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追放と再会


洞窟から出てかなり移動した俺はやっと街の前までたどり着いた。



「遠くからだとわからなかったけどかなりでかいな……」



街はかなり高い壁に囲まれており街自体もかなりの広さがある。



俺は街の入り口である巨大な門を潜り街へと入る。 

ポケットにはさっきの銀色の狼から手に入れた石もある。

石はシルバーリルウルフのドロップストーンというらしい。



石を調べているといつのまにか腕についていた黒のブレスレットから表示された立体映像の画面にそう書かれてあった。



するとその黒いブレスレットが振動する。



そしてまた立体映像画面が表示される。



『ようこそS・G・Wへ』



『ユーザーID:00000

貴方は第7帝都エアの所属となりました。』



『このメッセージは繰り返し見ることができないのでしっかりと記憶しておいてください』



『まず初めにこの世界はゲームの世界ではありません

 その体は仮想世界の体では無く現実世界の生身であるということを認知しておいてください』



……なにを言ってるんだ

しかし俺はゲームの演出なのか本当の事を言っているのか判断できずにいた。


『まず貴方達にはこの世界の真実を調べていただきます

 そしてこの世界から元の世界へ戻る為のキーとなる物を一万人いるプレイヤー同士で戦い奪い合っていただきます』



「この世界の真実……?」

訳の分からないまま説明は続けられる。



『尚この世界での戦闘は四人パーティ前提となっておりますので初めはこちらでランダムでパーティを組んでおります』



『それではこの世界での貴方達のご活躍を期待しております』



そのメッセージを最後に画面がブラックアウトする。



「……いきなりすぎて頭が回らないんだけど」



するとブレスレットにランダムに組まれたであろうパーティの人から連絡が来た。



『多分全員さっきのチュートリアルを皆聞いてたと思うんだけど一度パーティで街の中央の噴水の辺りに集まって話し合おう』

そう書いてあるので俺は中央へ向かった。



中央へ行くにつれ見たことあるゲームキャラクターの格好をした人達が歩いているのを見かける。



「……もしかして俺も格好だけで顔とかはそのままなのか?」

これじゃただのコスプレじゃないか!!



そんな事を考えて歩いていると目的地の噴水の近くまで到着した。

近くにはすでに三人いるので恐らくパーティメンバーだろう。



俺はパーティメンバーの元に向かった。

すると3人は自己紹介を始めていた。



「アカウント名でいいよな?

 俺はレインよろしく」


「私は野良猫っていいます

 よろしく……」


「私はスマイリーです!!

 よろしくね?」


と自己紹介していたので俺もその流れで話しかける。



「俺は……カナタです

 よろしく!!」



と自己紹介をするとすぐにレインが口を開く。



「えーとカナタくん?……だっけ?

 君のキャラクターそれなに?

 なんのゲームのキャラか知らないんだけど?」



「あぁ……これは」

と俺は多分知らないであろう自分の作ったゲームキャラクターの説明しようとすると食い気味で遮られる。



「あぁもういいよ……ごめんね?

 はっきり言って私たち本気で元の世界に戻りたいの

だから抽選漏れした見たことのない無いモブキャラはパーティに必要ないの」



とスマイリーはそう言ってメニュー画面を操作する。



すると俺のメニュー画面に『パーティを脱退させられました』と出た。



「それとこのゲーム4人パーティ前提の世界だから早めにパーティ組まないと死んじゃうかもね

 それじゃ私たち他の人誘わないといけないから

 後がんばってね〜」

と言って笑いながら去って行った。



「……ろくでもねぇ奴らだな

 これで俺が死んだら夜叉子の代まで呪ってやる」

そう恨み辛みを言い残して俺はその場を後にする。



とりあえずパーティメンバーを一から集めよう。

流石に一人はキツすぎる……



俺はブレスレットに搭載されているマップ機能で見つけたゲームでよくあるギルドに行くことにした。



少し歩いてギルドに着いた俺は受付に向かう。


「すみません俺この街に初めて来たんですけど」

まぁこの街どころかこの世界が初めてだけど……



「あっはい……要件はパーティメンバーの募集ですか?

 それともパーティへの参加ですか?」

と聞かれたのでとりあえずパーティ募集をすることにした。

「パーティメンバーの募集でお願いしてもいいかな」



こんな誰も知らないキャラクターをパーティに入れてくれるとは思えない。



「パーティメンバー募集の件は承りました

 早速ですが……多分お金ないでしょう?

 簡単なクエストでもどうですか?」

と受付はクエスト一覧表を見せてくる。


しかしこの世界は現実世界だというのに色んなモンスターがいるようだ。


ん?……



俺はそのクエスト一覧にシルバーリルウルフ一頭の討伐と書いてあるのを見つけた。



「あの……このシルバーリルウルフの討伐って既に終わってた場合ってクエスト受けた後すぐクリアとかになるのか?」



と受付に聞くと彼女は少し笑って

「シルバーリルウルフ討伐はまだ無理ですよ?

 まぁもし仮に貴方が討伐していたらクエスト受注してここにシルバーリルウルフ討伐で出るドロップストーンを見せてもらえたらクリアとなりますけど……」



「じゃあシルバーリルウルフ討伐のクエスト受注するよ……

 でこれが……ドロップストーンな」


俺はポッケに入れておいた狼から出た石を受付の目の前に出した。



「嘘でしょ?……本当にシルバーリルウルフを討伐されたのですか?」

その会話を聞いていた周りの人がどよめく。



「そう言っただろ?

 クリアってことでいいんだな?」



「はい……討伐確認しましたクエストクリアです」

そう言って俺は受付で報酬を手に入れた。



「金貨10枚……」

それがどんな価値か全然わからないんだけど……



報酬をもらって出ようとすると、1人の女の子が俺と入れ違いでギルドに入って来て受付に話しかける。

「私この街に初めて来たのだけどここで生活するにはなにをすれば良いの?」

と俺と同じようなことを言っていた。



俺はその女の子に目が釘付けになった。

決して好みのタイプだったからでは無い。

いや確かに綺麗だけど……

問題はその彼女が自分の高校のクラスメイトであり学校の生徒会長である柊 ひいらぎしずくにあまりに似ていたからだ。


にしてもあの格好は……昔やってた『アポカリプス・セル』のヒロインのアリスによく似ているような……



「まぁ柊さんがこんなゲームするわけないか」

と少しボソッと独り言を言って、ギルドを後にした。



そしてギルドを後にして30メートルくらい歩いたとこで、いきなり襟元を強引に引っ張られた。



「ぐぇっ……!!なんだ……!?」



そこには柊さん(仮)が立っていた。



「貴方……さっき私の名前を呼ばなかった?」

さっきの独り言を聞き取っていたのだろうか



「き……気のせいだよ!!

 俺は柊さんのことなんて一言も……」

と言って自分が自爆したことに気づく。



「そうよね……私は柊 雫って言うんだけど

 貴方はなんで私が柊さんだということを知っていたのかしら?」

と詰め寄ってきた……近い近い……



「わかったよ……俺は柊さんと同じ高校のクラスメイトなんだよ

 まさか柊さんがゲームするなんか思わなくて……」



「クラスメイト!?やっぱり貴方巫くんなのね?」

俺のこと知ってたのか……まぁ珍しい苗字だもんな



こうして俺はこの世界で初めて元の世界の人間と合流できた。


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