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君の隣には僕がいる  作者: 番茶
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第18話 勉強という観察












結局、アレックスとの約束は週末にまでズレこんだ。

まぁ、平日は家庭教師がいるんだから冷静に考えればわかりそうなものだが、待ってる側としてはビクビクだったわけで…。

街中にある王立図書館で勉強することとなった。





「ソフィ、そこ、あ、違う、そうそこ」


「え、あ!ごめん、この問題?」


「そう、それ間違ってる。その前の公式を…」






ここは自習室。

図書館は私語厳禁なのでこちらに来ている。

私たちの他にはもう少し年上の男女が5、6人固まって勉強していたり、壮年の叔父様が2人熱心に本を読んで時折話し合っている。



「ここ、わかった?」


「うん、これはもう解けそう。」



椅子を並べて一つの机に屈み込む。

こんな風に二人でなにかするのは初めてかも知れない。




距離が近くて…なんだかドキドキする。

むしろこのロイヤル極上フェイスを横目に勉強できる私は免疫のある方だろう。

わからないところがあるたびに「ん?」と椅子を寄せてくるもんだから今本当に近い。



「ねぇ」


「ん?」




問題文からは目を離さずに応える。




スッと背中に手が回る気配がした。



背もたれに手を置いているのか触れることこそないが心拍数がドッと上がる。

目は問題文を見ているのに謎の汗が頬を伝う。



無心無心無心無心無心無心無心。



落ち着け、私は今、勉強中だから。

そう、勉強中だ。

不埒な考えは捨てろ。

よし、集中、集中だ。




「ねぇ」


「ぇえ!?あっ、なに!?」


ぞわぁぁあとした、背もたれに手を回してて真横で近いんだからそりゃ耳も近かった。なんとなく艶っぽく聞こえた問いかけに全身の毛がぞわっときた。うぅうう、ぞわってしたー、何度も言うぞわっとした!



もう問題なんて見てられるかぁ!と頭を上げる。


「やっとこっち見た。」


ニコリ、と逆の手で頬杖を付きながら微笑むアレックス。

え、いや、どうしたの、あ、あれ?なんか言ってたんだろうか。



「あ、ごめんなんか言ってた?」


慌てて言うと「ううん」と首を振る。


「ソフィにこっち見て欲しいな、と思って」


「へ…?」


「ごめんね?邪魔したくなっちゃった。」


これまたニコ、と今度は歯を見せる。

あ、ダメだ、イケメンすぎて顔が熱くなる。

思わず頰っぺたに手を当てて冷やす。今更、今更赤くなったりしてそんな顔見られるのは恥ずかしい…!免疫あるはずなのに…!


対するアレックスは私の反応に少し目を丸くしてすぐまた嬉しそうにする。今日のアレックスはなんだかいつもと違う、なんかこれじゃまるで、まるで、なんだろう…。




「赤く、なって…どうしたの?」


背中に回していた方の手を持ってきて顔を隠そうとする私の手を取る。

ぁあ、ダメ見られる、ともう片方の手でなんとか顔を覆うが口元と片頬くらいしか隠せない。



「あ、いや、アレックスが…」


「僕が?」


「あ、いや、今日も、カッコいいデスネ。と思っただけ…デス」



最後の方はもう尻すぼみで顔も下を向いた。

顔は赤みを増してなんだかドキドキも増してしまっている。

手はまだ取られたままだ。

うぅ、離して欲しい。

なんだこの羞恥プレイ。



アレックスの顔がもう見れない。恥ずかしすぎる。こんな反応してちゃダメなのに…。



「ハハ、ありがとう。ソフィも可愛いよ。」


「あ、うん、そんなことないけど、アリガトウ…」


「また…二人で勉強、しようね…?」





正直勘弁して欲しい、と思った。










短めで。

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