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君の隣には僕がいる  作者: 番茶
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第12話 少し違う日常











「あれ、なんなの」

















アレックスが今日何度目かの同じ質問を繰り返す。


「アレックス、ごめんなさい。私にもわからないわ。」


カレンは申し訳なさそうに答えた。

あの夜会があって次の日は学院も休み、1日あけて今日またいつも通りの生活が始まる。









はずだったのだが…











「あいつ髪がどうかしたのか?」


あんな髪触る癖なかったろ?とエディも不思議そうにソフィを見やる。


「ねぇ、なにかあったの?」


アレックスがまたも尋ねるがカレンは答えられなくて困り果てる。


お昼休みになってるというのにソフィは自分の席から離れずぼーっとしている。いつもなら4人で食べるためにカレンの席近くに集まるか食堂に向かうのだが、彼女は今髪をいじってはため息をつき、髪を見つめて赤くなってはため息をつく、ということをずっと繰り返している。





「とりあえず呼んでくるわ。」


おそらくお昼休みになったことを気づいてないであろう彼女にしびれを切らしてエディが立ち上がろうとした。



「いや、僕が行くよ。」



アレックスが動くより早く彼女に近づく。

よく見ると彼女が髪を見つめながら何事か呟いている。一体どうしたのだろう、あんな彼女の姿は見たことがない。




「ソフィ、お昼だよ?ご飯食べに行こう?」


ソフィがハッとしたようにこちらを見た。「もうそんな時間だったの…」と立ち上がる。今日は食堂に行こうと言っていたのでやっと4人連れ立って食堂に向かった。















「ねぇ、ソフィ。なにかあったの?パーティからおかしいわよ?」



風邪かしら?と心配そうにカレンが言う。

今日の昼食はカレンとソフィはパスタ。僕はサンドイッチ、エディはカレーライスを頼んだ。


『パーティ』という単語に僕とエディもピクリと反応する。僕はもちろんエディもパーティのことが気になっていたらしい。


ソフィは相変わらず心ここに在らずな様子だ。クルクルと髪をいじっては「あ、パーティ楽しかったわね。」ともじもじしている。







「もう、ソフィったらアランさんと何かあったのかしら?」



困ったわねー、といった感じに肘をついて紅茶を一口するカレン。パスタはもう食べ終わったらしい。






ていうか、





え、ちょっと。







アランって誰。







あれ、ていうかソフィも顔を赤くしてるんだけど、なんなのなんか面白くない。



「つうか、アランって誰だよ?」



すかさずエディが聞く。いやそうだよね、そうなるよね。あ、エディも食べ終わったのか。僕も食べなきゃ、とは思いつつ全神経は耳にいっている。




「アランは、その、パーティで踊ってくれた方よ。カレンの従兄弟のお知り合いで、初めてのパーティで慣れないから一緒にお庭を見たりして下さってたの。」


楽しかったわよね、と付け加えるようにカレンに同意を求める。



「お庭に行ってたの?でもそうね、楽しかったわ。私はいろんな方と踊ったけどね。ふふ」


「え、2人はパーティで一緒だったんじゃないの?」


「一緒には行ったけど、従兄弟のリックと踊って次のお誘いが来てる間に逸れちゃって、それからはパーティ終わるまで別行動だったわ。」



しれっと言ってまた一口紅茶を啜る。

人見知りなカレンがこんな風に言うのは少し驚きだがまぁいいことだ、と思った。でも待て、「私は」ってなんだ「私は」って。




「あ、ちょっと私は食器先に返して来るわね!」


ガチャンと、少し慌てて立ち上がるソフィその頬は赤く染まってて明らかにこの話題に動揺している。「あ、俺も」と言ってエディも立ち上がる。僕はまだ食べ終わってないしカレンも紅茶が残っている。




二人が離れてすぐ、カレンの顔が少しニヤついた。二人の居るところでは絶対にしない顔。僕をからかう時の顔だ。この時は何を言われるかわからない。





「まだ未成年で来れないのが残念ね。ソフィったらすごく可愛かったし、最初のダンスからラストのワルツまでアランさんに付きっ切りよ。ふふふ、うかうかしてたら貴方のポジションも危ういわね。」




ふふふー、と至極楽しそうに微笑む。

コイツ、なんて女だ。








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