神城絵里
学校がまた始まり9月になった頃俺は夜少し離れた所にある総合病院に母さんと一緒に父さんのお見舞いに来ていた。
「最近ずっと出張ばかりだったから少し過労気味ならしい。一応精密検査受けるが心配かけてすまなかったな」
「いいのよ、無理しなくて。もっと重い病気かと思ったんだから。これを機に少しお給料安いとこでもいいからもうちょっと楽な所で働いてもいいのよ?倒れたら意味ないんだし」
「そうだなぁ、優が大学卒業までは頑張りたい所だが」
「別に俺は高校出たら働いてもいいけどな」
「行くか行かないかは結局はお前次第なんだからしっかりと決めればいい。父さん的には行ってくれたら嬉しいが」
「まぁ考えとくよ、でも父さんあんまり無理すんなよ?」
父さんの申し出は嬉しいけどそのために身体壊してちゃ元も子もないしな。
帰りにコンビニがあったので母さんと寄った。母さんに買い物を任せ車の中にいたがなんとなくコンビニの正面にあったベンチに腰掛けてみる。
するとコンビニの角から2人の男女がやってきたて思わず目が合った。
え…… 神城さん!?神城さんなのだがいつもと違う。胸元が開いた派手な服にどこぞのブランドのバッグ。派手な化粧をしていて明るく微笑む神城さんは学校とはまるで違うが確かに神城さん……
それと隣の男はスーツを着ていて初老くらいの男性と腕を組んで歩いていた。彼氏?いや、違う。そんな感じにも見えない。
向こうもそんな俺に気付いたようで神城さんは目を大きく開いてこちらを見ていた。
だから俺は「神城さん?」と声を掛けてしまった。
「あ…… 足立君?なんでこんな所に?」
「絵里ちゃんの知り合いか?」と神城さんの隣の男性が言う。
すると神城さんは「そんなとこ、バイバイ足立君」と言って男性の腕を引っ張った。普段とは違い甘い声で。そしてコンビニに入り際に神城さんがこちらを見てニコッと笑った。
呆気にとられていた俺は母さんが来て「あんた外でボッーとして何してんの?」の言葉でようやく我に返った。
帰りの車の中では母さんの言葉は耳に入らずさっきの光景だけが頭の中で再生されていた。
あれってもしかして援交?神城さんが?なんで?ウソだろ、あの神城さんが…… その時俺はデパートですれ違った女性の後ろ姿を思い出した。
着ている服やら何やら違うけど連れの男の人とコンビニに入って行った神城さんの後ろ姿とあの時の女性は雰囲気が同じだった、もしかしてデパートに居たのも神城さん?
次の日神城さんはいつもと変わらず学校に来た。いつも通りだ、なんてことなかったのかな神城さん的に……
ホームルームが終わりそして授業も始まり少し経った頃、資料のプリントが前から順に配られる。神城さんが受け取りこちらに渡す。するとそれとは別にもう1枚を俺の机においた。小さい紙に書かれた内容は……
今日の放課後2人で話さない?
化学室の倉庫で待ってます。
と書かれていた。それ以降神城さんはその日俺に振り向くことも休み時間も俺と話すことはなかった。
「優、今日何か学校に用事あるの?私優が終わるまで待ってるよ」
「いや、いいよ。今日は帰ってていいよ。そのかわり帰りに奏の家に寄るからさ」
「え?うんわかった」
奏は少しキョトンとしていたが俺は奏が学校を出たのを見届けると神城さんのもとに向かった。
そして化学室の倉庫に入ると神城さんが待っていた。
「足立君待ってたよ。白石さんは帰った?」
「ああ、帰ったと思う」
「そう。ねえ、昨日の私を見て何を思った?」
「何って?」
「足立君が何か変なこと思ってないかなぁって。気になったの」
「変なこと?それじゃあ逆に聞くけど変なこと思われるようなことを神城さんはしてたみたいに聞こえるよ」
そう言うと神城さんはニコッと笑う。
「別に。あれって私のパパなの」
「え?パパ??」
「そう、私パパと仲良くてさ。たまにデートするんだ、足立君に見られちゃったね」
「そ、そうなんだ?」
あれは神城さんの父さんだったのか?神城さんがそう言うなら…… けどその父さんとやらを思い出すと付き合っているような雰囲気にも見えた。いや、女の子って仲良いとそんなもんなのか?いまいち釈然としないけど。
「なーんか逆に疑わしい?」
「え?あー、いや別に……」
「うふふッ、でも疑わしきはってよく言うしさ、ごめんねこんな回りくどいことして。もっと簡単にいきましょう」
「簡単?回りくどい?何が?」
そう言うと神城さんは髪をかき上げて溜め息を吐いた。
「はぁー、地元から少し離れた場所で行動してたけどもう見られちゃったし?この遊びも潮時ね。私がしてること援交、パパ活とかそう思ってるんじゃない?まぁそうだけどね、私はあなた達が思ってるような優等生とは違うの」
「別に誰にも言うつもりないよ?ただ俺もそうだったけど人は見掛けによらないんだなって」
「そうよね、なんで私しらを切らずに暴露したと思う?」
「なんで?」
「フェアじゃない」
グイッと神城さんが近付く。
「足立君だけ私の秘密を知っているなんて」
「は?はあッ!?」
いきなりキスをされた、神城さんの舌が口の中に滑り込む。
バッと神城さんを引き離すが神城さんはしたり顔で微笑んでいる。
「どう、白石さんのキスより私のキスの方が上手でしょ?」
「なッ、何を……」




