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 ーーー09時55分。正式サービスまであと・・・5分


 俺の名前は《和泉いずみ白斗はくと》。高校2年生だ。


 俺は今、待ちに待ったゲームの正式サービスが開始されるのを頭にヘッドギアをつけながらベットに寝そべり待っている。


 VRMMORPG《DifferentFrom Online》通称《DFO》。

 このタイトルこそが今話題になっている超期待の新作ゲームの名前で、今まさに俺が待ち望んでいるゲームの名前でもある。


 ベータ版のころからの人気もすごかったのだが、参加した人たちからの感想がさらに人気を高める火種となったみたいだ。

 ちなみに俺もその感想を観て火種がついた一人でもある。


 内容は至ってシンプルな剣と魔法のファンタジー世界のお話みたいなのだが、まず職業という枠組みがなく自由度が高いというのが人気のひとつだった。


 ステ振りも自由、装備も自由、もちろんスキルも自分で好きなものを選んで成長させていくことができる。

 作り方によってはオンリーワンになることだってできるかもしれないのだ。


 その他にも、イン中は現実の体は催眠効果で眠らされているのだが、ゲームの中での食事、睡眠なども可能である。

 驚くことに食事には味を感じることもでき、満腹感も得られるということなのだ。


 ただし、ゲームの中で食事や睡眠ができると言っても現実は寝たきりになっているので、体や脳に異常が見えればシステムが勝手にログアウトさせるという仕組みになっている。


 それらの情報がネット等で発表され話題となったのである。

 ちなみにその他の理由としてこのゲームを開発した会社 《クイックスター》の考えることが他とは違い面白いという人たちもいたのだったーーー


 ーーーそうこうしているうちに時刻が09時59分になっていた。


 俺はヘッドギアの横にある電源スイッチを待機状態から稼働状態へと移した。


 ーーーDifferentFrom Onlineへようこそーーー


 間もなく正式サービスが開始されます・・・


 ・・・・・・10秒前


 ・・・・・・9


 ・・・・・・8


 ・・・・・・7


 ヘッドギアのディスプレイにカウントダウンが表示されたので、俺も気分を高めるために声に出して数えた。


「5・・・・・・・4・・・・・・3・・・・・・2・・・・・・1・・・・・・スタート!」


 頭の中が白く塗りつぶされたようになり、次第に意識はゲームの世界へと移り変わっていった。


 ーーーしばらくした後、俺はそっと目を開いてみた。


「・・・・・・ここは」


 徐々に意識を覚醒させていきながら、辺りを見回してみると、そこは先程までいた自室ではなく辺り一面真っ白で方向感覚がおかしくなりそうな空間に俺は立っていた。


 辺りを見回しているうちに真っ白い空間の中にポツンとひとつだけ椅子が置かれているのを見つけた。


「とりあえず、あそこにいってみるか」


 そう言って椅子の方に歩いていくとどこからともなく声が聞こえてきた。


「ようこそDifferentFrom Onlineの世界へ。プレイヤー様を心待ちにしていました」


「ーーーっ!」


 俺は辺りをキョロキョロして声の主を探すと、目の前の椅子の横側に徐々に姿が現れ始めてきた。

 それは金色の髪をしたメイド服姿の女性だった。


 俺が驚き戸惑っていると、そのメイド服姿の女性がほんのり微笑み話を続けてくれた。


「はじめましてプレイヤー様。私の名前は《イブ》でございます。チュートリアルナビゲーターを勤めさせていただきます。よろしくお願いいたします」


「あ、ああ。よろしくどうぞ」


「フフ。プレイヤー様はこういうのは始めてですか?」


「うん、まぁ。始めてかな」


「畏まりました。そう緊張しなくても大丈夫ですよ。私はAIですのでそこそこは臨機応変にお話しできますのでお気軽にしてください」


「あぁ、そうなんだ。とりあえず了解」


「それではこれより登録などの手続きを開始しますね」


 少しクスクスした後イブは本題に戻ったので、俺は頷くことで相づちをうっておいた。


「最初にお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「名前かぁ・・・・・・どうしようかな」


 そういえば名前を考えていなかったと思い悩むが、全然思い浮かばなかったので結局・・・


「あー、じゃハクトでいいや」


 ただの本名になってしまったのだった。


「畏まりました。それではハクト様で登録の方をさせていただきます」


「よ、よろしくぅ」


「次にアバターなんですが、これは実物の外見になります」


「ゲッ!マジかよ」


「はい。しかし、唯一髪型、髪色、目の色、肌の色だけは変えることはできますがどういたしますか?」


「おぉ!それならまだ大丈夫か」


 俺は現実ではイケメンというわけではないので外見を変えられないのは少し残念だった。

 決してブサイクというわでもないと思うんだが・・・・・・どうだろう。ま、まぁ普通ぐらいだろ・・・・・・たぶん。


「じゃ髪型とか変えるかな」


「畏まりました。それではお好きな髪型等を頭の中でイメージしてください。それをシステムが読み取って反映させますので」


「おぉ、了解」


 俺は頭の中で自分のアバターのイメージをした。

 

