その23
「起きたか?」
「うん、もしかしてずっと見てた?」
「ああ」
「ずっと寝てるとこ優に見られたんだ、恥ずかしいよ」
本当に恥ずかしい、ヨダレとか垂らしてないよね?どれくらい寝てたんだろう?時計を見ると16時を過ぎていた。
頭が段々覚醒してきた。
ああ、優に泣きついて迷惑かけちゃったな。 優はこんな私を優しく受け止めてくれるからつい甘えてしまう。
「よかった、いつもの奏に戻った」
「優、今日はありがとう。それとごめんなさい、学校までサボらせちゃって」
「さっきも聞いたよ、そんなことはどうでもいいよ、お前がとりあえず落ち着いたならさ」
本当に優しい。意地悪な時もよくあるけど私が落ち込んでる時はこうして寄り添ってくれる。
「岬ちゃんに今日だけでここまで打ちのめされるなんてこんなんじゃ優に迷惑かけてばかりだよね?」
「別に迷惑とか思ってないさ…… 俺って奏と付き合う前とかはそういうのごめんだとか思うような奴だったけどさ、なんていうか奏の優しい性格が移っちまったのかな?」
違うよ優、私は多分それほど優しくなんてないよ?私は優が好きだから、ただそれだけで。優しいのは優の方だよ。
「奏、そろそろうちの親も帰ってくるから帰った方がよくないか?」
「うん。ねぇ優私の家まで一緒に行ってくれる?」
「言われなくてもそうするつもりだったけど?」
これもただなんとなく甘えてみたかっただけ、でも優は嫌な顔ひとつしないでいてくれる。優と2人きりの優しい時間を過ごしてたらなんか元気出ちゃった。
そういて次の日の朝、昨日は優に大分心配かけちゃったな。
はぁ、優のお陰で元気は出たけど出来れば学校行きたくないな、岬ちゃんに会っちゃいそうだしまた落ち込まされそうだよ。
優にも学校行ってもらいたくないな…… なんていくらなんでもそれはね。また岬ちゃんに意地悪されるに決まってるもんね。
どうして私にあんな意地悪してくるんだろう?私何か気に触ることしたかな?何も思い浮かばない。
鏡の前に立って自分を見る。うわぁ、酷い顔、あからさまに嫌そうな顔をしている自分を見て思った。
昨日もこんな顔してたのかな?
気を紛らわせるために少し自分を自己分析してみることにした。
岬ちゃんはまず経験豊富そう?うーん、優以外と付き合ったことない私よりは多いよね。でも多ければいいってもんでもないよね?
あれ?でも私ってそうなると視野が狭い??けど優以外なんて考えたくないし…… よし、それはそれ!
見た目は…… 鏡で自分を見てクルッと一回転。これで可愛いのかな?告白されたり周りからは可愛いとかって言われてるけど好みとかあるからよくわかんないよね。
あ、優って私のことどう見えてるかな?
そうだ、この前買った服着てったら優に可愛いって言ってもらえるかな?
あ、この服にはこれを合わせてこのコーデとかどうだろ?
………… 私何ファッションショーしてるんだろ?そうじゃなかったでしょ!てかもう時間ないじゃん、あーん!
とにかく私は優と付き合うことができた時に私は絶対優に嫌われたくない、離したくない、捨てられたくないって思って行動してる。
頭もブンブンと振る、岬ちゃんの行動にくじけそうになるけど優への想いは絶対負けない。優を振り向かせようと頑張ってた時を思い出せ!優は私の優だもん、絶対誰にも渡さない!
決意を新たに支度を済ませる。そろそろ優が学校に行く時間だ、行かなきゃ。
玄関をガチャリと開け家を出ると優が待っていた。
「あ、あれ?優待ってたの?」
「ああ、なんとなくな」
いつもなら優は私の家をスルーして私が追いかけて優に追いつくといった感じなのでビックリした。
付き合ってて家も通るのに一緒に行かないの?なんか冷たくない?って思われるかもしれないけど優は「待たせたり急かしたりするの悪いし」と言う。でも私は知ってる。学校まで半分くらいの距離で私が追いつかなそうだとこっそり待ってるのを。
私の家の前で待つのが優にとっては少し恥ずかしいんだろうなぁ。優にはそんなとこあるよね?でも私は優のそういうところがとても可愛くて好き。
だから今までの分も込めて私は言う。
「いつも待っててくれてありがとう。優、大好き」
優は目を丸くして驚いて恥ずかしそうに「じゃあ行くぞ」と言った。えへへ、優可愛い。
予想外のサプライズで朝から一転元気になった。




