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君の隣には僕がいる  作者: 番茶
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第14話 言えない思い出


















あぁ今思い出しても恥ずかしい。











髪にキスって…!



あれはなんだったのだろう、ああいう挨拶があるのか?いや、流石に違うでしょ。あれが大人の色気かな…恐ろしい…容姿がいいだけにあの瞬間は本当に絵本の王子様の様に見えた。


アレックスやカレンで美形は見慣れていると思っていたがあの破壊力は一体なんなのだろう…。大人の色気ってああいうことなの?未だに思い出すだけで顔が熱くなってしまう。



恋愛小説ではよくあるし、壁ドンよりかはハードル低そうだけど!まさかやる人間がいたとは…!!




うぅ、胸がなんだかムズムズする。なんてむず痒いの…。あんなことを将来アレックスやエディもやるんだろうか?いや、エディはしないな。やるとしてもカレンだけだろう。





そしてアレックスにあんなのやられたら私は気絶する。間違いなく気絶する。

他の女の子にやられたら泣くな、絶対泣いてしまうわ。







あ、違うか。







アレックスが好きなのはカレンなんだから私にされることだってまずないよね…。うん、そうよ。あー、考えるだけでなんか悲しくなってきた…。いや、わかってたことですけどね。アレックスがやるかなんて知らないけどね?あーもーやだ大人の色気怖い!



















「お前何やってんの?」



「へ…?」




へじゃねえよ、と言って現れたのはエディ。

教室は私たちの他に誰もおらず、エディはドアの所に立っている。




ん?



あぁ、放課後になったのか。



いつホームルーム終わったんだろう、全然気づいてなかった。




「あれ?カレンたちもう帰ったの?」


「とっくに帰ったぞ。お前今日は呼び出しないのかよ。」


「あ、今日はないの。」



今日のご令嬢は先日私たちのとは別のパーティで出会った方とデートするらしく、お昼休みに今日は行けないと言われた。

貴女アレックス好きだったんじゃ、とは思ったが突っ込まなかった。うん、女子とは現実を見て強く生きねばならないからね。






「俺も今日はないから街にでも行かないか?」


「あら珍しい。いいけどなんか買うの?」



これは本当に珍しい。まぁ、呼び出しがないことがすでに珍しいから仕方ない。




「ん?その手紙どうしたの?」


「カレン宛の手紙預かった。」


「あぁ、ラブレターね。」



なんか急に増えたね、と言いつつ帰る準備を終えて立ち上がる。



「焦ってんだろ。人見知りなカレンがパーティに出たってなったから…」


「ふーん、なんで焦るの?」



男の子の気持ちって不思議なもんだ。

パーティに出ただけなのに。

ていうか、エディの存在も知ってるはずなのに今更なんでなのだろう。下駄箱のある玄関口へと歩き出してすぐ、こんなに早く帰れるの久しぶりだなぁ、と思った。



「俺たちはまだ行けないから。その間になんかあったら、と思ったら気にはなるだろ。」



「まぁそういうもんか。私もエディ達だけでパーティとか楽しそうなイベント行かれたら嫌かも。…そんな感じ?」



まぁそんなもんだ。と素っ気なく行って靴を履き替える。私も靴を履き替え門まで歩けば見慣れた馬車が待っていた。

エディの所の馬車だ。どうやら今日は最初から街に行くつもりだったらしい。











「用意のいいことで。」


「俺だからな。」

















街中は祭日でもないのに人が多かった。







催しもないのに普段からこんなにも多いもんなのか。放課後なんて出歩かないから知らなかった。



「ねぇ、何買うの?」


「ん?あー、いや特に決まってない。」


「決まってないってなによ。」



変なことを言うもんだ。

わざわざ馬車まで呼びつけたくせになんだというのだろう。

んー、とかあー、とか歯切れが悪いのも珍しい。いつもならズケズケ言ってくるのに。



「まぁ、あれだ…ほら、こうやって人目につく所で出掛けてる所見れば俺らが婚約者を交換してほしいって言い出しても自然かな、と思ったんだよ…。」



放課後にこの辺うろついてる奴ら多いらしいから、と言ったエディは頬をかきながら俯く。



「あ、なるほど。でも…急ね。」



「急ってこともない。遅すぎたくらいだ。本当ならもっと早くこうするべきだったんだよ。」



「エディ…?大丈夫…?どうしたの?」



エディの顔を覗き込む。

眉間にシワを寄せた顔は何やら辛そうに見える。



「なんでだろな…、なんかそうしなきゃいけない気がしたんだわ。」



私の目を見ようとしない。



「早くカレンたちを安心させてやりたいんだよ。分かって欲しい、あいつらが婚約者になれるようにしているって。」

















エディの考えはこうだった。









カレンが社交デビューし、またアレックスを好きだった令嬢たちもパーティなどに出るようになった。アレックスばかり追いかけていた輩も減るはずだ、と。だからもうカレンとアレックスが学院にいる間に婚約者になったからと言って今更呼び出されてどうこうということはないんじゃないか、とも言った。




確かに今日の呼び出しだった予定のご令嬢も新しく出会った人とデートするからと断ってきたし、そういう変化はあるのかも知れない。



まぁそもそもアレックスを追いかけるご令嬢達だって育ちはいいから表立って追いかけてるわけではなかったし、日常でアレックスと喋れたら影でキャッキャ言っているくらいのものだ。私への嫉妬はあからさまだったけど…。














早く安心させてあげたい、か。











思っていたより早い…けれどエディの考えは正しいかも知れない。ご令嬢達の世界は今や学院だけじゃない。カレンが相手となれば文句なしに祝福してくれる可能性もあった。それなら成人、学院の卒業を待たなくてもいいのかもしれない。












正直言って今は寂しい…まだアレックスの婚約者候補でいたかった…覚悟してたはずなのに諦めの悪さに嫌になる。



でも、二人のためだ。


しっかりしないと。





















「そうね、自然に見えるよう今日から事を進めましょう。」










ちょっと泣きそうなのをぐっとこらえる。










「元々私とエディが両想いであったように、カレンとアレックスが遠慮しなくてもいいように。」




















そう言って私はエディの手に自分の手を重ねて歩き出した。
















長くなり申し訳ないです。


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