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その21


その次の日あたしはまた学校の校門付近で優先輩と奏先輩を待ち構える。来た来た、2人とも楽しそうにしちゃって。



「おはようございます!優先輩!それと奏先輩!」

「あー…… えーとおはよう、んーと」



優先輩こんなに可愛いらしいあたしの名前覚えてないの?ムカつく。



「み・さ・きッ!」

「岬ちゃんも今来たところ?」

「いーえ、待ってたんです!優先輩をッ!」



えいっ!と奏先輩とは反対側の優先輩の腕に抱きつく。ついでに顔をすりすり。

ふふふ、奏先輩にはダメージが大きいようだ。とても言い表せない顔をしている。



「おい、いきなりこんなところでくっ付くなよ、なんなんだよお前は?」

「こんなところじゃなかったらくっ付いていいってことですかぁー?」

「そういうわけじゃなくてさ…… なぁ奏?」

「あわわわわッ」



さすが優先輩ですねぇー、いつも可愛い奏先輩を見ているからあたしにはなびかないぞぉアピールですか?でも奏先輩めちゃくちゃあわあわしてるし、にひひ。



「岬ちゃん、優が困ってるし」

「嫌ですよー、私はこっちくっつくから奏先輩は反対側に黙ってひっついてればいいじゃないですか?優先輩、両手に花で憎いですねぇ!」



優先輩があたしを振り解こうとしているが構うもんか、絶対離さないよー。



そのまま昇降口まで行ったところ……



「あたしはここから別なんで!後は休み時間に会いましょう?ね!優先輩」

「はぁ?ふざけんなし」



そしてそのまま自分の教室に行く事にした。クラスに着くとただの数友の友達AとBが話しかけてきた。



「さっき見たぞ、足立先輩と白石先輩と一緒にいたろ?ていうか白石先輩めちゃくちゃ可愛いな」



ブチッ!



「岬って足立先輩と仲良かったっけ?でもいくら岬でも白石先輩には勝ち目ないんじゃない?」



ブチブチッ!



「そんな事ないよ〜、奏先輩って優先輩としか付き合った事ないっぽいし〜。あ

、奏先輩って優先輩と別れたがってたからあんた紹介してあげようか?」



「マジで!?岬って神だわ」



バーカ。



夏休みまでもうちょっと。奏先輩、忘れられない夏休みにしてあげますよ?絶望的な意味で。







◇◇◇








「はぁーッ」



盛大な溜め息を吐いた。奏の席を見ると奏も今朝の悶着で疲れたような顔をしている。


「どうしたの?」



神城さんは気になったのか聞いてきた。



「いや、なんかわけわかんない子に付きまとわれててさ」

「やだ、足立君モテモテじゃない」

「いやぁ、なんかそういう感じでもなさそうだし、奏に食ってかかってるというか何というか俺はついでみたいな感じ?」

「白石さんに嫌がらせするのに足立君をダシに使ってるってわけね。可哀想に足立君」



冷静な分析、本当にありがとうございました。



岬の奴マジでまた変に絡んで来ないだろうな?もっと迷惑かけに来ますよという感じに息巻いてたし。



今井が奏に事情を聞いて慰めてるけどあんまり効果はなさそうだ。



朝岬のせいでドタバタしたから気分転換になればいいなと思い奏と2人きりになれそうな場所に行くことにした。



「奏、朝のホームルームまでまだ時間あるだろ?屋上の階段のとこまで行かない?」

「え?うん!」

「ありゃ〜私の励ましより足立君の方が効果的面ってなんかムカつく」

「ごめんな今井、ちょっと奏借りてくな」




2人で屋上の出口の近くの階段まで行く。よかった、人居なそうだ。



「奏、少し元気ないな?」

「あ…… 優はあの子のこと別に好きなわけじゃないのはわかってるんだけどくっ付いてるとこ見ると」

「ありゃ不意打ちだよな、まぁ俺にはそんな気ないから心配すんなよ?」

「うん、ごめんなさい」



そうしてしばらく奏は落ち着いたのか俺たちは教室に戻った。

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