第23話 赤羽さんとのデート(前編)
「おお〜、初めてきたけど、上のエリアはこうなってたんだね」
「私もです。わあ……有名な店舗がいっぱい」
ギルドの上階部分には、ギルド運営の大型ショッピングモール施設がある。
俺は今、赤羽さんを連れてそんなモールに来ている。
もちろんお礼として、ティアとしての服を選んでもらうためだ。
「え〜と、アパレルコーナーは……あっちだね。じゃあ行こっか、赤羽さん」
「……本当にそんなのがお礼になるんですか?」
俺は館内マップを見てアパレルコーナーに向けて歩き出す。
後ろをついてくる赤羽さんは、あんまり納得がいってないような顔をしているが、俺からすれば勝手が分からない女物の服を、現役女子高生に選んでもらう最大のチャンスなのだ。
「なるよ! だって赤羽さんすっごくオシャレで可愛いんだから」
「あ、ありがとうございます。でも私からしたら、ティアさんの方が何倍も可愛いと思うんですけど……」
俺が赤羽さんを褒めると赤羽さんも俺を褒めてくれる。
そうだろうそうだろう。やっぱり同性から見てもティアは可愛く映るんだな。
でもそんなティアと並んで歩いても、何の違和感もない赤羽さんだって相当可愛いと思うけどな。
さて、話している間にアパレル関連のコーナーに到着だ。
「それじゃ赤羽さん、この辺りのお店から、私に似合う服を選んでほしいな」
「わ、分かりました。ティアさんがそう言うなら、精一杯選ばせてもらいます!」
お店に到着してようやく納得してくれたのか、赤羽さんはやる気満々になってくれた。
「えっと、ティアさんは好きなブランドはありますか?」
赤羽さんはキョロキョロと周りのお店を見渡してから、俺に聞いてきた。
「ブランド? う〜ん、いつもはウニクロとかユージーとか、その辺かなぁ」
「ホントですか!? 私も同じです。お洒落着なんかはズズタウンで揃えるんですけど、基本はやっぱりそこですよね」
背伸びしない俺の回答が意外だったのか、赤羽さんはパッと表情を明るくして、自分も同じだと嬉しそうに返してくれた。
「でも意外でした。ティアさんって凄く素敵な衣装を着てるから、もっと高級ブランドの名前が出てくると思って身構えてました」
確かに、この魔法少女コスは素人の俺から見てもとんでもなくデザイン性が高いからな。
だがその分目立つわけで、今もこちらをチラチラ見てくる周りの視線を感じる。
赤羽さんが隣にいてくれなかったら、今ごろモールから逃げているだろう。
……本当に赤羽さんがいてくれてよかった。
「あはは、そんなことないよ。この服は確かに素敵だけど、普段は本当に地味なんだよ。だから私服の赤羽さんを見た時に、私もこんなお洒落な服を着てみたい! って思ったんだ」
俺は取って付けたような、それっぽい動機を赤羽さんに伝える。
……ごめんなさい。本当は一人じゃ女物の服を買う勇気がなかっただけなんです!
「それでは選ばせてもらいますけど、確認しますが、本当に私が好きに選んで良いんですよね……?」
俺がそんな情けないことを独白していると、赤羽さんが改まって聞いてくる。
どうしたんだろうか? やけに気迫が出たような……?
「う、うん。それはもちろんだけど……何か問題でもあったかな?」
「いえ、問題なんてありません! むしろその逆で……えへへ、こんなに可愛い子の服を私が……」
「あの、赤羽さん? どうしたの?」
何やら赤羽さんの雰囲気が少し変わったので聞いてみるが……
駄目だ、反応がない。
「ティアさんの見た目なら何でも似合うよね……ううん、それはダメ。素材の良さに甘えるような妥協はできない。――――あれ? 衣装で分かりにくいけど、ティアさんってもしかして……」
どうやら赤羽さんは、完全に自分の世界に入っているようだ。俺を見ながらブツブツと呟いている。
赤羽さんは何かに気付いた様子で、俺の胸の辺りを凝視する。
そのままゆっくりと俺に近づいてきて……
「あ、赤羽さん? どうしたの? さっきから様子が――」
「ティアさん、ちょっとごめんね」
「へ? ――ひゃうん!?」
むんず、と赤羽さんは俺の胸を下から持ち上げるように触ってきた。
ていうか今の声誰だ!? ……あ、俺か!
急に胸を触られて自分でも聞いたことのない声が出てしまった。
……って、いやいやいや! 赤羽さん何してるの!?
俺は、急に胸を揉んできた赤羽さんに驚きながらも、なんとか理由を問いただす。
「あ、ああ赤羽さん!? こういうのは女の子同士でも駄目だと思うな!? ていうか私、なんでいま胸を揉まれたのかな!?」
「ご、ごめんなさい! つい気になっちゃって……本当にごめんなさい!」
俺が身を引きながら答えると、赤羽さんは正気に戻ったのか、顔を真っ青にさせながら謝ってきた。
赤羽さんは、そのまま先ほどの暴挙の理由を説明する。
「私、子供の頃から着せ替えができる人形遊びが大好きで、だからティアさんみたいな可愛い子の服を選べるってなった時点で、実は凄く嬉しくて暴走しちゃったと言いますか……」
な、なるほど。それなら仕方ない……のか?
俺がそんなことを考えている間に、赤羽さんは言葉を続ける。
「胸を触ったのは、サイズが気になってつい、本当にごめんなさい。あの、やっぱり怒ってますよね……?」
そんな泣きそうな表情で謝られては、俺が困ってしまう。それに驚いただけで、嫌なわけではなかったし。
とりあえず頭を上げてもらおう。
「大丈夫だよ。驚いただけで怒ってなんかないよ。だから頭を上げてほしいな?」
「うう、ありがとうございます。以後自重します。……それで胸を触ってやっぱり思ったんですけど、ティアさんって結構着痩せするタイプですよね? 何カップですか?」
赤羽さんがティアの胸のカップ数を聞いてくる。
……どうしよう、まったく分からん。
ええい、もう正直に分からないって答えるか。
「あ、えっと、実は一回も測ったことなくて、今着けてる下着も適当に選んだものだから、分かんないや」
正確に言えば選んだのではなく、キャラクターチェンジをした時に、プリセットで付いてた上下白の下着だけど。
……そんなことを考えてると、赤羽さんは俺の手を引いて歩き出す。
あれ? でもウニクロも、ユージーも通り過ぎたけど、どこへ向かっているのだろうか?
「まずは下着です! すっごく良い形してましたから、それを適当な下着でキープするのは論外です!」
どうやら下着専門店に向かってるらしい。
俺はそのまま手を引かれ、男の俺でも知っている超有名店へと連れ込まれた。
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