表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

ついてない

瞼が物凄く重い。

目を開くことが非常に難しい。

休みの日に何の予定もないのに早起きして二度寝三度寝した時のようだ。

そんなに寝たら気分がよくなるどころか悪くなる。

気分が悪くなるのは嫌だ。

だから起きるべきだろう。

しかし、瞼を開けることができない。

まだ頭が完全には起きていないのだろう。

頭を完全に起こすために体を動かすことにした。

手を動かそう。

手の感覚が無い。

どうやら動かせないようだ。

足を動かそう。

足の感覚がない。

どうやら動かせないようだ。

寝返りをうとう。

体の感覚自体がない。

どうやら動かせないようだ。

これは一体どういうことだ?

動かせないというより、まるでそこに体が無いようにすら思える。

イメージしてみよう。

頭で考えられるが、体の感覚が全くない。

これはつまり、どういうことだろうか?

「これは、なんだ?」

少し落ち着いて考えよう。

そうすれば幾つかの答えが予想ができるだろう。

「あれだ、体の感覚がないってことは、神経が切れたとか?」

ありえる。

最後に覚えているのは車が突撃してきたことだ。

いや、こっちもいきなり飛び出したような気もする。

だが、今はそんなことは関係ない。

車が車に突撃して、結果的に私はどうなった?

きっと打ち所が悪かったのだろう。

背骨でも痛めて神経断裂って感じだろう。

きっとそうだ。

「あー、マジかー」

神経断裂とか最悪だと考えていると瞼が軽くなる。

目を開くことができるようだ。

「ついてないな。あー、ついてない」

運が悪かったと思いながら目を開く。

目の前は真っ赤だった。

「あぁ、よし、落ち着け」

言葉で落ち着けと言っているが全く焦りはなかった。

焦りがないどころか目の前に広がる真っ赤な血。

目の前に広がる自分自身の血に何も感じなかった。

痛いとか怖いとか全く感じない。

ただただ、運が悪かったと考えている。

「血だらけじゃん」

見える範囲には血が広がっている。

そう考えると少し気分が悪くなってきた。

とりあえず血以外の所を見よう。

分かる範囲で状況を整理してみる。

どうやら車がひっくり返って酷い状態で、その車がグシャグシャになった。

そのグシャグシャの中で倒れているようだ。

「よく生きてるわー」

案外丈夫だったんだな人間ってさ。

運がいいのか悪いのか分からないが、火が出てないようで熱は感じない。

状況を認識出来たら少しずつ周りの様子を気にする余裕ができた。

結構遠くからサイレンの音が聞こえる。

しかし、こっちに向かっているわけではないようだ。

「おかしいな、なんかあったのか?いや、今なんか自分に起こってるけどさ」

もしかしたらこんな風に事故っているのが他にもいるのだろうか?

とりあえず、状況は何となく理解できて来た気がする。

「さて、もう一度動けるか試してみるか」

手と足に力を入れる。

今度は感覚がある。

少しだが動かせる。

体を動かせるのならどうにかこのグシャグシャになった車から抜け出したい。

ゆっくりと右手、左足、左手、右足と順番に動かしてどうにか這い出そうと行動を開始する。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