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君の隣には僕がいる  作者: 番茶
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第2話 二人の日常









鳥が歌ってる。










ぼー、と空を見上げれば姿こそ見えないが鳥のさえずりが聞こえてくる。


私ことソフィアは学院の東の外れにある東屋で強制的に日課となったティータイムの真っ最中だ。








「ねぇ、ソフィアさん聞いてますの?!」



「え…?」




あ、まずい、ぼーっとしすぎたようだ。「え?じゃありませんわよ!」と若干ヒステリックに避難の声を上げるご令嬢を前に私は「ちゃんと聞いておりましたわ」と困ったようにやんわり微笑む。




「アレックス様が微笑んでくださったのでしょう?」



「そう!そうよ!今日は以前よりも1メートル近くで微笑んでくださったの!あれは私に向かって微笑んでくださったのよ…」




はぅ、と頬を染め遠くを見つめるご令嬢。このご令嬢は隣のクラスの伯爵令嬢である。学院に通っている間は身分など関係なく過ごすことが義務付けられているため口調に関してはスルーしよう。


そう、これが私の日課にして日常。

未発表とは言え仲良しすぎた四人組の婚約話は周囲にバレバレ。学院に入ってから知らない者はいないと思うほど周知の事実だった。



最初はこんな呼び出しではなかった。

幼いながらにモテモテ人気者だったアレックスとカレン。そんな彼、彼女らに恋する者は後を絶たず。私とエディの中の上コンビは毎日呼び出しを受けた。



ちなみに呼び出しの内容としては私が罵倒専門、エディは決闘専門であった。私たちは当然だと思った。あんな特上コンビに既に婚約者がいるなんて恋に落ちた子達は嫉妬するに決まってる。なんていうか隣に立つのがこんな中の上コンビですみませんという気持ちになったのだ。だから私たちは誠心誠意呼び出しに応えて行った。






6歳に入学して呼び出しを受け続け私は根気よく彼女たちの話を聞いた。するともう呼び出してくるメンバーが曜日化され、どこでどうなったのか10歳になる頃には呼び出しは単なるアレックスへの恋愛相談の時間となっていた。(というか同じ人が何回も呼び出してくるというのは当時想定外だった)



エディに聞けばエディもそんな感じだという。校舎裏に呼び出され決闘を申し付けられていたエディだが彼は一度たりとも負けなかった。まぁ運動神経だけは抜群だからかもしれない。今では手合わせの時間としてこちらと同じく曜日固定のメンバーになっているとか。








そんなこんなで15歳になった今、罵倒も受けないし彼女達が今週アレックスとどうだったかを報告させるただのお茶会をしています。









まぁ、大概些細な報告ではある。






些細ではあるが、報告された後はいつも少しだけ心がささくれ立つ自分がいる。














「アレックス…相変わらず誰にでも優しいのね…」




そこがまぁ良いところではあるのだけれど、とご令嬢の去った東屋で私はそっと呟いた。












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