 俺は昔から前髪で片目が隠れているようなキャラが好きだったのでその髪型をイメージし、色は髪を白色に目を赤色になるようにイメージした。


 イメージし終わると、全身が光輝きだし、光が収まると目の前には鏡が用意されておりそこには先程イメージした自分が立っていた。


「おぉぉぉ!いいねぇこれ。これならこの平凡な顔も少しはましだろう」


 俺は喜びのあまりはしゃいでいると、「クスクス」と声がして、そういえばここにはイブもいたんだと思いだし恥ずかしさを隠す為に髪を触ってごまかしたりした。


「とってもお似合いですよ、ハクト様」


「お、おぉ。・・・ありがとう」


「それに元の姿も私はいいと思いましたけどね」


「・・・・・・そ、そか」


 今のAIってすごいなと思った。そんな感想までいってくれるのかよ・・・・・・まぁ誉められたのは若干嬉しかったけどね。


「それでは次のステップへ進みますがよろしいでしょうか?」


「あ、あぁ。頼むよ」


 おそらく少し顔が赤かっただろうと思い、恥ずかしかったがとりあえず先を促すことにした。


「畏まりました。それでは次はステータスとスキル等ですが、もし詳しい説明をご希望されるのでしたらお教えしますが、どうなさいますか?」


「ん~。だいたいは調べてきたから必要ないと思うけど、もしわからなかったら随時質問するでも大丈夫かな?」


「えぇ。問題ありません。それでは私の方でも軽い説明を入れながらの進行とさせていただきますね」


「うん、よろしく」


「それでは始めにスキルを選んでいただきます。こちらは始めに5つのスキルを選ぶことが可能です。

 スキルの中にはレベルが上がると派生するものもあります」


「なるほど。ゲーム内でスキルを習得することもできるんだよな?」


 確か、ベータ版をした人の情報でどこどこでスキルを習得したぁ、みたいなのを見たので一応確認の為聞いてみた。


「はい、可能です。NPCから授かったり、クエストで貰えたり、戦闘中にも覚えることはあります。

 自分にあったスキルを探すというのもこのゲームの醍醐味でもあります」


「おぉ!それは面白そうだな」


 思わず興奮してしまった。

 ますます早くやりたくなって、体までソワソワしてきた。

 それに気づいてか、イブはニコっと微笑みながら先に進んでくれた。


「それはよかったです。では、この中からお好きなスキルを5つお選びください」


 イブはそう言うと、パチンッ!と指を鳴らし俺の目の前にビッシリ書かれたスキル欄を出した。


 俺はそれに目を通すと、そこには《片手剣スキル》や《両手剣スキル》等と書かれた主に武器スキルがあったり、

 他には《魔法スキル》や《生産スキル》中には《その他のスキル》等といったものが種類別に書かれていた。

 

 このスキル一覧はあらかじめネットの攻略情報でみていたので、あらかた決めていたこともあり特に迷わず5つ決め終わることができた。


「スキル承りました。次にステータスですが、初期レベルは1になります。レベルはモンスターやクエストなどでレベルアップすることができます。

 そして、レベル1の現在でステータスポイントを振れるのは10Ptとなっております。

 ステータスポイントはレベルが上がるごとにもらえますので振り忘れのないように気をつけてください。

 ここまでで何かご質問はありますか?」


「いや、大丈夫」


「畏まりました。それでは頭の中で『ステータス』と念じてみてください」


 イブに言われた通りに俺は頭のなかで『ステータス』と唱えてみた。

 すると、目の前に自分のアバターの写真と名前、レベル、ステータス、スキル・魔法、現在装備しているものが浮かび上がってきた。


「ただ今、ハクト様の前にはステータス画面が表示されていると思います」


「あぁ、でてきた」


「その画面の時にステータスポイントを振り分けることが可能になります。ステータスの上部分に10Ptと表示されているのがわかりますか?」


「ん?・・・おぉ!ある、あった。」


「後は、そのポイントをどこに振るか頭の中でイメージしてもらえれば振り分けることができます。

 このDifferentFrom Onlineは基本、頭の中でイメージすることでメニューを開いたり装備をしたりログアウトしたりできますので覚えておいてください」


「あぁ、わかった」


「それではステータスポイントの振り分けを行ってください。終わりましたらお声をお掛けください」


「了解」


 イブに返事をしたあと俺はステータス画面を見つめ、どこに振るか考えたが元々魔法をメインとする戦い方が好きだったため、そこまで時間がかからず決める事ができた。


 

  ーーー ハクト Lv1 ーーー

  ーーーーーーーーーー 0 Pt

  HP 100

  MP 50 +150 (50)

  STR 10

  VIT 10

  INT 10 +10 (10)

  DEX 10

  AGI 10

  LUK 10


  《スキル・魔法》

  ・炎系魔法 Lv1 ・光系魔法 Lv1 ・魔力増幅 Lv1

  ・詠唱省略 Lv1 ・MP節約 Lv1

 

  《装備》

  武器


  頭

  体上 冒険者の上着

  体下 冒険者のズボン

  手 冒険者の皮手袋

  足 冒険者の靴


 とりあえず俺が選んだスキルとステ振りはこんな感じになったのだ。

 軽くステータスを説明しておくと、STRは筋力や物理ダメージ、VITは物理防御やHP、INTは魔法攻撃、防御やMP、DEXは器用さや命中率、AGIは素早さ、LUKはクリティカル率を表している。


 ちなみにステータスの横にある《+10》はステータスポイントを振ったやつで、そのさらに横にある(10)というのはスキルや装備での値である。


 ステ振りも終わったので俺はその旨をイブに伝えた。


「畏まりました。それでは最後に注意事項などを少しーーー」


 その後はゲーム内での注意事項や現実の体に異常をきたした場合は強制ログアウトとなる等を聞いて、ついにチュートリアルを終える時がきたのだった。


「長い間、お付き合いいただきありがとうございました。最後になりましたが、プレイヤーの方みなさまに運営スタッフからガチャのプレゼントがございます」


「えっ?・・・もしかしてチュートリアルガチャってやつ?」


「ーーーーーーはい」


次回『2、ガチャとシークレット』

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