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約束  作者: 結美子
8/18

センター試験1日目 16:50

 今日の最後の試験は英語のリスニングだった。機械の不調もなく、いつも通りに終わった。またしても私は、さっさと受験会場を出て皆川君を避けた。

 控室に戻ると、みんな帰る用意を始めていた。私は近くに座っていた真知ちゃんと綾子ちゃん、柳川やながわ美城ちゃんとおしゃべりしながら帰る用意をした。

「そういえばさ、皆川君いたの気づいた?私、同じ会場だったのよねえ。」

 美紀ちゃんの言葉に一瞬固まった。しかし何事もなかったかのように私は言った。

「え?そうなの。私気づかなかったなあ。」

「あれ、藍那ちゃん気づかなかったの?私すぐに気づいたよ。」

 綾子ちゃんも隣の受験会場の皆川君の姿に気付いていたようだ。

「皆川君って誰?」

 4人の中で1人だけ第一中学だった真知ちゃんが訊いた。

「うーんとね、皆川君ってのは私たちと同じ第二中学だった子で、今は梅谷高校行ってる男の子だよ。」

 綾子ちゃんが私のほうをじっと見ながら真知ちゃんに答えた。美城ちゃんも私のほうを見ていた。

「もう、綾子ちゃんも美城ちゃんも何なの?私のほう見て。」

 あまりにもじっと見られるもので、視線に耐え切れずに私は言った。

「それは、ねえ。綾子。」

「ええ、藍那ちゃんが皆川君を好きだったからでしょ。というか、藍那ちゃんが一番に皆川君に気付くと思ってた。」

 訊かなければよかった。顔がほんのり熱くなるのを感じた。綾子ちゃんと美城ちゃんが悪戯っぽい目で私を見た。真知ちゃんからも少し驚いたように、そして面白そうに見られた。

「気づかなかったものはしょうがないでしょ。明日にでも探してみる。」

 私は3人から目をそらして言った。

「まあ、そうしたら。」

「私もどの子か知りたいな。美城ちゃん教えてね。」

「了解、真知子。」

 明日には、私の片思い相手が真知ちゃんにまで知られてしまうようだ。でもまあ、3人とも現在進行形で私が皆川君のことを好きだとは思っていないようで良かった。それがばれていたら3人とも私に告白させようとけしかけてくるんだろうなあ。

 そんなこんなで準備が終わり、私たちはそれぞれ家へと帰った。

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