秘密
作成中の小説より、コンセプトを超短編にしてまとめたものになります。
評価をつけて頂ければ幸いです。
恋をすることは秘密を持つことだと、一度しか恋をしたことのない私でもそう思います。
恋とはお互いに秘密を持ち、打ち明けることなのです。誰に明かし、誰に隠すか、そのやり取りを私たちは恋と呼び、太古より行ってきたのだと確信しております。
その中でも私の秘密は最も重く、最も罪深いものでしょう。
私は彼に一つ嘘をついています。それは私が彼と過ごせる時間はあと僅かしかないということです。
どうか許してください、私は、本当はもっと側に居たいのです。しかし運命は、時は、それを許してくれないでしょう。
打ち明けられないこともどうか、許してください。今の居心地の良い距離が、修復不可能なほどに壊れてしまうことが怖くて、とうとう言い出せずに終わってしまいそうです。
今日がきっと最後の日になると思います。もし、今日も言い出せずに別れてしまったら、本当にごめんなさい。
謝ってばかりでごめんなさい。でも、貴方の未来が輝きに溢れるように、心から祈っています。
或る日記帳より