いじめられたので警察に通報する。
夜中のテンションで一気に書きました。読み終わったら感想くれると嬉しいです。
私の名前はアカネ。小さい時から人形のように綺麗だと言われた外見と、長身と少し冷静なとろこを抜けば普通の女子。
まぁ、少し変わっている所といえば……
「あ、今日もカネ虫が来たし!」
「お願いだから来ないでくださーい!ップアハハ!」
軽いいじめを受けていることだ。
いや、軽くはないな。ガッツリといじめられている。机はもう見る影もないほどにカッターで切り刻まれているし、更に花まで置かれている。
でも知識はないようなので、適当にその辺の花って感じだ。若干土がついているので本当に掘り起こしたのかもしれない。それなら一周して可愛く見えるのであら不思議。
と、若干現実逃避をしていたら凛子ちゃんがこっちに来た。
脱色した金をクルクルに巻いている髪に、ピンクのぷぅっくりとした唇、完全に着崩した制服はカースト上位の証だった。
「カネ虫さーん。なに黙り混んでるんですかぁ~?やっぱ援交してんの~キャハハ」
因みに、私が何故いじめにあい、カネ虫と呼ばれているのかというと、実は私には社会人の彼氏がいて、そこから連想して援交に結び付いた。で、私のなまえがアカネなのでカネと金をかけてカネ虫である。
なんとも中学生女子が考えそうなことだ。いや、小学生が考えそうだ。
「ハァ……」
「何、溜め息ついてんの?キモッ」
私には息する権利すらないのかよ。
しってるだろうか?この机は学校のものであるのだ。ついでにカッターで切り刻まれるとガタガタになるので文字書くとき大変やねん。まぁ、下敷きひけばいいか。
落書きは……まぁ無視しよう。
「あ、あの……アカネちゃん大丈夫?それ、消そうか?」
よく知らん女子が消ゴム片手によってきた。いや、落書きだけ消されても困るんだけど。
「机、交換しようか?」
「私の机と交換しませんか?」
なんか女子BCも表れた。いや、やめてくれ。ありがた迷惑だ。この子たちは何か私に憧れているらしく、凛子たちに表だって対立はしないものの、こうやって寄ってくる。
「いや、いいから」
私は少し冷たくあしらって席についた。
「わーカネ虫つめたーい」
クスクスと、凛子ちゃんたちの嘲笑いが聞こえる。
中学生になると、物凄く人間関係が難しくなる。人より違うというだけでいじめの対象になったりする。
人より冷静なだけで生意気だと、クールだと言われる。
人より年上と付き合ってるだけでビッチだと、格好いいと言われる。
人より顔が違うだけでキモいと、綺麗だと言われる。
何故か勝手に悪意に晒され、勝手な好意にさらされる。そのせい……いや、そのお陰かは分からないが、私の立ち位置は意外と低くない。が、その為に助けられない。強い子に助けはいらないらしい。
なんとも勝手な話だ。人と違うだけで出る杭は打たれる方式で殴打され、かと思えば出る杭を何かの信仰のように崇められる。
「カネ虫ってさ、やっぱブスにしか話しかけられないんだね、可哀想~」
私の机をグルリと凛子ちゃんグループに囲まれてしまった。ここから始まるのは私の罵詈暴言であり、酷いときには手をだされ……あ、手をだされた。
私の髪を掴んでひっぱりあげ「キモい顔~」と私を笑う。周りの人も私を笑う。因みに他の子は先生を呼びにいってくれてる。
ぶっちゃけ、学校で先生というのは余り役に立たないのは小学校で経験ずみだ。
「ねぇ、凛子ちゃーん」
「キモッなに言ってんの?カネ虫のくせに」
あくまでも冷静な私に対して自分の優位性を出そうとする凛子ちゃんに構わず私はいった。
「学校もね、法律は適用されるんだよ?」
凛子ちゃんは頭に?マークを浮かべている。これは私なりの『忠告』だ。その意味が分かるか分からないかでこの先の運命は変わる。
「後ね……悪いんだけど、私の彼氏は貴女に興味なんてこれっぽっちも無いから、連絡交換せまったりしてあげないでくれる?本当に……
ごめんなさいね?」
「……っ……な……」
