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その5


気まずい…… 何かこの場の空気を変えるようなことはないかと考えてると奏が勢いよく立ち上がりトイレと言って出て行った。



貴重な友達を1人なくしたな俺は、自分からぶち壊しといてなんだけど。









◇◇◇









奏は階段を早足で降りてトイレの扉を閉めて鍵をかける。


あああああああー!!バカバカバカバカッ!バカだ私はッ!



いくらなんでもあのタイミングはないよね、勉強どころじゃないじゃん……



優に嫌われた?! もし嫌われてなくても絶対引いてたよね、優の顔。引かれた引かれた、優に引かれた。もしくは嫌われて。



もう消えちゃいたい、なんで私今日優に告白したんだろう?



悲しい、凄く悲しい。告白されたりしたことは何度かあったけど私は優が気になっていてお断りしていた。お断りされた方はこんな気分なんだ。




どうしよう、どうしよう?



今の状態じゃ優をまともに見れる気がしない。話も上手く出来なそう、だからトイレに篭ってるんだ。



思えばいきなりこんなこと言っても優は私と付き合ったりしてくれるような人じゃないって今まで話しててわかった上だったはずでもう少し時間をかけてと思ってたはずだったのに……



焦ってたのかな私。それに加えて優が久しぶりに家に来てくれたから私がもう我慢できなくなって。ううん、他の誰かに奪われたくなかったんだ。



もうそれ以前の問題になっちゃったけどこんな状態の私じゃ優も困るよね。優と気まずくなるのは絶対嫌。でもダメだ、本当にどうしよう……



トイレでうなだれてからどれくらい? 体感的に5分経った??



あんまり優を待たせてるわけにもいかずトイレから出てトボトボと階段を登り部屋のドアの前で止まる。



開けたくない、嫌われたよね?優だって気まずいよね?早く私の家から出て行きたいよね?今日来なければよかったと後悔してると思う私のせいで。



ダメだ!そんなの絶対ダメ!!

優にそんなふうに思われたくない!諦めたくない、1度ダメだからってなんだってんだ、優は私のこと好きじゃないなら振り向かせればいい!好きになってもらうんだ、こんな事でくじけちゃダメだ!



私はそう決心しドアを開けた。



恐る恐る優に視線を向けると心配しているような顔でこちらを見ている。 



うぅ…… 勇気を出せ私。 ニッコリ笑って。




「泣いてたの?奏」

「へ?」

「目真っ赤だよ?」

「あッ!!」



そうだった、泣いてたんだ私。そんな事も構わずにここに来てまた考えなしなの私は?全然だめじゃん……



でも今決心したばかりじゃん!



「ごめんね、優。なんか変な空気にしちゃって。でも私の本当の気持ちだったから」

「うん、なんか俺こそごめん」

「だから1回ダメだったとしても私優のこと好き。どんな優でも私は好き、優に振り向いてもらえるように頑張る」



なんて恥ずかしいこと言ってるんだろう懲りてないのかな私。それに顔から火が出そう。



そう言うと優は少し下を向き考えてるみたいだった。 そして……



「俺さ、奏みたいな良い子に好かれるような人間じゃないよ?奏はさ、俺のこと学校とかのイメージしか知らないと思うけど」

「優、私さっきも言ったけど優ならどんな優も好きだよ?」

「もし俺が最低なやつだったとしても?奏ってそんなやつ嫌いじゃん?」

「優ってさ、私にも何か遠慮してるよね?1年の頃から…… 私薄々気付いてたよ?でもね、優は自分は最低な人だったらって言ってるけど私はそうは思わない、だって優はとっても周りを気遣える人だもん」

「は?」



優は何言ってんのこいつ?みたいな顔でこちらを凝視してくるけど構わない。私に遠慮なんてさせたくない、本当の優を見せて欲しい。



「だから優に絶対好きになってもらう!ウザいって思われるかもしれないけど来週から優のお弁当私が作るから優は明日からお弁当持ってこなくて良いよ!」

「拒否権は?」

「なしで!」



告白は失敗したけど…… これはこれで優を繋ぎ止めておけたよね?それと私の気持ちも伝えたし。




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