてくる足音にびびったが、ホームレスのおっさんが住んでいただけだった。

 ヤンキーじゃなくってよかったと言われた。

 

八月十九日

 O記念廃病院。徒歩だと一時間は歩くのでO谷が親父さんの会社のハイエースを借りてきた。

 車だとあっという間についたが門が鎖で施錠されて入れなかった。

 仕方ないので外をぐるっと一周してきた。


八月二十日

 S廃診療所。徒歩二十八分。

 普通に廃屋。崩れそうなので窓から覗くだけにした。

 剥がれかけて逆さまになった女性のアップのポスターを、懐中電灯で照らしたO谷が腰を抜かして部長と交代でおんぶした。

 女子部員二人は無事だった。

 

八月二十一日

 昨日のお礼でO谷の家でBBQすることになった。

 未成年はいないので飲んだ。

 部長の怪談が傑作だった。


八月二十二日

 U廃医院。車ですぐ。

 歯科医院だった。O谷がふざけて椅子に座ったら水が染み込んでいたらしく、びしょ濡れになった。

 車を汚せないので帰りはU子の運転になった。

 金が貯まったら俺も免許を取ろうと思うほどの恐怖を感じた。

 通路に寝かせたO谷はしばらく立てなかった。

 

八月二十三日

 G記念廃病院。車ですぐ。

 のはずがU子のせいで恐怖のドライブが一時間。

 正直、病院の中は覚えてない。


八月二十四日

 I総合廃病院。徒歩三十五分。

 車は懲りたので徒歩。

 入る前、建物の中にぼんやりとした灯りが見えた。

 I美がバシャバシャデジカメのフラッシュを焚いたら、見覚えのあるホームレスのおっさんが写っていた。

 暴走族に襲われそうになって引っ越したそうだ。

 オカルトサークルとしては幽霊より生きた人が怖いとかいらない。

 

八月二十五日

 D廃病院。徒歩十二分。

 動物病院だった。珍しく部長が猫の声が聞こえると言ったが、建物から出たら合体している猫がいて視線のやり場に困った。

 女子部員がキャーとかイヤァネーとか言いながら凝視していた。


八月二十六日

 E総合廃病院。車で十分。

 有名心霊スポットの山沿いの大きな廃病院だったがカーナビが設定できなかった。

 ついに何か起こるのかと皆で期待したが着いてみたら更地だった。

 最近のナビの情報更新って凄いねと帰りの車内が盛り上がった。


八月二十七日

 聖S廃病院。車ですぐ。

 今回は建物があってよかった。

 イタズラなのか入口の天使の像の首と腕がなかったのが怖かったですね、と部長にいったらニケでググれと言われた。

 

八月二十八日

 U総合廃病院。車で二十分。

 結構遠出したが何も起きなかった。

 デカイ建物は回るのも一苦労だった。


八月二十九日

 K廃病院。車で十五分。

 昨日とは違ってこじんまりとした建物だった。

 潰れたてのようで多くの物が残っていてまだ人の気配があった。

 心霊スポットとしては大した事なく、ただの無人の病院だった。


八月三十日

 A廃診療所。車で一時間。

 有名な謎物件を最後に。

 二階に上がる階段が無いので有名な建物だったが部長があっさり謎を解いた。

 単純にもう一棟あった建物が解体されていてその跡が塞がれているらしい。

 そういえば敷地の形もそうなっていた。

 帰りの車内で部長が女子部員二人にもう少し空気読めと怒られていた。


八月三十一日

 今日でオカルトサークルの夏の活動は終わりだ。

 結局今年も特に心霊現象には遭遇しなかった。

 O谷が廃病院を結ぶと五芒星がとか騒いでいたが、六芒星も二重円も書き放題だと部長に突っ込まれていた。


 俺も何か見つけないとレポートを書くのに困るンだよなと、何かに引っ掛かりを感じながら、空振りに終わりそうな夏の活動をまとめたコレを部長に提出した。

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― 新着の感想 ―
[一言] ありがとうございます! すっごいウケました。あー、納得です。ですよね… 今夜はグッスリ眠れます。次回作も楽しみにしてます!
[一言] 面白かったです。 日記形式いいですね。 最後の主人公の気にかかる事は何だろうと気にかかる。 何度読んでも私の頭ではわからない… 椅子だけが濡れてたの?ニケの像?わからん…
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