file8 いざ!ジャングォー1
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一貴side
ここでの生活活動は基本的に食料調達がその大半を占め、僕が魚や木の実をとり、一姫と稲葉がそれを調理して食べる。食べた後は次の食事の準備をして太陽が沈んだら寝る。
そのサイクルの繰り返し。
言葉にすると簡単だが、実際の生活はそう簡単なものではない。
昼は30度はあるだろう熱帯気候で屋外作業というものは存外に体力を消耗するものだし、ライターは有限なので頻繁に使用したくないので火を絶やすことはできない、よって昼夜問わず交代で誰かが常に注意深く管理していなければならない。
昼は一姫と稲葉が交代で、夜は僕がという担当にはいささか不満があるのだが、唯一の男子としては仕方無いだろう諦めていた。
そんな生活を続けて3日つまり僕達がここに流されてきてから5日目の朝、僕達は朝食のバナナを食べていた。
「ねぇ、お兄ちゃん、愛美」
「なんですか?」
「なんだ一姫?」
「今日、ジャングルいくわよ」
「了解ですー」
「は?」
・・・・・・・・・・モシャモシャ
・・・・・・・・・・・・・ムシャムシャ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・沈黙
「いやいや一姫!急に何言ってんだ?」
沈黙を破ったのは慌てる僕だった。
「稲葉も無条件に了解ですとか言っちゃだめだからな?」
「え?私も前から行きたいなーって思ってたんですよ」
「いやいや、ジャングルってのは危険なんだぞ?獰猛な肉食動物とかいるかもしれないんだぞ?」
密林や山林は動物達の住処なのはすでにセオリーだ。
危険性を必死に説こうとするの当然だ。
「動物さんですか。ライオンさんとかいますかねー?仲良くなりたいですね」
(何をそんなメルヘンで悠長な事を・・・)
あまりにファンシーな稲葉の思考に思わず頭を抱えうつむく僕。
「ふふふ、久々に冒険できるわねー」
「楽しみですー!早く行きましょうよ」
「こらこら愛美?こういうのはキチンと準備しなきゃ駄目なのよ」
「ほほう、さすがです隊長!」
「愛美副隊長は素直でよろしい!それに比べてうちの愚兄は・・・」
見下ろすように冷たい目を僕に向けてくる一姫
「おま、愚兄って!コラ!いいすぎだぞバカ姫!・・・あ!」
売り言葉に買い言葉だった。
一姫の片眉がピクリとあがりおでこに青筋がたち黒いオーラがモクモクと湧き上がる。
「ババババカ姫ですってぇ?」
「いや、売り言葉に買い言葉で・・・ごめんなさグハ!!」
もう遅いのよの一言ともに1187発目のアッパーカットが飛んできて僕の意識はロストした。
そしてその日のお昼前、山林の入り口に僕らはいた。
「もしもの時は一貴さん助けてくださいね!」
「凶暴な動物が襲ってきたらお兄ちゃん夜露死苦!」
「いやだーーーー」
とむなしく叫びながら僕は嫌な予感しかしないジャングル探検に引きづられていった。