そう、実は凛子ちゃんがいじめを始めたのは、これも原因だったりする。ノロケに聞こえるかも知れないが、私の彼氏は格好いい。最早完成された理想といって過言ではないだろう。
凛子ちゃんは一目惚れしてしまい、しかし私が恋人だと知り、現在に至る。
プライドの高い凛子ちゃんには触れてほしく無かった部分なのだろう。顔を真っ赤にして、手を振り上げて私の顔を叩こうとして……
「こら!なにやってるのよ!?」
女性の声が聞こえた。そちらを振り向けば、私の担任の先生がいた。流石にヤバイと感じた周りの子はちり、凛子ちゃんは私の髪から手を離していった。
「いや、冗談ですってば!単なる遊びですぅ」
全然遊びではなかったのだが、若い先生はホッとしてるし、これ以上何か言うのも酷なので私はなにも言わずに席についた。
そのまま朝のHRが始まり、先生はいつもの私の机をみて苦々しくみていた。最初はなんとかしようとしてくれてたんだけど、やり方下手くそなので、もう何もしないでくれといったから、何も言わないでくれる。
HRが終わり、次の授業の移動教室の為に廊下を一人で歩いていれば、職員室に帰る途中の担任の先生に呼び止められた。
「あの……だ、大丈夫……だよね?」
「何が?」
答えを知っていながらも聞けば、先生はアタフタしながらも一生懸命に答えてくれた。
「その、教室のこととか……でも、その……
アカネちゃんは強いから大丈夫だよね?
ほら……冷静だし……」
ギチィと、嫌な音と味がしたと思ったら、口の中の頬肉を噛みきった音と鉄の臭いだった。何やっているんだ幾度となく言われ続けた言葉だろ。慣れろ。いや、慣れない。
この先生の立場になれば物凄く可哀想だ。まだ卒業して若いのに担任になって、最初はまだ普通だったのが急にいじめが起きたんだ。それに冷静=強いと思うのは仕方がない。
「勿論!私は教師だから頑張るよ!無理なら言って!」
それでも、なんとか改善しようとしているだけ、この人はマシなのだろう。役に立たないけど。
「先生、大丈夫です。先生の力は使いません」
私はそれだけのことをいって、移動教室へと向かった。
「雪子ちゃんの財布が無くなってるぅ!」
授業が終わり教室に戻れば、凛子ちゃんたちグループが大騒ぎしていた。内容は雪子の財布が盗まれたらしい。凛子ちゃんグループはすごく大騒ぎし、周りを惹き付けていた。
先生もアタフタとしている。本当な役立たずだ。これなら姉御肌気取りの小学生の方がまだ使えるぞ。
「みんなの荷物検査しよーよー」
「さんせーい!」
凛子ちゃんグループは何故か盛り上がりまくって鞄を出し、その主張に従ってしまだた大人しい子達も鞄を出した。
先生はアタフタしている。この先生は本当に役立たずだ。これなら自意識過剰な幼稚園児の方がまだ使えるぞ。
「後は~アカネちゃんの鞄だけだね、見せてよ」
凛子ちゃんたちは全員の鞄を見終え、ニヤニヤとして私の方へと手を向けていた。きっと、この鞄に雪子の財布が入ってあるのだろう。そして、私を犯人にしたいのだ。
あえて、私は素直に鞄を渡す。
「あー!あったぁ!!アカネちゃんが財布盗んでたー!」
「わー最低~人として屑ってやつぅ?」
言いたい放題いいだす凛子ちゃんたちのグループ。楽しそうに、正当な主張を手に入れて、攻撃できる糧を得た……水を得た魚とはこの事だろう。
「ほんと、本当サイテー!!土下座しろよ!!」
「つーかぁ、警察行きじゃないの~」
「じゃあ警察に連絡するね」
「え?」
盛り上がっていた凛子ちゃんグループは一瞬にしてシーンと黙った。教室もシーンとなる。
私はそれを無視してスマホを取り出し……
「は、ハァア!?なにやってんの!?」
「警察に連絡します。これは盗難事件なので通報するのは当たり前でしょ?それに私はその財布に触ってないので、指紋はないはずです。そして貴女たちの指紋があるならば、それは貴女たちが入れたことになります」
一気に青ざめていく凛子ちゃんたち。まぁ、ぶっちゃけ指紋がついてても、さっき触ったって言えばいいのだが……この子たちは何でこんな簡単なことに頭を回せないのだろう。
