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まどか 乃木坂学院高校演劇部物語 作者:大橋 むつお
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7:『携帯を手に悶々』

まどか 乃木坂学院高校演劇部物語・7   




『携帯を手に悶々』


 わたしは寝床で携帯を手に悶々(もんもん)としていた。


 悶々って「もだえ苦しむ」って意味だけど、もだえてはいなっかった。じっと仰向けになってスマホとにらめっこ。でも心はもだえていた……でもって、ラノベくらいしか読まないわたしのボキャブラリーでは、この表現が精一杯。


 なにを悶々としていたかというと、「観客動員」なのよね。


 コンクールの観客って、手の空いた出場校や、出演者の友達、家族程度。まちがってもコンビニでチケ買ったり、ネットで予約してくるお客さんなんかいないのよ。

 だいたい、入場料そのものとらないんだもん。とったら、それこそ誰も来なくなる。甲子園の「高校野球大会」はアルプス自由席でも五百円の入場料をとっている。高校生のお芝居だって、三百円くらいはとってもいいんじゃないかと、乃木坂で演劇部やってると思うんだけど(それだけ、プライドと自信はある)

 でも、他の学校は、ひどいのになると学芸会。とても、お金とって他人様にお見せはできません。

 それと、入場料とると、既成脚本の場合、上演料が一万円を超えちゃう。

 なによりも入場料とっちゃうと、劇中で使う音楽や効果音の使用に著作権というヤヤコシイ問題がおこってくる。無料であるからこそJASURACも「曲や歌詞に改変を加えない限り、使用許可も、使用料もいらない」ってことになっている。

 じゃあ、乃木坂の看板で観客……せいぜい百人くらいしか集まらない。

 フェリペのキャパは四百。ちょっとキビシイ。

 で、マリ先生のご命令で、一ヶ月も前から各自観客動員に力を入れている。

 わたしも主だった友達なんかにはメールを送りまくった。


 でも、リハの夜になってもメールを送りかねているヤツが一人……。


 わたしのモトカレ、大久保忠友……。

 アイツとは、去年の秋、あらかわ遊園でデートして以来会っていない……。


 受験をひかえた去年の秋、久々に「デートしようぜ」ってことになり、互いにガキンチョのころからお馴染みのあらかわ遊園。


 都電「荒川区役所前」から、九つ目があらかわ遊園前。お互い小学校の遠足で来て以来。ガキンチョに戻ったようにはしゃいでいた。都電の中でも、遊園地の中でも。

 互いに意識していたんだ、このデートが特別なものになる予感……それが嬉しくって、怖くって、はしゃいでいた。


 彼とは、中二のときに同じクラスになり、いっしょに学級委員をやったのが縁。


 二人ともお祭り騒ぎが大好きだったんで、クラスのイベントは二人で企画して意気投合。意識したのは、文化祭の取り組みで一等賞をとったとき。実行副委員長をやっていたはるかちゃんが表彰状を読み上げてくれた。実行委員長の山本って先輩が、閉会式の直前に足をくじき、保健室にいっていたので、はるかちゃんが代読。

「……よって、これを表します。南千住中学文化祭実行委員長 山本純一。代読五代はるか。おめでとう……」

 幼なじみの顔になって、はるかちゃんが表彰状を渡そうとしたとき、突然いたずらな風が吹いてきて、表彰状が朝礼台の前で舞い上がった。

「あ、ああ……」

 慌てた大久保くんとわたしは、表彰状を追いかけてキャッチ……そして、お互いもキャッチ……つまりね(思い出しても顔が赤くなる) 偶然ハグ……ってか、モロ抱き合っちゃいました。それも、なんという運命のいたずら。互いのクチビルが重なってしまった!

 わたしにとって……多分アイツにとっても、ファーストキスは何百人という生徒と先生たちの公衆の面前で行われたんだよね((n*´ω`*n))


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