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その2


「えー今学期の担任になる木村だ、よろしく頼む」



と小太りな担任木村先生は気だるそうに挨拶を済ました。



やる気なさそうな担任だなぁと思いつつも不意に視線を感じ、その気配に目を向けると奏だった。奏と目が合うとニコッと奏は微笑んだ。



内心なんだ、奏かと思い視線を窓に移した。名字から始まる出席番号順で俺は足立なので最初は廊下側だ。



新学期が始まりやや憂鬱気味な俺は席替えで窓際になってボーッと外を見ていてた。そうして休み時間となり優は机で大きな欠伸をかくと隣に座っていた女の子と目が合った。



「よっぽど先生の話退屈だったのね」



綺麗な女の子だな。 なんで言ったかなこの子と思って考えているとその子はクスクスと笑っていた。



「えーと」

「隣な上に名前も呼ばれてたのに覚えても居ないなんてある意味居ない存在だったかしら?神城かんざき 絵里えり。よろしくねと言ってもこの学校すぐに席替えになっちゃうから今だけ隣だけどね」

「悪い、隣にいるからこそわからないなんてあるだろ?俺は足立 優、こちらこそよろしく神城さん」

「深いようで何も考えないで言ってるでしょ? でも知ってるよ、足立君のことは。1年の時同じ広報委員会だったじゃない、足立君はあんまり活動的じゃなかったから私のこと覚えてないかもしれないけど今更自己紹介するっておかしいよね」

「あれ?そうだったっけ?」



あまり委員会の事は覚えてないな、そっち系の活動はどうにも消極的だったからなぁ、早く帰ろうとしか思ってなかったから当然か。



「まぁうちらの広報委員ってあんまり忙しくなかったからね」

「それはつまり居ても居なくてもどっちでもいいという事では」

「うふふ、そうとも言えるかも」



などと他愛もないことを話しているとヒロキが近づいて来た。



「神城さん!俺、優の友達の中野 ヒロキです!よろしくお願いします」



なんだこいつ?と優は若干頬が赤くなっているヒロキに目をやると、あー、そういうことかとすぐに理解した。



神城さんに惚れたなヒロキ、結構手当たり次第だな。でも神城さん結構難易度高いと思うぞと心の中で呟いた、ヒロキが告白して振られたら笑ってやろうと思う自分は最低だな。



「よろしくね中野君。別に敬語とかいらないよ?」



神城さん若干ヒロキの態度に引いてるような気がする……



「は、はい!よろしくお願いします!」



苦笑いする神城さんを尻目にチラッと奏が目に入る。 いつもの友達と話しているけど俺の目線に気付いたのかまた奏と目が合ってしまう。



なんかチラチラ見てるみたいだ俺……



そうすると変わらずニコッとこちらに笑い掛け手を振る奏の頭を友達がチョップしていた。



そんな感じでとある休み時間、俺がトイレから教室に戻ろうとしていると奏が友達と話していて俺を見掛けるとこちらに向かってきた。



「よく目が合うね優」

「たまたまな」

「たまたまなの?」

「そりゃそうだろ、教室の周り見てるとそんなことくらいあるだろ」

「ふふッ奇遇だね、私もちょうど周りを見てたらたまたま優と目が合っちゃうなんて」



それがどうしたんだよ?と言いたい、いや言ってやろう。



「それがどうしたんだよ?」

「どうもこうも波長が合うなぁって」



こういう奏のことを見ているとどの程度で俺に愛想を尽かすのか試してみたくなってくる俺は性格悪いよな。 友達と呼べる数少ない貴重な友達とか言っておいて自分では切り捨てようとしている。



俺が話をぶった切っても何かしらどうでもいい話題を振ってくる奏に対しての嫌がらせか?



「お前なら誰とでも波長合うだろうな」

「えへへー!そんなわけでもないんだなぁ」

「でも確かに奏といると楽しいかも」

「でしょでしょ!?」

「て言ってみただけ」

「ガクッ……」



正直俺に使う労力を他のことに回してみたらいいんじゃないかと思う。



「奏ー、もう授業始まるよ」

「あ、そうだった。 だってよ優、教室戻ろう」



奏の友達の今井は俺をジロッと睨む。 正直こいつ苦手なんだよな、いつも睨んでくるし。



まぁ俺が来るまで奏と話してたとこ邪魔されたからわからなくもないが。 



昼休みになりクラスの奴が俺に話し掛けてきた。 なんだと思えば……



「優、午後から体育だし今日のサッカー一緒のチームになろうぜ」

「いいよ足引っ張るかもしれないけどな」

「全然気にしねぇよ」

「いやお前が足引っ張る方だから」

「この野郎〜!」



このクラスの奴らともそれなりに付き合っていけてるな俺は、上辺だけの軽薄な関係だけど。



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