「ちょ、ちょっと待ちなよ!今回だけは許してあげるから!もうそれでいいじゃん!」
雪子は酷く焦った様子だが、私はきにせずに淡々と口にした。
「因みに、悪口も犯罪です。名誉毀損や侮辱罪にもあたり、貴女たちが普段私の持ち物を壊しているのも器物破損です、ちゃんと保存しています。後、窃盗というならば私の体操服を隠すのも窃盗です、因みに写真とってるので言い逃れ出来ません。
これら全て、警察にいいます。もし動けないなら弁護士に出します。頑張って実刑判決を出させます、刑事訴訟にします」
それを言えば、凛子ちゃんたちは怒りを通り越して泣きそうになっている。テレビでしか知らない事件が、自分が加害者としてなる恐怖。
「……やめて……よ……」
親の目、世間の目、周りの目を今から考えて恐怖に体を震えている。あるものは泣き、あるものは責任を押し付けようとしている。
所詮、こんなものなのだ。
「フザケンナァア!!」
凛子ちゃんはヤケクソで拳を握ってこっちに走ってきた。私はそれを軽く避けると、凛子ちゃんはコケてしまった。
「何様のつもりよ!なんでそんなことするのよ!?ふざけんな!!わ、私……私は……お願いだからやめてよ!」
「その言葉、そっくり返す」
凛子ちゃんは遂に泣き出してしまった。プライドが高いだけの幼い少女なのだ。まだ見ぬ恐怖はきっと怖いだろう。
「あ、あの…そこまで怒らなくても……」
「役立たずは黙れ」
なぁなぁで済まそうとしている先生にピシャリと言えば、先生は苦しそうな悲しそうな顔をした。そして、言い返せないようだ。
「先生、私だって苦しんでたんですよ?悪意に晒されて苦しくない子はいません」
私だってずっと怒ってたし、ずっと腸煮えくり返ってた。ただ冷静な思考や無表情に近い顔がそう見えてなかったにすぎない。
先生は一言「ごめんなさい」と謝り、もう何も言わなかった。
「もしもし、警察ですか?実は○○中学に盗難事件と……」
私は警察に連絡した。これで警察は現れ、指紋が取られ、そして私がもっている情報を話し、罪になる。親に知られ、友にしられ、一生を闇に包まれるのだろ……
「なーんて、冗談ですよ」
「え?」
凛子ちゃんはキョトンとしている。周りの子もキョトンとして、いる。そんな彼女たちを無視して私はいった。
「警察になんて連絡しませんよ。バカバカしい」
「アンタ……騙し……」
さっきまでパニックになっていた紗由理が怒りを表にし、私はそれを遮っていった。
「これが、私の一日分の苦しみや恐怖や悲しさです。分かりましたか?」
これが……私の一日のつらさだ。それを分かって欲しかった。自分の苦しみを相手に分かってもらうのは凄く難しい。だから、こんな手段にした。
「凛子ちゃん……それでもまだ私のいじめを続行する?するなら私はもう何もしない。今まで通りにする」
「……ヒック……エッグ…うぅ…」
凛子ちゃんは鼻水をすすりながら、首を左右に降った。そして、両手をついて頭を下げた。ヘタリこんでいることもあり、土下座にちかい。
「ごめんざいぃ……もうじまじぇん!……ずみまぜんでじだぁあ!!」
周りの子も頭を下げ、涙を流しながら謝った。
「うん、いいよ。私は許す」
こうして、私のいじめは解決した。
『私の』いじめは解決した。私と彼女たちは『他人』という関係性をもち、これからも私には関わらないでくれるだろう。嫌いなら、不愉快ならば、離れてしまえばいいのが合理的だから。
それに、彼女たちには恐怖が刻まれている。あの時の臨場感や苦しさは忘れられないだろう。だから、意識的ないじめは絶対にしない。細心の注意をはらう。『彼女』たちは……
「アカネさんのやり方って甘いよね……」
「うん、もっとやって欲しかったと思う……」
「別にさ、アカネがやらなくっても私たちで……」
これで、『私の』いじめは解決した。これ以上は私の関与しないところにあり、今後、誰かが正当性わ見つけ、彼女たちに何をしようと何をされようと……
私には、なんの関係もないのだ。
『アカネ』のいじめは解決しましたが、新たに他の問題が出てくるということです。