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君の隣には僕がいる  作者: 番茶
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第10話 貴方とワルツを










声をかけてきたのは私の知らない男の人だった。



「あれ…リック兄さん!今日来ていたの?」



「やぁやぁ、そっか、カレンもそんな年かー!あ、お友達もこんにちは。楽しんでるかい?」




大きくなったもんだ、と嬉しそうに語りかけるお兄さん。髪はカレンと同じ金色で、背はお父様より少し高いくらい。タレ目気味の中々整った顔立ちである。このやり取りを見て誰だろうと思っている私にカレンは「従兄弟のお兄さんなの」と紹介してくれて自己紹介をしあった。


まぁ確かにどう見てもこれは親戚でよくあるやり取りよね。カレンの一族は皆こんなに髪が綺麗なのだろうか…。羨ましい。



「カレンがパーティに出るなんて言ってくれれば何か贈ったのになぁ。」



ハハ、と笑うと八重歯が見えてタレ目と相まってなんとなく愛嬌があって年上の男の人にこんなこと思うのは失礼だろうけど可愛い。




「もう踊ったかい?もしもまだならお誘いしてもよろしいかな?」



カレンの前にスッと手を出すリックさん。カレンはチラリとこちらを見る。どうしたらいいか迷ってるのだろう。「行っておいで」と後押しするとカレンはリックの手に手を重ねた。リックさんがさらに嬉しそうな顔をした。



「では、ソフィア嬢にもお相手を探さないとね。」



「…え?」



てっきりそのまま踊りに行くのだろうと見送る気満々だったのに突然の提案に間抜けな声が出た。リックさんは誰かを探すようにカレンの手を握ったままキョロキョロと見回す。





「あ、いたいた!おーい、アラン!アラン、こっちに来てくれ。」



ちょいちょい、と手招きをしアランさん?を呼ぶ。人波の中からカレン達とはちょっと違う金色の髪をしたリックさんよりもリンゴ一個分ほど背の高いお兄さんが現れた。金色で髪型がアレックスと同じなものだからアレックスじゃないとわかっているのに一瞬ドキリとする。




「なんだよリック、どうかしたか?そちらのお嬢さんたちは?」



ぱちりと目があう。私たちは慌ててスカートの裾をつまみ礼をした。挨拶はね…しっかりしないとお母様に怒られてしまう。




「紹介するよ、従姉妹のカレンとそのお友達のソフィア嬢だ。彼女たちは今日が初めてのパーティだそうからダンスにお誘いしてはどうかと思ってね。」



「へぇ、てことはあれだな。成人おめでとう…ってことかな?ドレス、とても似合ってるよ。」




なんだろう、リックさんもアランさんも社交性があるというか人懐っこい感じがする。でもカレンも知っている人で良かった。全く初めての人よりなんだか落ち着いていられる。



そしてリックさんはカレンと、私はアランさんと踊る事となった。













ダンスホール中心に向かいエスコートされる。足を踏んでしまわないようにと気を引き締めた。




「ねぇ、ソフィアって呼んでいいかい?」



「え…はい、もちろん。」




ほぼ反射的に答えた。そういえばこういう時の初対面の人の呼び方ってどうするのだろう、今更ながらお母様に聞いておけば良かったと思った。



















「緊張してる?」



いよいよ、という時にアランさんが耳元で問いかける。前を見据えて「はい、とても」と答えるのに声が掠れた。
















「大丈夫、楽しんで」

















そう言ってはにかんだアランさんがアレックスと重なって不覚にもときめいた。













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