本音を読んで見つけた世界
姉の音野小珠と妹の同じく妥縒には、特殊な能力が宿っている。ターゲットを決めその相手に集中して耳を傾けていると、心に描いた事が前後に別れて聴こえるモノだ。姉妹は能力を遊びに使い、時間を潰していた。「ねえねえ、今度は室木先生の好きな人……心で聴いてみよう?」「えーっ?」「お姉ちゃんも気になるでしょ?」室木先生は国語と理科を受け持つ生徒から人気のある男性の先生。女子の中にはファンクラブが結成され、姉妹も室木先生に憧れている。「じゃあ、放課後聴いてみる?」「はいな!」憧れている室木先生の好きな人が分かる。姉妹の心に強い緊張が走った。
放課後、理科準備室から出てきた室木先生を待ち伏せして、姉妹はわざとらしくふざけて聴いてみた。「室木先生!好きな人いますか?」「正直に答えて下さい!」おどける彼女たちを軽くあしらい、室木先生は笑って言う。「大人をからかわない!二人とも、もう帰りなさい」室木先生が姉妹の前を横切る。今だ!姉妹の集中モード、ON!室木先生の第一の本音。(明日のテスト内容、虫食い形式ー)室木先生の第二の本音。(ー好みの女性はやっぱり、算数を受け持つ藤馬先生だな。テキパキしてー)室木先生が通りすぎた後、残された姉妹は同じ痛みを感じていた。初恋、そして失恋……細い架空の針は二人の小さな恋心に刺さったままだった。やがて姉妹は能力を活かして人々の悩みを解決していくヒロインとなる。そんな未来を知らず二人は今、悲しみの波に押し潰されていた。二人が強いヒロインになるのは、近い未来の事。
本音=ドップラー効果
ダブルヒロイン
ひとまず、おしまい




