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file6 それぞれの作業3

今回で説明部はほぼ終了です。

長い説明は退屈になると思いますので極力減らしたつもりです。

よろしくお付き合いください。

愛美side



「ハフハフ・・・ん?じゃあ稲葉に話したのか、珍しい・・・ってか初めてだな」

大きな口をあけ魚にかぶりついていた一貴さんの手が止まる。

「別に秘密にしてるわけじゃないもの。それに肝心な事はこれかよ」

食べながら喋るなみっともないと手で一貴の頭をチョップする一姫。

一貴がとってきた魚を焚き火で焼き魚で少し遅いお昼ご飯を食べながら愛美は一姫の話を聞いていた。

一貴は一姫が身の上を話すことに驚いていて、何か考え込むように手であごをおさえていた。

(悩んでる一貴さんもカッコイイなー、なんか絵になる感じ・・・)


実際は妹にそんな事まで話せる友人ができたのかと、親心ならぬ兄心を発揮していただけなのだが、愛美の好感度が勝手に上がっていく一貴。



一通りお腹をみたした一同に、一姫は話を再開した。

「え?じゃあ一姫さんは小学校から今まで友人作らなかったんですか?」

彼女は友人を作らなかった。

「そうよ、だって信用も信頼もできないんだもん」

「こいつは昔から頑固だったんだよ」


幼い頃、白上一姫はそれなりに活発で友人もたくさんいた。しかし兄にくっついて育ってきたせいか、同年代の女の子とはイマイチ馬があわず、もっぱらクラスの男子や一貴の友人ばかりだったが。一姫が冒険に行くと言い出した時、多くの友人も一緒に行くと言ってくれて、勇者パーティーみたいでとても楽しみにしていたのだが、いざ出発してみると所詮は小学生なのだ、近くの公園までならまだよかった、しかし隣町の森や林になると底知れぬ不安が彼らを襲い、一人また一人と消えていき結局は一貴と一姫の2人しか残っていなかったそうだ。


その経験から一姫は家族以外の人間に失望し、人と距離を置くようになったのだ。


「ってこら、僕だって怖かったんだぞ!それをお前が無理やり連れ回してただけだ!」

「泣きべそかきながら私の服の袖掴んでる弱虫な頃のお兄ちゃん可愛かったわ〜」


一貴曰く、そのころから一姫のツンデレ属性は身についたらしい・・・。

そんなわけで愛美は私の友達第1号よ!とまたも愛美の頭を撫で始めた一姫に嬉しいんですけど子供扱いはやめてよ思うばかりであった。



「さて、本題に入りますか、中学に入ってからお兄ちゃんと私はさらに日本を始め色々な場所に冒険にいったわ。ピラミッドにナイル川、イースター島とかね」

「お前に連れまわされてだがな「お兄ちゃん黙って」ハイ」

一姫はショウガナイナとため息をつく。

「そんな私達も中学2年生になってくると、さすがに落ち着いてきたわ。っというより私の求めていたゲームみたいな冒険なんて存在しないんだって理解してきたのね・・・」

(もっと早く気づきましょうよ一姫さん・・・)

そんな愛美の心の中のツッコミを他所に話を続ける一姫。


「そんな中学2年の夏休み、もはや長期休暇には必ず冒険にでてたから半ば義務的に私とお兄ちゃんは冒険にいったの、目的はナイル川の洞窟探検だったんだけど、そこ向かうジャングルの中で私達は入ってしまったの・・・」

一姫の口がこもる・・・


「入った?」

私が問うと一姫は「うん」と頷いた。


「なんというか、世界の狭間っていうのかな?感覚的には小規模な異世界って捉えてもいいわね。聖域とかに近いかも」


「はい?」

「まぁそうなるわね、まあ聞いてよ」

その話の内容に私は驚くというより、放心したようになった。



世界のあちこちには世界の隙間、デットスポット(聖域のようなもの)のようなモノがあり、そこに白上兄妹は迷い込んでしまったそうだ。

私達が生活している世界の中にあり、それであって認識できない場所である。

その世界は地球にとても似ているようで違う、構成物質や時間軸がズレた世界。

3ヶ月間その世界で過ごしたそうだ。そこでの2人の物語は愛美の心に染み渡るように届いていった。

あまりに突飛な話だった。一姫の話はとても突飛な話だった。しかしその話を聞いている私は彼女の話を紙芝居をみる子供のように夢中になって聞いたのだった。


話が終わると一姫さんは悲しげな表情になり、

「信じてくれるとは思ってないわ」

と苦笑いをしながら私の髪をすくい上げた。

愛美は自然と彼女の話を疑おうと思わなかった・・・

(話が面白かったから?―――ちがう)

(一貴さんが否定しなかったから?―――ちがう)

(彼女があまりにも真剣に話していたから?―――ちがう)

「信じます・・・。私の大事な友達の話ですから・・・」


そう言って一姫さんをみると一姫は驚いたようにキョロキョロしだし、どこか落ち着かないように一貴さんに「友達っていいわね」っとだけ言ったのだった。


気がつくと夕日が沈みかけ、砂浜と海を赤色に染めていた。








一貴side



稲葉に僕らの話をした次の日の朝、僕等は3人並んで仲良くバナナをモグモグ食べていた。

昨夜、一姫と稲葉が抱き合いながら女性同士の友情を深めたあと、現状わかっていることすべてを稲葉に打ち明けた。


一つはこの場所に救助がくることはまずないであろうこと。

一つは少なからず生存者がいるかもしれないこと。

そして一つは、もしかしたら二度と帰れないかもしれないであろうこと。


正直、稲葉のような普通の女の子には受け止められるか不安だった。

しかしいい意味で期待を裏切り、彼女はあっさりと「2人がついてますから大丈夫です」と笑顔で返され、照れ臭い気持ちになりながらも稲葉愛美という女性の強さ(軽さ?)を驚き少し尊敬したりした。



さらに驚いたのは一姫の事だった。

彼女がここに流されてきてからの稲葉への対応は今まで経験で無かったことものだった。

僕は一姫と違って少なからず友人と呼べる人間はいた。 たしかに小さい頃は一姫と同じように他人を信用できない時期もあったが、時間という魔法がそれを少しづつそれを解消してくれた。 

しかし一姫は違った。意固地になっているのか無意識なのか友人を作るどころか他人を信用することすらしなかった。

その妹が稲葉愛美と云う女の子の前では自然に接していることに驚いていた。

そして昨日の告白。

一姫なりに変わろうと努力していたのか、それとも稲葉がそうさせたのか・・・。

一貴はとても驚きそして喜ばしいと思うのであった。



白上兄妹の当時の話はもうしばらくあったあとキチンと公開します。

説明長く感じてしまったかたごめんなさい><

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