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その39


「絵里、こっちこっち!」

「もう見えてるからいちいち手招きしなくていいの」



今日は絵里と遊ぶ約束をしていた。優も誘ったんだけど女2人連れは浮くから嫌なそうな、まぁそういうことなら仕方ないかな。



佳菜とかも誘ったんだけど中野君とデートみたいだから邪魔しちゃうしね。



「足立君が居ないから寂しいんでしょう?」

「そんなことありません!優も来れば良かったのになぁっては思ったけど」

「美人な女の子2人も侍らせて歩くのに遠慮したのよね足立君のことだから」

「うわぁー絵里は鋭いなぁ。そういうこと気にするタイプだものね足立君は」

「むぅー!さっきから足立君って強調してるのは私に意地悪してるな絵里は!?」

「あはは、バレた?」



お喋りしながら歩いていると絵里が足を止める。寄りたいところでもあったのかな?と思って店を見るとそこはカラオケだった。



「カラオケ?」

「意外?行きそうにないもんね私」

「あ、ううん!」



絵里は大人っぽくて落ち着いてて確かにって思っちゃったけど私と同い年だしこういうとこに行きたいって思うのは当たり前だ。



「じゃあ入ろう!」

「ええ」



受付を済ませて部屋に入ると絵里は満面の笑みになってソファに深く座った。



「そんなに来たかったんだ?」

「んー、まぁ何より落ち着けるしね。しかも奏だけだから気を遣う必要もないわ」

「もぉー、それってどういう意味?」

「いいじゃん別に。それより歌おうストレス発散に!」



絵里は曲をどんどん入れて歌っていた。普段クールな感じだけど今は普通にはしゃいでる。



「はあー、スッキリした」

「楽しかった?」

「ええ、歌ったらお腹空いちゃったわ。何か食べに行かない?」

「あ、そうだ」



絵里とこの前新垣さんがバイトしていた美味しいパフェ屋さんに行こうと思ってたんだ、ちょうどいいやと思ってそこに行くことにした。



「じゃあパフェ食べよう?」

「いいわよ」



そしてデパートの中へ行き例のお店に入った。今回は前ほど並んでなくて割と早くテーブル席に座れた。



「ここのパフェ美味しいわよね」

「あれ、知ってた?」

「隣街のメインストリートにもあったもの、チェーン店だしね」



そうして注文をするとまた新垣さんが私達のテーブルに来た。



「ご注文はお決まり…… あ、あれ?!今度は神城さん?」

「あら新垣さん、バイトお疲れ様」

「新垣さんこんにちは」

「は、はひッ!お晩でごまッ…… ございます」

「ねえ、この子大丈夫?」

「あ、あはは……」



あちゃー、やっぱ新垣さんめちゃくちゃ緊張してるよ。絵里も居るからかなぁ?



そのままぎこちない感じで注文を終えると新垣さんは奥の方へと戻って行った。絵里とお喋りしていること15分くらいすると……



「お待たせしました、こちら抹茶パフェと……」



またもや新垣さん。言葉が止まり私達も不思議に思って新垣さんを見る。



「どうしたの?」

「あッ!2人とも凄くお洒落だなって…… ごめんなさい」

「ああ、なんだそんなこと。大丈夫よ、あなたも可愛いから。制服よく似合ってるわよ」

「………」

「ん?新垣さん??」

「ハッ!!ごめんなさい、今日は足立君いないんだなって」



それであっち向いたりこっち向いたりしてたんだ。そんな新垣さんにちょっと心が騒ついたけど落ち着かせる。



やっぱり新垣さん優のこと……



新垣さんが戻って行ったところで絵里が喋り出す。



「強力なライバル出現?」

「へ!?な、何が?」

「だってあの新垣さんよ?どこかの1年とも違って良いこと悪いこと後先考えてないわけでもないし私みたいに邪な考え持って近付いてるわけじゃなくてただ純粋に足立君のこと好きって気持ちだから。それに容姿もいいし」



う…… だから新垣さんが優のこと好きって気持ちは私にとって1番キテるんだよね、でも優を信じてる。



「例えそうだとしても私だって負けないもん!」

「奏はゴリ押し戦法だもんね」

「ゴリ押しって言い方はやめてよ〜!せめて真っ直ぐって言って」



けどなんだかんだで絵里と遊んだこの日は楽しかったな。私のイメージだと絵里は私が遊ぶ様な場所だと趣味じゃないとか言って断られそうだったけど普通にショッピングとかして楽しんだ。




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