医者
掲載日:2022/01/05
最近体の調子がおかしい。
そんなことを飲み屋の親父と話していると、医者と名乗る男が現れた。
「それは何かの病気だよ。見てあげる。」
男はお酒を片手に診療してくれた。
「じゃあ、足を診てくれませんか?最近よく転ぶんですよ・・・。」
「ふむふむ・・・おや?これはやばいよ。」
「え、何か分かったんですか?」
「いたよ、いたいた。こいつあテントウムシの仕業だよ。」
「は?テントウムシ?」
「そう、転倒ムシ。他に何か見てほしいところは?」
「え、えっと、髪の毛が勝手にブツブツ切れるんですよね。」
「あ、それは見なくても分かる。髪切りムシの仕業だよ。」
「え、えっと・・・。」
――本当にこいつは医者なのだろうか・・・。
ふざけたことばかり言っているようにしか思えなかった。
「治療薬なんてものはいらない。私がこうしてなでるだけで・・・髪切りムシと転倒ムシは駆除される。」
「は、はあ。」
「診察料の代わりに、私が飲んだ分支払っといてね。」
「お、おい!」
叫んだ頃には、男は店内から消えていた。
仕方がなく、お代は自分が払った。合計3万円。痛すぎる出費・・・。
しかし、それからは不思議なことに、転ぶこともなくなったし、髪が不自然に切れる現象も無くなったのであった。
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