その15
結局日曜は家の中で過ごした。まぁ明日から学校なのでそれでいいが。夕飯は奏と俺と母さんの3人で食べた。
母さんは奏が料理が出来に感心していた。そしてその後は俺の部屋の中で奏にベタベタされて奏の帰る時間になり奏の家まで送って行くところだ。
「奏ちゃんまたいつでも来て、歓迎するわ。優ちゃん、奏ちゃんのご両親にお礼を言いなさいよ?それとお菓子あるから奏ちゃんの家に」
「わぁ、ありがとうございます。またお邪魔させて下さい」
「こっちからも頼むわ、是非来て頂戴」
「また来るのか……」
「こら優ちゃん!奏ちゃんに意地悪言わない」
「はいはい、じゃあ行くか奏」
「うん」
2人で夜道を歩いていると奏は早速甘えてきた。
「優、帰りたくないなぁ。もっと優と居たい」
「明日また学校で会えるだろ?」
「それはそうだけどぉ!優はもっと私と居たいとか思わない?」
「それほど」
「意地悪!でもこれからいっぱいイチャイチャしてもらうからいっか」
奏が腕に抱きついて来た。俺の腕に顔をすりすりしている。そうやって歩いているとやがて奏の家に着いた。
「優、チューして!」
「え?ここで?」
「だって挨拶してすぐ帰っちゃうでしょ優は?寂しいからチュー!」
「わかったよ」
なんか昨日と今日でかなりキスしてるような気がする。
「ん…… 今日はこれで我慢する、じゃあ行こう優」
奏の家の玄関を開けた。
「パパママただいまぁ!優連れてきたよぉ〜」
奏でがそう言うと奏の父さん母さんが玄関までやってきた。
「おぉ、優君久しぶり、元気にしてたか?奏が迷惑かけたんじゃないか?奏が押しかけてすまないね、言っても聞かなくてな」
「いえ、奏に大分お世話になりました。料理とかも作ってもらったんで助かりました。これ、うちの母さんからです。母さんからも奏のご両親によろしくと言ってました」
「悪いわねぇ、優君。奏のわがまま聞いてくれてありがとうね、でも奏今まで家事苦手だったのに優君と仲良くなってからメキメキ上達してったのよ〜、優君のためかしら?」
「ママッ!余計なこと言わないの!」
そうだったのか、あんなに美味しい料理とか作って元々できるのかなぁと思っていたが頑張っていたのか。
「パパママ、私優と付き合うことになったからね!」
「あらあら、私とパパはそんなこと聞いても驚かないわよぉ〜、奏を見てたらいつかお付き合いするかと思ってたから」
「そうだな優君、奏をよろしく頼むよ、ただ間違いだけは起こさないように」
奏の父さんは笑いながらそう言ったが思い切り間違い犯しましたけど…… 言えない。
そんなこんなで日曜も終わろうとしていた。
月曜になりまた気だるい学校に登校する。憂鬱な朝の通学路を歩いていると奏の声が聞こえた。
「優〜!待って待って」
奏がいつも通り小走りでやってきた。
「おはよう奏。元気だな」
「眠いのは優でしょ?もしかして夜遅くまでゲームでもしてたぁ?」
奏が当たり前のように俺の腕に抱き付いてきた。
「もしかしてこの状態で学校行くの?」
「当たり前じゃん!私優とこうして学校行きたかったんだもん」さ
「恥ずかしいだろこれ?」
「いいの!優は私のだって思ってもらわないと優が誰かにとられちゃったら不安だし」
「誰もとらないと思うけどなぁー」
「優って何気に人気だしわかんないよ?優のママさんも言ってたけど外面はいいもんね」
「おい、バカにしてるぞそれ」
「それに優の席の前には神城さんもいるし。私神城さんみたいにクール系じゃないし頭もよくないし」
「てか神城さん別に俺の事好きでもなんでもないだろ?考え過ぎだ」
「とにかく!私以外あんまり見ないでほしいな」
「まぁ俺の事こんなに好きでいるの奏くらいだろ」
「えへ、私優のこと好きな気持ちは誰にも負けないつもりだよ」
学校に着き奏と一緒に教室に入った。
ヒロキがそれを見てとうとう付き合ったかという感じの顔で近付いてきた。
「優、白石と腕組んで登校するなんてもしかしてというかやっとカップルになったんだな?くそったれ」
「くそったれは余計だ」
「白石、優はこんなんだけど愛想尽かさないでやってくれな」
「うん、ありがとう、中野君」
「奏〜、よかったじゃん!あんた健気にアタックしてた甲斐があったねぇ、でもあんたらイチャイチャしすぎてムカつくわ」
奏の友達の今井まで加わってきた。まぁこういう風に周りから言われるのはなんとなく想像はついてたけど。
しばらく周りから弄られはしたが奏が俺を好きだったのは周りもいずれこうなりそうと思っていたようだった。




