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七十二 雑事の片付

玄天派九香宮げんてんはくこうきゅう


修良(しゅうりょう)黒銀(こくぎん)虎を連れて最上階の広場に降りた。


短い間で、彼は玄天派の手配犯になり、また妖界と和解して無罪になる……一体何があったのか、玄天派のみんなもかなり気になる。


しかし、修良が纏う雰囲気はあんまりにも陰気なもので、みんなは話をかけることに躊躇う。


「修良!戻ってきたのか!幸一は?」


ずっと二人の心配をしていて、弟子の中で大胆な部類の高乗(こうじょう)は身を乗り出した。


「……」


修良はその質問に答えず、手で黒銀に合図を出した。


すると、虎は口大きく開けて、黒い棘に縛られている白い牛と黒い馬を吐き出した。


「処置法は、厨房に任せる」


「えっ!?どういう……」


牛と馬の悲惨な叫びとみんなの注目の中で、修良は振り向かず、一直線に九天玄女の間に行った。




九天玄女(きゅうてんげんにょ)の前に来たら、修良は一本の巻物を差し出した。


「あのものは、今幽冥(ゆうめい)界で判官をやっている」


「!」


いつも感情を見せない九天玄女の顔に、初めて動揺が現れた。


「かなりの頑固者で、私の話を信じなかった。でも閻羅王(えんらおう)を人質に取った。彼は必ず来る」


黒銀虎はまた口を大きく開けて、一匹の気絶した黒い猿を吐き出した。


小さく震えている手で巻物を受け取った九天玄女に、修良は一枚の黒い無花果を渡した。


「破滅の火種だ。それでこの贖罪書を燃やせば、彼は本来の力を取り戻すだろうが、あなたの知っている『冥清朗(めいせいろう)』に戻るかどうか、私は保証できない。彼を解放するかどうか、あなたが決める」


その話を置いて、修良は九天玄女に背を向けた。


「……幸一は?」


九天玄女は修良を呼び止めた。


世の中の力の波動と修良の態度から、彼女はすでに異変に気付いた。


九天玄女は空気中で一面の地図を展開した。


地図の中心に、眩しく輝いている星がある。


「少し前に、凄まじい霊気の磁場が現れた。どの門派のものでもないし、どの種族のものでもない。これは、幸一だよね?」


「……」


修良は九天玄女の判断を黙認した。


「幸一は玄天派の弟子だ。相手が世界の意志であっても、もう玄天派の人を奪うことをさせない」


九天玄女が一歩を出たら、修良は厳しい表情で彼女を止めた。


「あなたも知っているだろ。その『相手』は人数が多ければ敵うものではない。あなたたちを巻き込むわけにはいかない」


「……」


「それに、おそらく、今回の件は世界の意志なんかより、私と幸一の問題だ。当初の約束通り、干渉しないでほしい」


修良の性格が分かって、九天玄女は説得を諦めた。


「……分かった。この件はもう干渉しない。でも――先生」


修良が離れようとしたら、九天玄女の口から、意外な呼称が発された。


「!」


「『弟子を取らないなら、せめて先生で呼ばせてください』、その話を覚えていますか?」




もちろん、修良は覚えている。


狂ったように恋人を探す仙道の少女の呼び声で、彼は長い眠りから目覚めた。


少女は悪鬼の彼に助けを求め、彼に新世界を案内した。


彼もまた少女の境遇に共感し、できるだけの援助をした。


少女が宗主になってから、二人の交流はそれほど多くなかった。


だが、それぞれの大切な人を待っている長すぎる年月の中で、二人はお互いのよい理解者であった。




「貴方は清朗を失った私に術を伝授して、玄天派の再建に手伝ってくれました。清朗を見つける約束を果たしてくれました。玄天派は、決して貴方たちと関係ないところではありません」


「あなたを利用して、人間の体を作って、幸一と再会する場所を用意しただけだ」


修良はもう一度彼女の好意を断った。


でも、九天玄女は視線をもっと固めた。




数千年前に、彼女は修良のために新し人間の体を作る時に、修良はこう言った。


「私は薄情で利己主義のものだ。いずれあなたとの交換条件を忘れるかもしれない。自分の目的のためにあなたとの約束を破る可能性もある。そうさせないように、私の顔をあなたが探している人の姿にしてくれ。戒めになる」


九天玄女は知っている。あの時の修良の言葉は冗談ではない。


彼女の目に映している修良は、幸一のために全身全霊を捧げている。


本当は、他人との約束を構う余裕はないだろう。


なのに、数千年後、彼は自分との約束をちゃんと守ってくれた。


修良は、決して彼自身が思っている「悪鬼」ではない。




修良が聴いているかどうか分からないが、九天玄女は彼に告げた。


「先生は、与えることに慣れていますが、受け取ることに慣れていないですね。それもで、貴方は私と玄天派を今日まで導いた先生、幸一は私の大事な弟子です。ここは、いつでも貴方たちの帰る場所です」


「私、玄明心(げんめいしん)は、お二人の帰りを待っています」


離れていく修良の背中に向けて、九天玄女は深く礼をした。




世界の縫い目、一番深いの峡谷の入り口付近は灰色の霧に覆われている。


それは修良が破滅の力で作った臨時結界、しばらく幸一の霊力を隠せる。


珊瑚は霧の外で周りの様子を観察ながら修良を待っていた。


「おかえり」


灰色の風と共に現れた修良を見て、珊瑚は微笑みをかけた。


「おかげさまで、雑事を片付けた」


「終活みたいなことを言わないでね、それがしは美しい朝を期待しているから」


甘美の陣から脱出した後、修良は珊瑚から「世界の意志」についての発見を聞かされた。


――


「結論で言うと、『世界の意志』というものは世界の縫い目と朽ち果てる深淵の間で繰り返して現れいているらいしい。満月の夜に世界の縫い目で、新月の夜に朽ち果てる深淵で強い波動が観察されたが、月蝕がある度に、逆になる。前回、朽ち果てる深淵で現れたのは新月の夜だった」


「こんな短い時間でよくそこまで調べたな」


「旧世界の力をずっと探しているのものたちは大きく貢献した。だから、今回会ったら、やつらと和解してくれないかな」


「分かった。楽な死に方を選ばせてやる」


「……」


――


やはり古兀(ここつ)たちを気に入らないが、その情報があったから、修良は少し余裕ができて、九天玄女との約束を果たしてきた。


「世界の意志」がこの世界の縫い目に現れる満月の夜までにまだ数時間がある。


幸いなこと、彼の代わりに珊瑚が峡谷を監視している間に、何も起こらなかった。


幸一の「やらなければならいこと」はなんなのかまだ断言できないが、「世界の意志」によって、幸一がいなくなることは絶対許さない。


もう待っていられない、修良は一番峡谷に歩き出した。


その時――


「!!」


いきなり、修良も珊瑚も耳鳴りがした。


空間の中で、何か力の気配が急速に膨らんでいく。


「神を……迎える……?これが、世界の意志!?」


珊瑚は頭を押さえた。


こんな形も音もなく、直接に自分の意識に語る「純粋な力」を感じたのは始めてた。


修良は破滅の力を解放し、もう一重の霧を張り、峡谷を覆う。


破滅の結界を打破するように、空からいくつか光輪が現れて、修良の霧を切り裂く。



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