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その31


「どうしたの優?」

「え?いや何も……」

「んじゃ何窓際ボーッと見てるんだよ?」



奏とヒロキにつっこまれた。ヒロキの席の方で話していたんだけど神城さんの席の方を向いていたようだ。



「神城さん見てた?」



奏は勘付いたのかそう聞かれてギクリとした。    



「お、お!優お前〜ッ」

「違うって、ただ外見てただけだっつの」

「上の空かよ、今度俺らとどっか遊びに行くって話してたのに」



まぁ実際上の空だった。なのに神城さんはなんとも思っていないようだった、いや…… でも俺と奏の絡みを見て楽しんでいる様子だったけど。



「帰ろう優」

「あ、ああ……」

「バイバイ足立君白石さん」

「あ、うん。また明日神城さん」



なんだか全部意味があるように聴こえてくる。あの時のことは俺と神城さんだけの秘密なのに何故かこちらだけ一方的に秘密を握られているような感覚になってきた。



「元気ないね優?」

「そうか?別にいつもと同じだよ」

「ん〜…… んッ!」

「は?!」



不意に奏にほっぺにキスされた。



「そんなにビックリすることないじゃん。まんざらでもないけど、えへへ」

「…… はぁー」

「へ?溜め息?」



あ、ついうっかり溜め息吐いちまった。



「えーと……」

「あー!性懲りもなくイチャイチャしてますねぇ!」



聞き覚えのある声で振り向くとそこには案の定岬が立っていた。こいつまたかよ、つーか覗き見してたんかい。



「岬ちゃん!」

「奏先輩、2人があんまりイチャイチャしてるもんだから入って行き辛かったじゃないですか」

「いやお前もう割って入ってきてるだろ」

「そりゃあたしらの仲なんですからいいじゃないですか」



正直なんて言えばいいかわからなかったから岬が入ってきたことに内心ホッとしていた。



「しょうがないなぁ。じゃあ岬ちゃんも一緒に帰ろっか」

「あたし家逆方向ですけどねー」

「あ……」

「だったらなんでここまで来たんだよ?」

「いやー、尾行してたら止まらなくなって。なんか奢って下さいよあたしに」

「図々しい奴だなぁ」

「あ!じゃあ優、今日どこかで食べない?ほら、朝の約束覚えてる?」

「ああ……」



つーか奏はいいけどこいつに奢る分のお金を出すのか……



「大丈夫、岬ちゃんには私が奢るから」

「いいんですか奏先輩?あたし好かれてるなー!」

「どの口が言うんだよまったく」



岬のお陰で変になりそうな雰囲気がなんとかなった、こいつも役に立つ時あるんだなと思いそれから数日経った。



神城さんのことは少し気になるが順調?なのかはわからないがあれからなんともない日常を過ごしていたのだが……



「あ、あの……」

「え?新垣??」



昼休みにトイレから出ると新垣が外で待っていた。なんでこいつが?それになんでこんなところに?



「どうしたんだ?珍しいなお前が」

「えっとッ…… さ、最近足立君がこっちを見て………… るような気がして…… どうしたのかなって」



あッ………… 違ぁあああうッ!!でも確かにそう思われるのは無理ないかも。神城さんの方向を向くということは席が近くな新垣も視界に入れてるってことだし。



「あ!あ、あと、し…… 白石さんに私と一緒に居るところ見られたら嫌かなって思って」



それでトイレで出待ちしてたってのか。てかそんなこと聞かれても神城さんのこと見てたなんて言えないしどうしよう……



「外の風景見てて」

「白石さん達と居るのに?」



うッ…… そうだよな。



「あ、あのね足立君…… 足立君が白石さんとお付き合いしてるの私も応援してる。あッ!わ、私なんかに応援されてもいい迷惑なのはわかってるよ!?け、けどだから………… 白石さんに悲しい思いはさせない方が」



…… あれ、これって俺が新垣に気があるように思われてる?なんかややこしいことになってないか??



「新垣、俺は別にそういうあれじゃ……」

「わ、私なんかが足立君にそんな風に見られてるとか凄く恐縮で…… で、でも足立君は私に優しくしてくれて、そんな足立君に…………」



新垣はブンブンと首を振って言い直した。



「だ、だから!ちゃんと白石さんに向き合ってあげて!?」

「あ、うん…… ありがとう」



そして新垣は何度もこちらを振り返り教室の方へ戻って行った。



今俺は新垣に変な誤解されてそのままフラれたのか?

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