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その8


奏は小さく「お邪魔しまーす」と会釈をすると靴を脱ぎキッチンに向かって行って買い物袋を置き支度を始めた。まるで自分の家のようにスムーズな動き。



「優の家って久しぶりー、優のパパとママにも会ってご挨拶したかったけど私が優にお料理作ってあげられるからいっか♪」

「そうかよ」



呆れながら俺は言った。この準備するために一目散に帰って行ったんだな。



「よーし頑張るぞ!」



まぁここまでされるとむしろ清々しくなってくるし来ちゃったもんは仕方がない。



「じゃあ頼むわ、俺もなんかすることある?手伝うよ」

「いいよ、優はテレビでも見てて待ってて!」



そう言って奏はエプロンを着けて料理を始めた。言われた通り俺はテレビを見ながらたまに料理を作る奏を見た。



いつも見ている奏と違い凄く家庭的に感じで新鮮だなと思ってしまった。食欲がそそる香りがしてきてしばらく経った後……



「できたよー!お待たせ、デミグラスソース仕立てのオムライスです」

「へぇ、奏ってやっぱり料理上手だなぁ」

「えへ〜、見直した?」

「んー、まぁちょっと。まだ食べてないからわかんないけど見た目は美味しそう」

「ちょこっと毒付かないでよ。冷めないうちに食べよう」



そんなん言っても大体わかってた、美味しい。



「やっぱり美味しい、うちの母さんより料理上手いかも」

「あ、いや…… 今日は気合入れて作ってみたからいつもこんな調子じゃないけど」



そう言いながら奏はとても喜んでいた。



「今日から日曜まで毎日私が優にお料理作ってあげるね!」

「おいおい、いいよ。それに奏の親だって心配するだろ?」

「大丈夫!ママとパパにはしっかり言ったから、むしろちゃんとお世話しなさいね!って言われたもん」



どんだけ俺信用されてんだよ?少しは心配しろよ奏の親。一応高校生の男子だぞ俺は。娘が押し倒されないか心配しろ、いやそんなことはしないけどさ。



夕飯を食べ終わり片付けが終わり奏はこんど風呂の準備を始めていた。



「優、洗濯物とかある?洗っちゃうからあったら出してー」



もう全部やる気だなこいつ。諦めて俺は部屋に行きTシャツやら脱いで部屋着に着替えた。



「ほら」と奏にポンと服をパスしたら勢い余って奏の頭にバフっとかかった。



「あっ、悪りぃ。ん?」

「えへへ、優の匂いだ。いい匂い」



恥ずかしくなって奏の頭からTシャツを取った。



「あー、優の匂い嗅いでたのにぃ〜」

「そんな事しないでいいから。やっぱ俺が洗おうか?」

「いい!私が洗うんだもん!」



そう言って奏は洗濯機に向かっていった。



そうして夜の10時を過ぎたところで奏はそろそろ帰ると言ったので玄関まで送った。



あー、でもなぁ。ここまでしてもらってただ帰らせるのも悪いしなぁと奏の両親にもお礼しといた方がいいと思ったのでしょうがないから送っていくことにした。



そう言うと奏はキョトンとして凄く嬉しそうな顔をした。



「でもいいよ、優に行ったり来たりさせるの悪いし」

「いいんだよ、奏でも行ったり来たりしてただろ、それでおあいこ。それとお前の家族にお礼言っとかないとな」



そういった途端奏が俺の目の前に来て俺の胸に顔を埋めた。びっくりした。



「奏?」

「嬉しい!優といるだけでドキドキするのに優しくされるともっとヤバいかも」



奏が顔を上げた瞬間不意打ちに近い形で頬にキスされた。



「おい……」

「えへへ、優のほっぺにチューしちゃった、今日の私へのご褒美」



いきなりでびっくりしたし奏がこんなことしてくるなんて……



「お前なぁ、いきなりそんな恥ずかしい事するのやめろって」

「フフフッ、優ったら焦ってて可愛いー、行こっ」



奏は俺の手を握って歩き出した、もともと奏と俺の家は近いのであっという間に着いた。



「まぁ、今日はなんだかんだでありがとな」

「どういたしまして!明日からもしばらくおじゃまするからよろしくね」



そして奏の両親にお礼を言って帰ろうとして玄関から出ると腕を掴まれた。



「優今日は凄く楽しかったよ、おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」



顔を真っ赤にして照れながら奏は家に入っていった。 



楽しかったか…… こんなことが?と思ったけど自分でも悪くないけどなと感じているのが不思議だった。




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