~君に会いたい~
「闇の大戦」で敗れたライン帝国。
帝国の島、グリーグに住む中年アイバは、ごく日常を送っていたが…
序
「ピカッ」
「グゥワワワワーン‼」
ライン帝国の軍事都市で、メカテリア共和国の光子力兵器Bが炸裂した。
累々と横たわる声のなき人影。
「闇の大戦」は、ライン帝国を含む4ヵ国が、102ヵ国を相手に起こした戦争だったが、敗戦間近だった
ライン帝国が、光子力兵器によって、決定的な打撃を被り、降伏したことで、終止符を打った。
ライン帝国は、102ヵ国の連帯国軍に裁かれ、国の掟を変えられたが、皇帝ゾフィ四世は、命を許された。国が廃墟と化し、最貧民となった国民も、敵国であったメカテリア共和国の援助によって、命をつないだ。
情勢が落ち着いて来たころ、ゾフィ四世は、国民を鼓舞するために、各地を回った。ライン帝国は、連帯国によって、軍事力を失わされ、表向きは、平和国家となった。人々が勤勉だったため、経済的にも、世界有数の国にまで発展していった。
人々は、また、他国の戦争を反対するデモを起こすほどに、戦争についてデリケートになっていた。
ある日、病床についていたゾフィ四世は、思い出したように、
「グリーグを忘れていた‼」
と、叫んだ。
「グリーグ」とは、かつてライン帝国が武力で併合した島で、戦争では、敵味方に大きな被害があったところであった。
ゾフィ四世は、グリーグに行く機会がなかったのだ。年老いた彼には、もはや、グリーグを訪れる気力は残っていなかった。
時な流れ、ラインの皇帝は、ゾフィ四世の代から、ゾフィ五世の代へと移り変わっていた…
つづく
この作品を通して、読者の皆様の反応が知りたくて、投稿いたしました。