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約束  作者: 結美子
17/18

推薦合格発表の日

 国立周防大学の推薦入試の合格発表。時計は09:59を指していた。私はパソコンの前に座っていた。合格発表は10:00、1分後だ。ネットにも掲載される。時計の秒針が12を指す。私はホームページの合格発表の文字をクリックした。私の受験番号は414423。国立周防大学保健福祉学部理学療法学科一般推薦枠定員は25名受験者は108名。私は理学療法学科のところをクリックした。

「414401、414408、414413。」

 だんだんと自分の番号が近づいてくる。どうか、どうかありますように。

「414417、414422、414423やった。」

 自分の番号を確認する。何度も何度も確かめる。間違いない。私、合格したんだ。私は急いでママとパパにメールした。それから、綾子ちゃんと真知ちゃんと美城ちゃんにもメールする。3人とも心配してくれいたから。メールが返ってきた。おめでとうってみんな返してくれている。ママとパパもすぐに見て返事をくれたようだ。

  ♪♬♩♪♬♫

 私の携帯の電話のメロディが鳴り出した。誰だろう。番号は私の携帯に登録されていないもの。

「はい、もしもし。」

『あ、もしもし。皆川だけど。七瀬か?』

 私は思わず電話を切った。

  ♪♬♩♪♬♫

 すぐにもう一度メロディが鳴り出した。電話をとると、

『七瀬。いきなり切るなんてひどいな。話聞いてくれよ。』

 案の定皆川君だ。私は大きく深呼吸した。

「私、皆川君に番号教えた覚えないんだけど。」

『あ、それは、柳川に訊いたんだ。七瀬の番号教えてくれって。そしたら、藍那を大切にしろって怒られた。』

 美城ちゃん人の番号勝手に教えないでよ。私は心の中で言った。

『あの、合格おめでとう。』

 今度こそ私は心の中で美城を罵倒した。普通そこまで教えるか。

「ありがとう。」

 私は堅い声で言った。

『あの、俺も、周防大の理学療法受かったんだ。』

 予想外の言葉に私は固まった。

「待って。皆川君、長門大の放射線技師って前言ってたじゃない。それに、推薦の小論面接行った時会わなかったし。」

『会わなかったのは、俺が地域推薦枠で受けたからだろ。会場違ったから。で、理学療法にしたのは、俺が七瀬といたかったから。』

 またも驚きに固まった。

「なんで、なら、どうして高校違うところにしたの?何でセンターの時私に誰って訊いたの?どうして?」

『あー、それはだな。高校、私立で勉強しっかりやらないと公立だと俺たるみそうだから七瀬と同じとこ受けられないと思って。で、センターの時は、七瀬、メイクしてただろ。それに長かった髪ショートにしてて。あまりに可愛くなってたから分からなかったんだよ。柳川に聞いた時は驚いたよ。後、彼氏いないって聞いた。』

 彼は訊いてもいないことまで答えてくれた。可愛いと言われ頬が熱くなる。鏡を見れば真っ赤になった自分の顔が見られるだろう。

「それなら、皆川君、私のこと…。」

『好きだよ。だから、俺と付き合ってくれ。大事にするから。頼む。』

 かぶせるように、真剣に言ってくれた皆川君にきゅんとした。

「なら、私のこと分からなかったお仕置きね。絶対によそ見禁止。他の子可愛いって言っちゃダメ。一生私のそばにいること。分かった?」

 私は少し甘えるように言った。

『お仕置きって、何を言うかと思えばそんなことか。ああ、一生大切にするよ。今度こそ絶対にお前を忘れない。約束するよ。藍那。プロポーズは改めてお前を養えるくらいになってからするけど。俺はお前と結婚する気でいるから。』

「ありがとう。し、翔哉。大好き。」

『俺も。藍那。』

 私の片思いは実を結んだ。

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