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第21話 赤羽さんとの再会

「あ、あの、覚えてませんか? 私、相模原ダンジョンであなたに助けていただいた者です!」


 ティアである俺に声をかけてきた女の子――赤羽さんが凄い勢いで俺に詰め寄ってくる。


「う、うん。もちろん覚えてるよ。ツノウサギの時の人だよね」


 突然の再会で、俺は若干気圧されながらも答える。

 ……俺の言葉遣い、変じゃないよな?



「あなたにずっとお礼を言いたくて、もしかしたらここにいるかもって……あ、私、赤羽灯里って言います! あなたのお名前を教えてください!」


「そういえば自己紹介もしてなかったね。私の名前はティアだよ、ティア・ロゼッティ。よろしくね。赤羽さん」


 赤羽さんに名を聞かれたので答える。どうやら、変ではないらしいな。

 俺は、女言葉が通用することにホッとしながら、言葉を続ける。

 

「でも元気そうでよかった。結局あなたが目覚めるまで側に居てあげられなかったから、少し心配だったんだよ」


 勿論心配してたのは本当だ。まあその後、桃谷天霧として再会しているから元気なのは知ってたけど。



「ティアさん……。改めまして、先日は私を助けていただき、本当にありがとうございました」


 赤羽さんは深々と頭を俺に向かって下げる。

 頭を上げたあと、赤羽さんはグイッと俺に詰め寄り、そのまま言葉を続ける。


「それで、どうしてもティアさんにお礼を伝えたくて……あ、でも私、お金があんまりなくて……こういう時って――」


「待って待って待って! お金なんて要らないよ!? お礼の言葉だけでも十分だよ」


 俺は赤羽さんの言葉を遮って、割り込む形で断りに行く。

 何か見返りを求めて助けたわけじゃないし、そもそも妹と同じくらいの子からお金なんて、死んでも受け取らないぞ!?


「でも、あの時ティアさんが通りがかってくれなかったらと考えたら……せめて何かありませんか? お金は難しいですけど、私、なんでもします!」


 それでも赤羽さんは折れない。

 というか、女の子が男になんでもするなんてホイホイ言うんじゃありません!!……あ、でもいま俺は女か。ならいいのか?

 って、んなわけあるかい!


 俺も俺で混乱しているのか、脳内ツッコミが止まらない。


 とにかく一度落ち着こう。俺は赤羽さんを改めて見る。

 ボロボロのジャージに、少し潤んだ瞳。

 だがその瞳からは決して譲らない意思のようなものを秘めている……気がする。



 これは、折れるのは俺の方かもしれないな。


 ……ん? ボロボロのジャージ? ずいぶん汚れてるけど、どうしたんだろうか。


「赤羽さん、ずいぶんボロボロだけど大丈夫? どこか怪我してるの?」


 俺がそう聞くと、赤羽さんの顔が少し赤くなり、恥ずかしそうに話す。


「これは、さっきまで臨時パーティーで一層に潜ってレベル上げをしてたんです。それでこんなに汚れちゃって……あ、怪我とかはしてないです」


 なるほど。だがしかし……正直目のやり場に困る見た目だ。

 ジャージの上着の裾部分や胸元部分が破れて、下に着ているシャツが見えてしまっている。

 裾部分に関してはシャツごと破れていて、へそまで少し見えている。


 こんな状態で立ち話もなにもない。周りをよく見ると、チラチラとこちらを見ている男性探索者が複数いる。


「赤羽さん、とりあえずお礼とか置いておいて、先に服をどうにかしよ。私、急いで上のモールで服を買ってくるから、赤羽さんはここで待ってて」


「服ですか? 確かにこの格好は恥ずかしいですけど、替えが更衣室にありますから、それより先にお礼をしたくて」


 ……そういえばギルドには更衣室があったな。

 ティアに変身するのには使えない場所だから、すっかり忘れていた。

 とりあえず着替えがあるなら話は早い。


「はいはい、だからお礼はあとでね。更衣室行くよー」


 俺は赤羽さんの背中を押して更衣室まで押していく。



「あの……ティアさん? そっちは男性用更衣室の方向ですよ? 女性用は反対です」



 ……俺は、無言でくるっと引き返し、赤羽さんの手を引いて女性用更衣室に向かった。

読んでくださりありがとうございます。

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