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その9


あれから奏は本当に毎日やって来た。普通だったら静かに過ごしたい俺からしてみたら以ての外なのだがなんていうか…… それほど悪い気はしないのは気心知れたなんとかというやつか?



……あぁ、そうか。奏が俺を受け入れようとしてくれていて俺は奏のことをもっと受け入れたいって思ってるのか?なんてな。別に俺はそんな風に思うくらい 

それほどの奴でもないだろうが。



だが次第に俺も奏にあまり遠慮しなくなった。結構思ったことをズバズバ言っていた。今までは付かず離れずって言うより表面上いいように答えていた俺だった。だけど奏は否定する事もなく笑顔で応える。



「ねぇ、優、明日は土曜日だね。学校もないしこのまま泊まっていっちゃおうかな?」

「バカか?流石にそれはマズイだろ、奏の親もいくらなんでも心配するぞ?」

「優なら大丈夫だとうちのパパとママも思ってるから大丈夫だよ」

「なんで俺お前の両親にそこまで信頼されてんだよ……」

「優の人当たりが良かったからじゃない?自業自得、ふふッ」



奏はグイッと俺に近寄って俺の膝に手を置いた。



「優は嫌?」

「いや、そういうのじゃなくて」



………… 俺自身よくわからないんだよ、ここ最近ずっと奏が側にいてこうして寄り添ってくれてるんだけど何をしていいか。




「優、少しは私の事好きになってくれた?他の女の子よりもほんの少しは私の事気になる?」

「ああ、お前くらい俺に対してしつこいのはなかなかいないよな。俺なんかのどこがいいのやら…… その辺は気になるっちゃ気になる」



そう言うとにへらっと笑って「なんでだろうね?」とはぐらかした。



「優ってさ、優が思ってるより私からしてみれば魅力的だよ?いつもそつなくみんなと上手く付き合っててそれで疲れてるんだよ、だから心の中では正反対なこと考えてるとことか。人見知りなんだよ本当は」

「捻くれ者みたいだな俺」



そうだな、奏の言った通りだ。だから敢えて思ってることと逆の態度を取ったら良く思われて……



「でもそんなところもいいかなって。いきなり優がそんな人だったなんて知ったら何この人?みたいに思っちゃうかもしれないけどね」

「じゃあ最初からお前にはそう接した方がよかったかもな」



「もう遅いよー」と奏は意地悪く微笑んだ。そんな奏を見ているとなんだか……



「笑ってる優」

「ああ嘲笑」

「いいけどね別に。あははッ」



なんか見透かされてるみたいだ。



というか夜10時を過ぎた頃リビングでまだ帰り支度をしていない奏が気になり帰るように再度促すが今日の奏はなかなか引き下がらない。



まさかこのまま本当に一泊していくつもりなのだろうか?奏の両親に電話してみた方がいいかもしれない。



「やっぱり優の家で泊まっていきたいなぁー、私ママに連絡してみる」

「やめろ、本当にマズイ気がする」



散々そう言うと奏はムスッとしてしばらく考え込んでいた。



「あ!じゃあ明日は朝から優の家におじゃまさせてね!それで夜までずっと2人でいること。それなら今日はおとなしく帰る」

「わかった。もうそれでいい、明日なら付き合ってやるから今日は帰りな」

「うん、明日はずっと優と一緒に居られる、楽しみだなぁー」



そんなこんなで奏を送り届けて俺も帰宅しベッドに入る。



明日は朝から奏と一緒か、最近はもうずっと一緒にいるような気がするが学校がある時と違って朝からとは…… なんか超強引なやり口。



そして…………



ピンポーンピンポーンとうるさいインターホンとともに目が覚めた。何回押してんだ?てか今何時だ?



時計を見ると朝7時。早過ぎんだろ。その間にもピンポーンとなる。いい加減うるさいので寝ぼけながら玄関まで降りドアを開けた。



そうすると若干機嫌が悪そうな奏が突っ立っている。



「遅ーい!優、寝坊だよ!」

「お前何時だと思ってんだよ?休みの日くらいもう少し寝かせてくれ」

「ダメー!朝ごはんも作るんだから優は顔洗って起きてなさい!」



奏は家にいそいそと入りキッチンへ向かう、押し掛け女房かよ。



「優が寝ぼすけさんだから朝は軽くピザトーストでいい?」

「あー、なんでもいいよ」



洗面所に立ち顔を洗う。冷たい水が心地いい、段々目が覚めてきた。部屋に行き着替えて寝癖を整えてリビングに行くともう朝食のピザトーストとコーヒーが並んでいた。



「さぁ、召し上がれ」

「いただきます」



相変わらず人の家の台所我が物顔で使うのな、まぁひとりだったらこんな朝飯食べてないけど。コンビニで買ってくる弁当よりか断然いい気がする。



あっという間に平らげるとおかわりは?と聞かれたので食べるというと奏は自分の分を半分にして分けてくれた。



「優、今日一緒に近くのお店にお出かけしよう?」

「うーん、そうだなぁ。俺もなんかゲームとか買いたかったし行くか?」

「うん!」



そう言うと奏は開いた皿を手際よく片付け始めた。とは言ってもまだ8時前だしもうしばらく家でゆっくりしてるかぁ。



ぶっちゃけ腹が少し膨れるとまた眠気が襲ってきたけど眠ると奏が起こしそうだったので起きていた。




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