カルチャーショック
私は高校生のとき、ネパールの人たちと一緒に働いた事がある。私は初めて見たネパール人の行動にカルチャーショックを受けた。
あるネパール人に対して、他のネパール人たちが「喋りかけない」「目を合わせない」「正面に立たない」といった、いじめのような行動をとっていたのだ。
ターゲットとなっていたネパール人は、小柄で気が弱いシャルマ君という男性で、どうやら、お父さんがネパールの大学で語学の教授をしており、お父さんのすすめで日本語を学ぶために来日したらしい。
一緒に働いていたネパール人たちは、明らかにシャルマ君を避けており、あからさまに目をそらす、シャルマ君を視界に入れない、シャルマ君と並ぶ時は位置を気にしてずっとモゾモゾしてるなど、いじめというよりは、とても怖い人が近くにいる。そんな素振りをしていた。
シャルマ君は私と喋るし、他のネパール人も私と喋る。みんな明るいいい人たちだった。でも、シャルマ君と他のネパール人は、まったく会話をしない。
遭遇したことのない不思議な光景だった。
のちに知った事だが、ネパールはカースト制度が廃止された今も、カーストによる区別が根強く残っているらしい。
シャルマ君の父親は大学教授だ。カーストの位で言うと最上位のバラモンにあたるらしい。更に「シャルマ」という姓からカースト上位である事も分かるようだ。
他のネパール人たちは「シャルマ」という姓から、シャルマ君が上位カーストという判断をして、上位カーストに対する行動をしていたというのが、いじめに見えた行動の真相だった。
当時は、めっちゃびっくりした。「(そんなにあからさまに避ける?)」って。でも、シャルマ君たちと働いて、見た目は違うけど「同じ人間なんだな」とも思った。
シャルマ君はカレーが好きだし、あるネパールは、ニンニクで手が臭いと悩んだり、違うネパール人は「雨なのに傘もってきてない」と悲しんだり、私とあまり変わらなかった。
移民が良いとかそんな政治的な話をしたいわけじゃなくて、見た目が違うと何考えてるのか分からない謎の生き物にみえるけど、言葉を交すと自分と同じ事で悩んでいたりして、同じ人間なんだなって私は感じた。
これからもカルチャーショックを恐れずにいろんな事を学べたらいいなと思う。