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君の隣には僕がいる  作者: 番茶
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第13話 僕らの交換日記








『報告しろって言ったでしょ。ていうか、離れるなとも言ったよね。』



『報告したでしょ?お揃いのバレッタにドレスの色や形もソフィがどれだけ可愛かったかも3ページに収めただけ褒めて欲しいわ。』



『いや、それも大事だけど!なんで付きっ切りなんて許したの。ていうかアランって誰だよ。僕がいるのに一人の男とずっと一緒だなんてソフィの沽券にも関わるだろ。』



『まだ婚約者候補なのに気が早いこと。そんなこと言う輩のいる様なパーティじゃなかったから大丈夫よ。私はソフィが幸せそうならそれでいいの!初めてのパーティ、初めてのダンス、頬を染めるソフィ。あー可愛い!』



『なんてことだ…誰だよ、君が内気で大人しいだなんて言ったの。』



『あの二人が変な男から率先して守ってくれるのは昔からじゃない。ついつい守ってくれる二人が見たくて黙ってたらそうなっただけよ。』









カレンは昔からそうだった。

特にこの日記の中では殊更その色は強く出る。見た目の良さなど幼馴染の僕からすればその辺の女性と何が違うのかわからない。


それよりも強く、日々美しくなっていき、最近では少し憂いを帯びた表情もするようになったソフィの方が何倍も魅力的だ。





『それでアランって誰なんだい?君の親族でもないんだろ?』



『私もよく知らないわ。従兄弟のお友達ってだけで。ソフィの方がよっぽど知ってるんじゃない?』






こそこそと。

いつもは1日2日置きに渡す交換ノート。今日は聞きたいことがありすぎて休み時間の度、チャンスがあれば授業中にノートを行き来させる。



様子のおかしいソフィのことを想う度に胸にひんやりしたものが広がる。こんな焦燥感に駆られるのはいつぶりか、もしかしたら初めてのことかもしれない。


アランって誰だよ。


本当なら僕が踊りたかったのに。大人っぽく着飾った君の手をとってそれこそパーティの間中離さないで居たかった。


よくも知らない男がその全部を奪っていった。しかもソフィはなんだかうっとりしてる様子だし、一体なんだと言うのだ。






いつだって四人で共有して来たのに。






僕の知らない思い出に君が頬を染めるなんて絶望でしかない。


















ねぇ、何があったの?



何を見てきたの?



何を言われて、何をされたの?



なんで君は頬を染めるんだい?



何を思い出してるの?










聞きたいことがたくさんあるんだ。



でも、聞けない。

まるで恋でもしたかのような君に僕は何も聞けやしない。君の口から知らない男の名前が出るなんて堪えられない。
















ねぇ、僕を見てよ。


僕を見て


どうしたら見てくれるの?


そんな遠くを見つめないでさ


僕は君のすぐ側に居るよ


あぁ早く、大人になりたい


またそいつとソフィが会ったら?


ねぇ、パーティにはもう行かないで


またそいつとお喋りするの?


名前すら出したくもない


ねぇ、また踊るの?


僕の知らない所で思い出を作るの?


僕のソフィに触らないで


お願いだから触らないでよ


ソフィ、僕を見てよ
















僕は何一つ言えない。

僕はソフィの一番になりたいのに。

いつも誰かに先を越される。













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