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file1 愛美登場1

視点がコロコロ変わりますが。楽しみながら読んでくだされば幸いです。

一貴side


天を仰げば4月のくせに汗ばむほど灼熱の太陽、前を向けば一面キラキラ光る海、右を向けば一姫、左を向けばどこまでも続いてそうな白浜と所どころにそり立つ南国によく生えてるヤシの木、後ろを向けば富士の樹海を思わせる山林・・・っていうかジャングル!

一貴はアッパーカットのせいじゃなく状況に気を失いそうになった。

一姫は動揺して腰が抜けたか、へなへなと砂浜に座りこんでしまい、ぼそっとつぶやき始めた。

「おにぃ・・・私、思い出してきた・・・飛行機の中で・・・大きな音がしてそしたら目の前が真っ白になって・・・視界が戻ると空にいて・・・おにいが私を抱きしめながら落ちてて・・・ここ天国なのかな?ハハハ」

一姫は遠くをみるかのような目をしながらそう言った。


僕もだんだん記憶が蘇ってくる。

(しかし天国が南国風だったとは・・・アロ〜〜ハなんて歌いながらダンスしちゃいそうだ・・・そんなわけあるかい!)


状況を整理しようと僕は日頃使わない脳を最大千速で動かす。

「僕たちの乗ってた飛行機・・・落ちたんだ。かすかに記憶が・・・俺がお前を抱きしめたって?・・・ん〜・・・記憶があやふやだが天国ではなさそうだな、何はともあれ僕たちは生きてるよ、ほら立てるか?怪我してないか?」

そういって一姫に手を差し出すと、僕の手を掴んで立ち上がろうとしていた一姫の顔が歪んだ。

「イタ!足擦りむいちゃってたみたい」

それほどではないが一姫はの足首には小さなすり傷ができていた。

「ほら、おんぶしてやるから乗りな。近くに人がいるかもしれない、とりあえず移動しよう」

「ん・・・ありがとおにぃ」

そういって背中を向けるとのそのそと首に腕をまわしてきた。

俺は一姫を背中に乗せ砂浜を歩始めた。





一姫side



足の怪我なんて歩けないほどじゃない。

それでも兄はどんな時でも私の事を最優先してくれる。

そんな兄が大好きだ。

私はとっくに思い出していたのだ。

飛行機の中で光が広がったあと、まわりの人達がどうなってしまったのかを・・・

飛行機から投げ出された後、兄の腕の中で私達のように宙空を落ちていく。

そして私達の周りにも同じように落ちていく人々を・・・

その中でどれくらいの人間が人としての原型を留めていたかを・・・

思い出した。


吐き気が襲う。

しかしそれを胆力のみで飲み込む。

兄の背中でテンポよく刻まれる振動に涙が零れ落ちそうになる。

そえでも彼女は泣かなかった。

兄にこれ以上の迷惑をかけるなんて私のプライドが許さない。。。



そう心に言い聞かせながら兄の背中に顔を預けるとふと小高いヤシの木が視界に入った。

「おにぃ、ストップ!」

「ん?どうした?」

一姫はヤシの木を指差した。

「おにぃ、あの木・・・」

「ふむ・・・いけるな」

「GO!」

「ったく兄使いが荒いというかなんというか」

そんな事を口にしながらもヤシの木の木陰に私を優しく降ろし、一貴は猿のようにスルスルと木に登っていく。

そんな兄を見つめながら色々な意味で兄と一緒で良かったと思う一姫だった。







一貴side


ヤシの木の頂点付近まで登り、適当な枝に足をかけ安定姿勢をとると、周りを見渡す。

一貴の視力はいまどき珍しい2.0と良眼だ。

「しかし何と言うか・・・常夏の楽園だな〜」

南国リゾートの紹介雑誌に載っていそうな風景が広がっていたので、なんとなく感想を口にしてみた。

しかし浜辺と反対側の山林部は木々山々が高すぎて遠くまでは見渡せない。

浜辺をみると海上は水平線が続いて・・・

(おや?)

水面に黒い浮遊物を見つけた。

手に輪っかをつくり覗き込みピントを合わせるとその浮遊物は飛行機の羽であることがわかった。「俺達の乗ってた飛行機か・・・」

無残な残骸周辺をみるが、他にめぼしいモノはなく砂浜に視界を移す、すると2キロ程離れた浜辺に人が倒れているの見つけた。

すぐさま木を降り一姫に動くなと指示を出すと一貴は走り出した。

しばらく走るとその人影は一姫と同じ制服で明和高校の女性とであることがわかった。

カールのかかった肩くらいまで伸びたかみに小動物を思わせる可愛らしい顔立ちをした女性徒だった。

「よかった。息はある」

すぐさま息があることを確認し、頭を動かさないように揺すってみる。

反応はない。

外傷はないようだが、気を失っているようだ。

胸ポケットに生徒手帳がしまってあるのが見え、取り出そうとすると彼女の最大の特徴に気がついてしまった。

立派なバスト。

それはもう・・・ご立派なバストだ。

「これは、なんというF?・・・いやいや煩悩退散!」

雑念を振り払い、生徒手帳を取り出し開く

稲葉愛美いなば あいびと真新しい生徒手帳に記されていた。

「稲葉さんね」

とりあえず波にさらわれない様に彼女を担ぎ(お姫様抱っこで)、一姫のところに戻ることにした。彼女は予想通り軽く一姫よりも一回りほど小柄な体格だったが歩くたびにゆさゆさと揺れる胸に一貴は「幸せかも・・・」とまたも死亡フラグを立てながら一姫のいるほうに歩いていった。






稲葉愛美いなば あいびside


「おにぃ!白上一貴は獣です!醜く醜悪なイキモノです!ハイ!復唱!」


・・・女性の荒げた声で私は目を覚ましました。

木の木陰にいるのでしょうか。私は朦朧とする意識の中、ムクリと上体を起こしました。

キラキラと照りつける太陽・・・

あぁ眩しい。。。

目を手で覆い視線を下にずらす。

一面に宝石をばら撒いたような砂浜・・・

あぁゴージャス。。。

目を手で覆い横に視線をずらす、

白い砂浜には正座してしている男の子とそれを腕を組みながら見下ろす女の子。

あぁ、修羅場。。。

目を手で覆い視線を・・・

えぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!???

「だから誤解だって一姫!これは純粋な人助けであってな」

「口答えしない!」

「ハイ!私こと白上一貴は獣です!醜く醜悪なイキモノです!」

そこには変態さんがいました。

4月は春です。

春はみんな浮かれています!

逃げ出すべきでしょうか?

そっと目に付いたヤシの木の影に隠れようとソロソロ抜けようとすると

「あら?気がついたみたいね」

正座をさせているらしき女の子と目があってしまいました。

逃げられそうにはありませんね。。。







こうして愛美の冒険は始まった。










人物紹介

白上一姫しらかみ いちひめ

身長155cm

体重??

黒髪黒目

腰まで届きそうな綺麗で長いストレートヘアー

性格はややキツイが兄には本人曰く甘い(女性関係以外)ところがあるらしい。

しかし幼い頃から兄を馬車馬のように使うため、街では兄が一姫に悲鳴をあげる・懇願されている・謝罪する姿がよく見られ、街の名物にもなりつつあるのだが、本人は何も知らない。

幼い頃から物言いがキツく、中学時代も一部男子生徒にリアルツンデレラ様と言われていた事も彼女は知らない。

言動がきついため、誤解されがちなのだが、情にあついところもある。




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