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職業夢女子です  作者: 味噌汁
始まりに立つまで
1/7

選択者の亡き1週目

作品名や人名がお遊び全開ですが、お話の中身は意外と胃もたれをおこすかも…






どうも、皆さん。

唐突な挨拶に驚かせて申し訳ありません。



えぇ、いやね?最近、異世界転生やら転移やら憑依やら…流行っているではありませんか。



中には勇者、聖女から始まり、悪女ものだったりね?



かく言う私もその口の人間に仲間入りを果たしたわけなんですけども。



えぇ、はい。





私、職業夢女子になりました。







―――――――――――――――――――



 




赤い鮮烈が目の前に広がった。



数多の人々が目を逸らす中、私はその鮮やかな赤から目を逸らせない。



押さえつけられて動けない私の膝下にまるで石ころのように転がった、かつて弟だったモノですら光を失った瞳で憎い男を見据えているのに。



私は飛び散った赤を見つめながら、あぁレバーはしばらく食べられなさそうねなんて事を考えた。




「アシェリ・シジミジール、最後に言い残す事はあるか?」



処刑人の感情のない声が耳に響く。



その声を聞いて、私はやっと元凶の男を見た。



その男は王位継承権第一位の王子であり、幼馴染であり、私の婚約者。



お互い恋愛感情なんて欠片もなかったかもしれない。それでも、少しの情はあったはずのその男は突如現れた聖女を名乗る女に容易く落とされた。




役目に縛られた可哀想で退屈な籠の鳥に



『嫌ならやらなきゃいいんですよ‼︎』



とは、笑えたものだ。



その人間にしかできない役割を放棄すれば被害を受けるのは周りだと言うのに。




あぁ、駄目ね。皮肉を言ってしまうのは悪い癖だわ。



どれだけ嘆いても…どれだけ言葉を紡いでも…もう瞳に光は戻らないのだから。





最後に残す言葉と聞いたかしら?




「来世も姉弟であるといいわね」




私は、目の前に転がる弟にそう言って微笑んだ。




処刑人が、それを見守る人々が、息を呑むのが分かる。




あの男を憎むのも、恨むのも、当たり前だ。

当たり前すぎて、残す言葉を探すのも飽きてしまった。




だから、私は愛する者に声をかける。



例え石ころのようでも、私と共に生きた者に届く事を願って。






元凶の男は苛立ちを隠せない声で「やれ」と言い放った。




その言葉を合図に、首を押さえられ、空を眺めることもないまま…私の意識は最後に生々しい音が聞こえた瞬間、途絶えた。








自分がどれだけ頑張っているかと思っていても周りには道端の石ころ程度って反応される事、よくありますよね。

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