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恋愛感情

作者: @ nao

誰しも持つ恋愛感情、誰しも持つ狂気。二つ混ざったらきっとこんな感じ。

すごく短いので、ぱぱっと読めるかと思います。

内容は、少しマニアックな部分に焦点を当てているので、合わないと思ったら読むのを中断することを勧めます。

 人が人を好きという感情は、誰しも持つことができるものである。

 けれど必ずしも、皆が皆、それぞれの好きを理解できるものではないのだろう。


  ■


 いつもどおり友達とファストフード店に入って、適当にバーガーセットを一つ頼むと、店の奥の方にある4人掛けの席に腰掛けた。話すことは学校のことから家族のことまで。そしてやっぱり恋の話。普段はガサツな子もこの話になると急に可愛らしくなる。恋ってものは女の子を可愛らしくする魔法のようなものなのだろうか。

 友達の話す恋の話は、とても楽しそうで嬉しそうで切なさとか苦しさとかそんなのもあって、少し羨ましく思えた。他人のことでこんなに感情や行動が揺れ動くなんて、大変なことだし、それでもいいと思える、それは考えてみれば不思議なものな気がする。

 他人、なんて言い方は冷たいと思われるかもしれないけれど、いつからか私は人に興味が持てなくなった。正しく言うなら持てなくなったというよりも、持ちにくくなったという表現の方が正しいんだろう。

 幼い頃の私は、好奇心の塊のような子供だった。誰彼構わず話しかけては「一緒に遊ぼう」と言い、人と積極的に関わっていたし、知らないものがあると気になって寝られず、周りの人に聞いていた。今の私しか知らない友達に訊いたなら、みんな揃って「イメージと合わない」と言うことだろう。

 好奇心はある日突然、その頃までの反動のように失われた。原因は私もわかっている。たぶんきっと、怖くなったから。あのことに気付いてしまうのが。


  ■


 彼は私のことをハルと呼ぶ。私も彼のことをハルと呼ぶ。私たちは毎朝おはようと言葉を交わし、毎晩おやすみと言葉を交わす。どこか似ていて、でも決定的に違うもので。私たちの関係を言葉で表すのは簡単だけれど、一つの言葉なんかで、この関係を括りたくはなかった。

 私よりも背の高いハルは、スラリとしていて格好いい。彼の全部を好きと言っても過言ではなかった。眠そうに目を擦る姿も、大きく口を開けて欠伸をする仕草も、悲しいことがあった時に下唇を少し噛む癖も、怒って無口になるところも、嬉しい時に口がよく半開きになっているところも。少し癖っ毛の髪の毛を気にしているけれど、私はそんな髪も好きだった。私よりも薄めの唇も魅力的だ。中でも一番好きなのは手。少し筋張っているけれど、なんだかしなやかさがあって、そして大きくて温かい。昔はよく手を繋いでくれていたけれど、最近は恥ずかしいのか繋いでくれることが少なくなった。

 ハルと私の距離感は徐々に変わってきていた。それはハルの心が、感性が、周りを取り巻く環境が変わってきたからなんだろう。私にも変化はあった。それでもハルより小さい変化で、私の心は変わることはなかった。むしろ、ハルへの気持ちは強くなる。

 ついにハルには私よりも大事な人、というよりは気になる人ができたようだ。悩んでいたハルに話しかけると、私の知らない女の子のことを話し始めた。私はハルの相談に丁寧にのってあげた。それを恋愛感情だということ、どうすれば成就するのか、そんなことは伝えはしなかったけれど。私以外にその感情を持つことを、私は許すことができなかった。ハルは私の一番で、ハルの一番は私でなければならない。昔から、お互いにお互いが一番大事だったんだから。


  ■


 人に話せない秘密は誰にでもある。私は話すこと自体に抵抗はない。どうして秘密にするかと言われたら、このことを話してしまった後、私の恋を、愛を阻むものが増えると知っているからだ。人は自分の常識と違うことを始めに否定する。寄り添っても理解できないことを非常識と定義して自分から遠ざける。私の想いは多くの人が否定するものだろう。けれど、誰かが言っていたはずだ。「恋する気持ちは誰にも止められない」だの「誰を好きになるかは自由だ」だの「好きになった人が好きな人なんだ」と。それとも、そんなことを説いた人でさえ、私のこの想いは否定するのだろうか。

 人が人を好きになる理由なんてちっぽけで、人が人を好きでいるのに理由なんかいらなくて、人が人に想いを伝えるのにたぶんきっと難しい言葉なんていらない。


 私はハルが好き。

 世界で一番、宇宙で一番、この世に存在するものの全ての中で一番、ハルが大好き。愛しい愛しいハル。私のたった一人の弟。

母さんのお腹の中では一緒だった。けれど二人になってしまった。だから私たちはいずれ結ばれる運命にある。一緒になる運命にある。血の繋がりよりも強固な何かで結ばれなければならない。幼い頃からずっと、私と貴方は一心同体で。生まれる前からずっと二人は一つなのだ。

 ハル、私は貴方なしでは生きていけないの。だから貴方も私なしでは生きていけなくなるくらい、私は貴方を縛りつける。今日も、明日も、これから先ずっと。


記念すべき初投稿ですが、どうしてこんなのを書いたのか自分でもびっくりです。

近親相姦とか、同性愛とか、悲恋ものとか、ちょっと普通とは違うジャンルが好きなんですが、そんなの読んでる影響がここで出ちゃった気がします。

ちなみに弟なんていないです。兄弟いますけど、恋愛感情なんて一切ないです。微塵も欠片も顕微鏡で見つめても見えないくらいないです。


作品についてですが…まぁ短いですね。書いてない部分がたくさんあります。

察しのいい方は気付いていると思いますが、男女の一卵性双生児をイメージして書いてます。

一卵性双生児自体珍しいのに男女となって更に珍しくなり、さらに姉が弟の方に恋をするなんて、まぁありえないですね。だから書いてみたくなったんですがね。

作中では”ハル”としか出ていませんが、姉は遥、弟は晴太という名前です。双子ということで、親なら名前に何かしら繋がりを持たせるかなと、そう考えた結果のこの名前です。結局愛称しか使いませんでしたが(笑)


拙い文章、並びに個人的趣味がテーマの作品でしたが、

読んでくださった方、ありがとうございました。

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