第4話 家族集合
すみません(_ _)
三話と四話繋げて投稿すればよかったと投稿したあとで思いました…………
確認は大事ですね…………
本日3度目の訪問者、それはとても小さな男の子とそれに付きそうなにか荷物を抱えたメイドだった。
「おとーさま! おかーさま!」
はえ? おとーさま、おかーさま? 誰が?
……この二人のこと? てことは、この子私のお兄様!?
気づかぬうちに顔が強張る。なにせ、前世でも兄はいて、かなり、いや滅茶苦茶面倒だったからだ。仲は悪くはなかったのだが、私が少し細かいのか小さなことをよく兄に注意してはよく小さな口論にまで発展していた。屁理屈をこねられたり後でやる詐欺をよくされたものだ。
どうかこの子はまじめな優しい子に育ってほしい。
くだらない思考をしている中、お兄様はとことことこちらに走り寄りお母様に抱き着く。
「おかーさま! おとーさま! どうして僕もつれてきてくれなかったのですか! 僕ももう一人の妹に早く会いたかったでしゅ!」
……天使か!
最後で噛んでしまって恥ずかしさで涙目になっているお兄様を見ながら感じる。いま私は赤ん坊がしてはいけない表情をしているのではないだろうか。思いがけぬ幼児の失敗を見て、ほおが緩み切っている自覚がある。目元もにやぁっと細まっているのではないだろうか。
お母様はそんなお兄様をばつが悪そうに抱きしめて撫でている。
しばらくそうしてもらって持ち直したのか、お兄様は再び笑顔になって顔を上げる。
「おかーさま! おとーさま! 僕はユーリはまだユリスにあってないと思ってさみしいだろうと思って連れてきてもらったのです!」
そういってメイドを指さしながら、えらいでしょ! ほめてほめて! と言わんばかりの満面の笑みにお母様とお父様も毒気を抜かれたのか頬を緩めお兄様を撫で始める。
「偉いじゃないか、ノース。もう立派なお兄様だな」
「そうね、この子もそろそろ落ち着いてきた頃でしょうし、同じ部屋にいても大丈夫でしょう。よく連れてきてくれましたね、ノース」
………これはつまり、まだほかにも私には兄弟がいるということ?
抱きかかえられてしっかり周りを見渡せないとはいえ、お母様、お父様、お兄様、メイド、私以外に人がいるようには見えない。どこにいるのだろうか。
周りをきょろきょろしていると、メイドから抱いていた荷物を受け取ったお母様が近づいてきた。
「ユーリ、あなたの妹のユリスフェレネよ。仲良くするのよ」
私にも見えるように近づけてきたものはすやすやと眠る赤ん坊だった。
なにこれかわゆい。…………って、そこじゃなくて! 私とこの子は双子なのだろうか。まあそうなんだろうな。双子だからなのか目の前の赤子が自らの半身のように思える。目の前の存在に対する愛おしさとこの尊い存在を守らねば、という使命感がわきあっがてきた。
というか、今お母様はこの子のことを妹と言わなかっただろうか。言ったよね。言ってたはず。つまり、つまりだ。私はこの子の姉、ということのはずだ。私はこの子のお姉ちゃん。この家は良家のようだからお姉様と呼ばれることになるはずだ。うふふ、うふ。ほおが緩むのを抑えられない。今の私は先程よりさらにひどい表情をしているはずだ。だが、抑える気がなくなるほど妹という存在ができたことに対する喜びが大きい。前世では妹も弟もいなかったので姉という立場にあこがれていたのだ。
姉という新しい立場を手に入れ未来への妄想にふけっていると、お父様が私をベッドに戻した。
「あまり泣かないと聞いていたので心配だったが、大丈夫そうだな。名残惜しいがそろそろ仕事に戻らねばなるまい。エーレ、君も病み上がりなのだからそろそろ休んだほうがいいだろう。ノースももう勉強の時間だろう? 部屋に戻りなさい」
私の頭をなでながら、言い出した父様。その言葉に不満を表した表情を浮かべる二人を見て苦笑しながら、
「まだまだこの部屋にいたいし時間が許すならずっとこの部屋にいたいが、私たちがずっとここにいてはこの子たちもゆっくり眠れないだろう」
というと、二人も渋々納得したという表情を浮かべてユリスを私の隣に置いた。
「後でこちらにもう一つベビーベッドを運ばせねばなりませんわね」
「そうだね、ハリスに頼んでおくとしよう」
「お母様、お父様。勉強が終わったらまたこの部屋に来てもよろしいでしょうか?」
もう行ってしまうのだろうか。ここに妹を連れてきてくれたこととさみしい独りぼっち状態を解消してくれたことに対するお礼を伝えたくて、私とユリスをなでていた一番近い誰かの指を握る。思ったよりほっそりしている。お母様の指のようだ。
お母様は突然指を握られたことに驚いた顔をしている。三人にありがとうと言おうと思って、口を開く。大丈夫、赤子で活舌が悪くて聞き取りにくくても問題はない。気持ちや言葉が伝わらなくても、わざわざ顔を見に来た赤子が自分たちに何らかの興味を示しアクションを起こした、ということだけで彼らはうれしいはずだ。
「あいあおー」
……よし、頑張った。もっときれいに言えるかと思ったけど。仕方ない。赤ちゃんだから。
三人の反応はどうかな。
三人は驚いた顔していたが、すぐに満面の笑みを浮かべた。
「ああ、戻りたくないな」
「この部屋で休んでいたいわ」
「勉強したくないな……」
そんなことを言いながら後ろ髪を引かれるようにして部屋を出て行った。
そんなこんなでこの部屋はユリスとの二人部屋になったのだ。
ノースは2、3歳のつもりです。活舌めっちゃしっかりしているところとかはスーパーキッズということでご容赦ください…
本文ではほとんど愛称で呼んでいます。登場人物のフルネームなどはいずれどこかでまとめようと思います。