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まどか 乃木坂学院高校演劇部物語  作者: 大橋 むつお
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90:『二直目の不寝番』

まどか 乃木坂学院高校演劇部物語


90『二直目の不寝番』         





 日夕点呼(ニッセキテンコと読みます。ムズ!)


 わたし達の部屋は、たった三人なので見ればすぐに分かるんだけど、そこは自衛隊。


 部屋の真ん中に、三人並んで、名前を呼ばれる。


「仲まどか隊員!」「はい!」


 てな感じです。夏鈴が、声がナヨってしてるんで叱られる


「声が小さい、もう一度。南夏鈴隊員!」


「は……はひ(>Д<)!」


 夏鈴は叱られたことよりも(夏鈴は学校で叱られ慣れています)叱る大空さんの変貌ぶりに驚いてる。やっぱ本職、勤務と休憩時間じゃ百八十度切り替えている。


―― ハハハ、昔ならビンタがとんでくるとこだよ ――


 乃木坂さんが、面白そうに笑っている。隣りの部屋で、忠クンが同じように叱られてる。


 忠クンは、思いと現実のギャップに若干のショックを受けているみたい。


 それから、明日の朝のためにベッドメイキングを習った。


 ベッドの四隅を三角に折り込まなきゃならなかったり、案外ムズイ。でも説明は一回ぽっきり。


 日夕点呼から、就寝までの十五分のうち十分近くがここまでかかった。


 就寝までの数分間の間に西田さんがベッドメイキングのチェックをしてくれた。ほんの何ミリかの折り込みの違いを修正。


「明日の朝もチェックするが、しっかり覚えておくように」


 西田さんは、そう一言残して行っちゃった。男が、女性の部屋に入るのは禁止なんだそうです。



 ここからは、乃木坂さんが夢の中でしてくれたお話です。



 不寝番の二直目に当たった西田さんは、忠クンといっしょに一直目の企業グル-プさんから、不寝番四点セット(懐中電灯、警棒、警笛、腕章)を引き継ぎ、午前零時から二時までの立ち番。忠クンは、不安と寒さから喋りたげだったけど、西田さんは一喝した。


「不寝番は沈黙!」


 庇のあるところだったので、雪だるまになることはなかったけど、体は芯まで冷えて、忠クンは歯の根も合わないくらい震え、昼間の疲れもあって居眠りし始めた。


 バシッ!


 西田さんの平手打ちがとんだ。


「この雪の中、居眠りしたら凍えて死んでしまうぞ……!」


 それから二十分ほどして、西田さんは気配を感じ、懐中電灯であたりを照らした。


「どうかしましたか……?」


「気配がした……」


 しかし、雪の上には足跡一つない。


「気のせいか……」


 次の瞬間、障害走路場に続く道で、はっきり気配がした。十数名の声が切れ切れに聞こえてくる。


 オッチ、ニ、オッチ、ニ、ソ-レ……オッチ、ニ、ソ-レ……


「おまえはここにいろ」


 忠クンにそう命ずると、西田さんは声の方向に駆け出した!



☆ 主な登場人物


仲 まどか       乃木坂学院高校一年生 演劇部

坂東はるか       真田山学院高校二年生 演劇部 まどかの幼なじみ

芹沢 潤香       乃木坂学院高校三年生 演劇部

芹沢 紀香       潤香の姉

貴崎 マリ       乃木坂学院高校 演劇部顧問

貴崎 サキ       貴崎マリの妹

大久保忠知       青山学園一年生 まどかの男友達

武藤 里沙       乃木坂学院高校一年生 演劇部 まどかと同級生

南  夏鈴       乃木坂学院高校一年生 演劇部 まどかと同級生

山崎先輩        乃木坂学院高校二年生 演劇部部長

峰岸先輩        乃木坂学院高校三年生 演劇部前部長

高橋 誠司       城中地区予選の審査員 貴崎マリの先輩

柚木先生        乃木坂学院高校 演劇部副顧問

乃木坂さん       談話室の幽霊

まどかの家族      父 母(恭子) 兄 祖父 祖母

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