センター試験2日目 17:55
私が控室に戻ると、帰る用意をしているクラスメイト達がいた。私は3人にいろいろ訊かれるのが嫌でさっさと帰る用意をし、先生に挨拶をして控室を後にした。3人には会わなかった。外へ出ると、雨が降っていた。私は泣きながらバス停へと歩いた。
何故皆川君は私の名前を呼んだのか。きっと彼は綾子ちゃんか美城ちゃんに訊いたのだろう。そうでなければ、ⅠAの試験の後私に声をかけたときに、名前を呼んでいたはずだ。彼ならそうした。それは9年間同じ学校にいて彼を見てきた私には分かる。だからこそ、私は彼と話す気になれなかった。綾子ちゃんか美城ちゃんに訊いたのなら、それなら彼女らのどちらかの顔はきちんと覚えていたはずだから。やっぱり私の印象は薄いのだろうか。そう考えていると涙が止まらなかった。綾子ちゃんには少し八つ当たりしてしまった。あれについては謝らないと。
考えているうちにバス停につき、ちょうどバスが来るのが見えた。私はハンカチで涙を拭い、バスに乗った。
いつの間にか家に着いた。
「ただいま。、ママ。」
「お帰り、藍ちゃん。」
いつも通りの優しいママ。気分も明るくなる。
「藍ちゃん、濡れちゃったわね。お風呂先はいる?」
「うん。ありがとう。そうする。」
ママにそう言ってお風呂に入った。温かい湯舟は気持ちを落ち着かせてくれる。皆川君、頬腫れちゃったかな。そんなことをふと考えて、振り払った。もう彼のことは忘れよう。忘れないといけない。
そんなことを考えているうちに、気づけば夕飯も食べ終わり、ベットに潜り込んでいた。明日は自己採点。これで大学、ひいては将来が決まるのだ。まあ、今から心配しても結果は変わらないが。700、その点があれば推薦で通る。小論文と面接の指導をしてくださった先生に報いることができる。今更ながらにそう考えていた。天下のセンター試験真っ最中には、自分の将来より皆川君について考えてしまっていた。こんな私では、大学なんか受かるはずないよね。そう思いながら眠りについた。
センター試験2日目もやっと終わりました。果たして藍那の恋と将来はどうなるのでしょうか。最後までお楽しみください。




