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今日も私に寝取られて














“また”姉がやらかしたらしい。






我が家の双子の姉は実に自由奔放だ。






知ってたし知ってる。






でもね姉上。






今あはんうふんと跨ってるその人。






私の婚約者です。






あとここ私の部屋。

























別に思い詰めるほどのことではない。



婚約者は夫じゃないし。

姉の見た目はほぼ私だ。



だから彼が今私の目の前で土下座しているのは全くもって無意味な行動でしかない。むしろフィニッシュのお邪魔をして申し訳なかったとすら思う。




「顔をあげてくださいな」



私はとても落ち着いていた。

それでも半分くらいは期待していた。

でも結局この男も他の男と同じだった。

ただそれだけのこと。



「お帰りはあちらよ」



私はドアを指差した。

青くなったままの男はズボンだけ履き、シャツは腕にかかえたままの姿で出て行った。遠くの方でメイドたちの悲鳴が聞こえたけれどそれも今はどうでもいい。




ベッドに座ったままの姉は困ったような笑顔で私を見つめていた。



「ごめんねぇ、暗くて貴方の婚約者だなんて気がつかなかったの」



まるで私が声を出しているのかのように錯覚するほど姉の声は私に似ている。実際には私は姉のような甘ったるい話し方は出来ない。でもこんな声を私も出せるのかな、とうっすら思った。



「シルビア、許してくれる?」



小首を傾げて可愛らしく見上げてくる姉の姿に私はため息をついた。


「ええ、お姉様いいのよ…」


これで何度目だろう。

数えたことはないけれど友人を含め、私の周りにいた最後の男がとうとう彼女に食べられてしまった。


「そう、良かった!」


そう言うと姉はピョンとベッドから降りてまるで何事もなかったかのように部屋を出て行った。


(シーツ…交換してもらわなくては…)


一人残された私はベッドを見つめる。

先ほどまで姉と婚約者がやらかしていたためシーツは激しく乱れていた。

さすがの私もこれを使うのは嫌だ。

私はメイドを探すため部屋を後にした。

廊下を歩いているとふと先ほど絶望に満ちた婚約者の顔が浮かぶ。





別にどうでもいい。





姉と私を見分けられない男に執着なんてしない。





私たちはいつもそうだ。

彼らに非がないと言えてしまいそうなほどに似ている私と姉。双子だから当たり前と言えば当たり前かも知れない。

だが見分ける方法が無いわけではない。

姉のうなじ、それも髪の生え際ギリギリにある黒子。

それだけが唯一私たちを見分ける印。だけど私たちは他人にうなじを見せたことがない。夜会であっても、お茶会に呼ばれても、私たちは決して髪をアップスタイルにすることはない。

だから知られていないはずだ。

何か約束したわけではない。

それは私たち双子の暗黙の了解。

この違いは両親でも気がついていないかもしれない。




(またお見合いしなきゃ…)




私はまたため息をついた。

まずはあの婚約者との婚約を解消する所から始めよう。

いつもと一緒だ。

「浮気現場見ちゃったから婚約解消する」と言えばいい。それが姉だとは私の口からは流石に言えない。両親もうっすら気がついているだろうからあえて口にすることもないだろう。




しかしどうしようか。

私の出るような夜会で姉と寝ていない男を探す方が大変。

しかも私に声をかけたりダンスに誘った男性はもれなく姉にお持ち帰りされるのだからタチが悪い。この世は食うか食われるか。



「貴方のことが気になるなら私でもいいってことでしょ?」と姉は毎度悪びれずに言う。男性たちの中でも最初は誘ってきたのが私だと思ってついて行く人も少なくはないらしい。姉はそうした人たちを相手にして最後の別れ際にやっとネタバラシとして名乗るのが好きだった。相手は当然驚くがそのうち何も思わなくなる。だって顔は同じなのだもの。男性なんてそんなものだ。





だから今回の婚約者だってどうでもいいのだ。何度も何度も会っている私と頑張って会わせないようにしていた姉を間違えたのだもの。

強いて苦情を言うなら自分の部屋でやってくれということくらい。




私の心はとっくに冷めていた。




いつか私だけを見てくれる人が、そんな素敵な人がいればいいのに。











流行りものに乗ってみました。

テンプレも理解してない内に見切り発車してますがよろしかったらお付き合いください。(とりあえず寝取ってたらいいのかな?くらいの認識)



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